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藤井聡太王将への挑戦権を争うリーグ開幕! 羽生善治九段、現代最前線の相掛かりで服部慎一郎四段と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月19日10時。東京・将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲羽生善治九段(51歳)-△服部慎一郎四段(23歳)戦が始まりました。

 本局は休日で、公式戦は本局だけとなります。対局室は5階・香雲の間。どちらかといえば、若手棋士や女流棋士の対局が多くおこなわれるところです。トップクラスになってからは特別対局室での対局が多い羽生九段にとって、珍しい場所かもしれません。

 王将戦リーグは抽選時に先後が決まるため、振り駒はおこなわれません。その分、両対局者とも作戦は立てやすくなります。

記録「それでは時間になりましたので、羽生先生の先手番でお願いします」

 記録係による対局開始の合図を聞いて、両対局者は一礼。持ち時間4時間の戦いが始まりました。

 これまで王将戦は1手60秒未満切り捨ての「ストップウォッチ方式」でした。今期からは一次予選、二次予選、リーグはすべての時間をカウントする「チェスクロック方式」へと変わっています。

 

 羽生九段先手で、戦型は相掛かりへと進みました。五十代になってもなお、以前と変わらず、最新の戦型で戦い続けるのが羽生流です。

 後手の服部四段は飛車で羽生陣の7筋、3筋の歩をかすめ取って2歩得。前例のある進行から26手目、服部四段が手を変えました。

 羽生九段は飛車を2筋から8筋へと大きく転換。未知の局面での戦いが始まっています。

服部「この一手は何分ですか?」

記録「17分です」

服部「はい」

 記録係にしきりに消費時間を聞くのが服部四段のスタイル。そして34手目を指しました。

 11時を過ぎた段階で、形勢は互角。12時から40分の昼食休憩をはさみ、通例では夕方から夜にかけての終局となります。

 羽生九段の今年度成績は11勝4敗(勝率0.733)です。

 昨年度はフルシーズン参戦36年目にして初めての負け越しを喫した羽生九段。今期は「順調」とでもいうべきか、7割を超える成績です。

 絶好調の服部四段。今年度成績は26勝5敗(勝率0.839)です。

 服部四段は現在、対局数、勝数、連勝の3部門でトップに立っています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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