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なぜ?台湾で3日間でできることが日本では出来ないのか? 飲食店でのQRコード活用

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:NHK 台湾のQRコードアプリ

KNNポール神田です。

お隣の国、台湾でも新型ウィルスが日本と同様に、猛威をふるっている。日本では、連休明けまでの自粛が、2021年5月末までの延期となり、さらに『非常事態宣言』に沖縄県も動き出そうとしている。

台湾では、オードリー・タンIT担当閣僚らが、新たなQRコードのアプリを開発し、そのアプリを登録しないと飲食店に入れないという手法を展開している。今回のアプリは、QRコードを読み取り、とどいたSMSに返事を返すだけというシンプルなものだ。

□IT担当閣僚の唐鳳氏、英語名オードリー・タン氏らは個人情報を店に提供することなく当局のホットラインに携帯電話のショートメッセージを送るだけの新しい仕組みを作りました。

□台湾当局は飲食店などに入る人に電話番号や名前などの登録を義務づけ、新型コロナウイルスの感染者と接触した可能性がある人への連絡などに活用しています。

□QRコードに携帯電話のカメラをかざすと、訪問先を識別するための番号だけが記されたショートメッセージが画面に表示され、利用者はこれを送信すれば手続きが完了します。

□メッセージは店にではなく当局の感染対策ホットラインに送られ、携帯電話会社はデータを28日間保存したのち削除します。

□唐氏らは感染の急拡大を受け、わずか3日間でこの仕組みを作ったということで、5秒もあれば手続きが完了し利便性が高いとして、飲食店や交通機関などに積極的に導入してほしいとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210520/k10013040811000.html

■天才エンジニアだから作れたアプリではない

IT担当閣僚のオードリー・タン氏はとかく、天才エンジニアとしてメディアでとりあげあられることが多いが、今回のアプリの構造はきわめてシンプルだ。

日本のデンソーウェーブが開発した『QRコード』を利用して、QRコードを読み取り、感染対策ホットラインからのSMSに返事をするだけ。それだけでスマートフォンユーザーと店舗が紐づけされる。店舗側でのクラスター発生などがあれば、登録スマートフォンユーザーにアラートが流され、登録スマートフォンユーザーの立ち寄った場所も特定することができる。

『COCOA』などのアプリと同様に、感染を予防できるアプリではないが、感染源となった場所に紐づけられたスマートフォンユーザーにアプリやSMSなどを通じて、PCR検査などを呼びかけることが可能となる。

また、国内の『LINE』でもこのような機能を実装することは十分に可能だっただろう。しかし、LINEは中国からのアクセスが可能だった問題で、国内7500万人ユーザーに一斉に通知できるような仕組みがうまく活用されていない。

現在、日本は、『非常事態宣言』下なので、万一の情報漏えいを危惧して『LINE』を使わないではなく、こんな時だからこそ、『LINE』側に徹底して協力を要請し、『QRコード』による『飲食店への入店』を『マスク同様』の義務化するのはどうだろう?

1年以上にも及ぶ自粛やアルコール販売を止められている飲食店だけでなく、20時以降の自粛が今後も日本で継続できるはずがないからだ。

『マスク会食』や『アルコール販売禁止』などまでして営業をさせるより、徹底した今まで、手を打てなかった全国的な追跡システムを構築して試せる最後のチャンスなのではないだろうか?

台湾で3日間でできたことが、日本で出来ないのは、『IT』の専門家を、医療、経済の専門家と同様に、政府が専門家チームに招聘していないからだ。

■大阪では1年前から独自に実施ていた『大阪コロナ追跡システム』

大阪府でも、同様の仕組みのQRコード「大阪コロナ追跡システム」が1年前から導入されている。

しかし、完全義務化されているのではないので、思ったような成果がでていないように思える。

QR読み込み実績としては、施設の登録総数が、9万件あり、389万件のQRの読み込みがあった。つまり一件あたり43名の登録だ。

大阪府下の飲食店数は6万2,516店舗だ。

出典:大阪府
出典:大阪府

https://www.pref.osaka.lg.jp/smart_somu/osaka_covid19/index.html

■『COCOA』も徹底していれば、効果が出せたはず!

色々と不具合がかりがとりだたされているCOCOAでもあるが、Bluetoothを使った技術をうまく活用するためには、アプリそのものに、全国や地域の陽性者数がアップデートされた情報などがあれば、毎日確認する習慣もできただろう。

どうも事務的な利用者の使い勝手などがまったく考慮されていない。

そして、一番の問題は、陽性者になった人が『COCOA』に登録義務がなかったことだろう。そう、『COCOA』で陽性者の発生データが打ち込まれない限り、何も役に立たないアプリでしかない。

今の日本に足りないのは、専門家に耳をかたむけ、相談して合議制で運用するコロナ対策に問題があるのではないだろうか?。まずは、1年も経過していながら同様の自粛をさらに求めるだけではなく、人流を止めるのならば、交通期間を完全に止める、お金で人流を解決できることの有無など、陽性者の発生地点を地図上で表すなど、今までの対策以上に効果のある戦術を立案して同時に様子を見る場合ではないだろうか?

そのためにも、人流に関しては、ITでのAI予測などを適切にコロナ対策に織り込めるプロフェッショナル人財が政府に必要だと思う。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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