Yahoo!ニュース

今年の東京の暑さのまとめ 高気圧と低気圧や前線が交互に通過し、今週末からは寒気が南下で短い秋の始まり

饒村曜気象予報士
晩秋(写真:イメージマート)

高気圧と低気圧や前線が交互に通過

 秋は、高気圧と低気圧や前線が交互に通過し、天気は周期変化することが多く、低気圧や前線が通過して雨となったあとは、寒気が南下して一段と寒くなって冬に向かうというのが一般的です。

 令和6年(2024年)10月16日は、前線の通過でほぼ全国的に雨となり、激しい雷雨となる所もありましたが、前線が通過した北海道・東北北部から晴れ間が広がってきました(図1)。

図1 地上天気図(左:10月16日9時)と予想天気図(中:10月17日9時の予想、右:10月18日9時の予想)
図1 地上天気図(左:10月16日9時)と予想天気図(中:10月17日9時の予想、右:10月18日9時の予想)

 ただ、今回は、低気圧や前線が通過しても寒気があまり南下せず、熊本県・甲佐で32.8度を観測するなど、全国の52地点(気温を観測している914地点の約6パーセント)で最高気温が30度以上の真夏日を観測しました。

 最高気温が25度以上の夏日も377地点(約41パーセント)もあり、平年より気温が高い状態が続いています(図2)。

図2 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(10月17日以降は予想)
図2 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(10月17日以降は予想)

 移動性高気圧におおわれる10月17日も気温は平年より高く、低気圧や前線が通過して雨となったあとは、寒気が南下して一段と寒くなるというわけではありません。

 ただ、18日に華中に出現する低気圧か通過する今週末以降は、寒気が南下して寒くなるでしょう。

 遅れ気味ですが、季節は着実に進んでいます。

東京の今年の夏

 去年、令和5年(2023年)は、9月まで記録的な暑さが続き、各地で暑さに関する記録が相次ぎました。

 東京も、最高気温が35度以上の猛暑日が22日、真夏日が90日、最低気温が25度以上の熱帯夜が57日と、暑さに関する主要な3つの指標(猛暑日、真夏日、熱帯夜)のすべてで新記録となりました(表1)。

表1 東京の猛暑日、真夏日、熱帯夜の年間観測日数
表1 東京の猛暑日、真夏日、熱帯夜の年間観測日数

 今年、令和6年(2024年)も、10月16日までに、猛暑日が20日、真夏日が82日、熱帯夜が47日もあります。

 16日先までの天気予報をみても、これ以上増えることはなさそうですので、猛暑日と真夏日は歴代2位、熱帯夜は歴代5位になりそうです。

 今年、令和6年(2024年)も、現在までに、猛暑日が20日、真夏日が82日、熱帯夜が47日もあります。

 ただ、記録的な暑さとなった令和5年(2023年)と令和6年(2024年)ですが、ともに早い真夏日、遅い真夏日などの5位までの記録は更新していません(表2)。

表2 東京の早い真夏日と遅い真夏日(明治8年(1876年)6月~令和6年(2024年)10月16日)
表2 東京の早い真夏日と遅い真夏日(明治8年(1876年)6月~令和6年(2024年)10月16日)

 東京は、明治8年(1875年)6月5日以降の気象観測がありますが、一番早い真夏日は昭和34年(1959年)の5月5日、一番遅い真夏日は平成25年(2013年)の10月12日です。

 つまり、長い観測の歴史の中には、いろいろな条件が重なって、ポツンと暑い日が出現し、ランキング上位に入ることがあるのですが、去年と今年の暑さは、集中して暑い日が継続したというということで、暑さの記録を更新したのです。

 令和6年(2024年)の東京は、最初に夏日となったのは3月31日と、早春の段階から暑い日があらわれていました。そして、最初に猛暑日を観測したのが7月4日、最後と思われるのが9月18日です(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(10月17日以降はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(10月17日以降はウェザーマップの予報)

 最高気温、最低気温ともに平年より高い日が3か月も続き、一番気温が高かったのは7月29日の37.3度です。

【令和6年(2024年)の東京】

猛暑日:最早 7月4日 最遅 9月18日(ほぼ確実)

真夏日:最早 6月12日 最遅 10月4日(ほぼ確実)

熱帯夜:最早 7月4日 最遅 9月20日(ほぼ確実)

夏日:最早 3月31日 最遅 10月16日

(10月19日と10月23日が夏日の予報で最遅を更新の可能性あり)

 9月後半から10月前半は最高気温が日ごとに変化しましたが、気温が下がって平年並みでした。

 10月9日には最高気温が17.7度と大きく下がりましたが、10月21日にも最高気温が18度と予想されています。

 10月18日に華中に出現する低気圧が通過したあと、寒気が南下してくるのですが、そのあとは、また平年より気温が高くなる見込みです。

 季節は着実に冬に向かって進んでいますが、その歩みは遅れ気味です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表1、表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事