豊島竜王の3連覇か、藤井三冠の最年少四冠か――第34期竜王戦七番勝負展望
豊島将之竜王(31)に藤井聡太三冠(19)が挑戦する第34期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)は10月8、9日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で第1局が行われる。
豊島竜王にとっては3連覇がかかり、唯一のタイトルを死守できるかの防衛戦。挑戦者の藤井三冠(王位・叡王・棋聖)にとっては史上最年少19歳四冠が期待される七番勝負だ。
データを基に勝敗と展開を予想してみた。
<竜王戦七番勝負日程>
第1局 10月8、9日 東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」
第2局 10月22、23日 京都府京都市「総本山仁和寺」
第3局 10月30、31日 福島県いわき市「雨情の宿 新つた」
第4局 11月12、13日 山口県宇部市「ANAクラウンプラザホテル宇部」
第5局 11月26、27日 岡山県倉敷市「円通寺」
第6局 12月4、5日 鹿児島県指宿市「指宿白水館」
第7局 12月17、18日 山梨県甲府市「常磐ホテル」
挑戦者藤井三冠に勢い
<豊島竜王の最近10局>(相手の肩書は対局当時)
8月9日 叡王戦五番勝負第3局
対藤井二冠 ●
8月18、19日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第4局
対藤井王位 ●
8月22日 叡王戦五番勝負第4局
対藤井二冠 ○
8月24、25日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第5局
対藤井王位 ●
9月4日 将棋日本シリーズ2回戦
対広瀬章人八段 ○
9月13日 叡王戦五番勝負第5局
対藤井二冠 ●
9月17日 順位戦A級
対羽生善治九段 ○
9月23日 ALSOK杯王将戦リーグ
対広瀬八段 ●
9月27日 棋王戦本戦
対菅井竜也八段 ○
9月30日 ALSOK杯王将戦リーグ
対糸谷哲郎八段 ○
<藤井三冠の最近10局>(相手の肩書は対局当時・放映前のテレビ対局を除く)
8月24、25日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第5局
対豊島竜王 ○
8月30日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局
対永瀬拓矢王座 ○
9月2日 棋王戦本戦
対斎藤明日斗四段 ○
9月13日 叡王戦五番勝負第5局
対豊島叡王 ○
9月17日 棋王戦本戦
対斎藤慎太郎八段 ●
9月20日 順位戦B級1組
対木村一基九段 ○
9月25日 将棋日本シリーズ2回戦
対千田翔太七段 ○
9月27日 ALSOK杯王将戦リーグ
対糸谷哲郎八段 ○
9月30日 順位戦B級1組
対横山泰明七段 ○
10月4日 ALSOK杯王将戦リーグ
対広瀬章人八段 ○
豊島竜王は今夏から秋にかけ挑戦者の藤井三冠と王位戦(1勝4敗)、叡王戦(2勝3敗)と番勝負を連続で戦って敗れ、竜王のタイトルが「最後の牙城」となった。
直近10局は藤井三冠との対局が多く5勝5敗と指し分けにとどまっているのは不安材料だが、他棋戦の内容を見る限り少しずつ調子を取り戻しているように見える。
対照的に藤井三冠の直近10局は9勝1敗と非の打ち所がない好調ぶり。痛い黒星は棋王戦本戦の敗局のみだ。
過去の直接対決は豊島竜王の9勝8敗(1千日手)と星一つの勝ち越しだが、今年に入ってからは藤井三冠が8勝3敗と巻き返しており、調子の比較では藤井三冠断然有利といえるだろう。
戦型は相掛かりと角換わり中心か
戦型はこのところトップ棋士の間で大流行している相掛かりを中心に角換わりを交えての戦いになることが予想される。
藤井三冠先手の場合は最近多用している相掛かりがメーンで、後手の豊島竜王が変化すれば横歩取りになることもあるだろう。
豊島竜王先手ならば相掛かりか角換わりに進む可能性が高いと予想する。いずれにしても両者の研究をぶつけ合う最先端の戦いになることは間違いない。
今回の七番勝負で豊島竜王が防衛すれば今しばらく群雄割拠の戦国時代が続くとみるが、藤井三冠が奪取に成功すれば今年度末には五冠の可能性もあり一気に「藤井時代」を迎えることになるだろう。