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人間国宝を英語で言うと?

後村栄子英語講師コーディネーター

以前(と言っても大昔)、英語の勉強をしていて「人間国宝」と言う単語が出てきた時のこと。

はて、英語で何というのだろう?

国宝、つまり国の宝だから、そのまま直訳して、national treasure かな~と。

自分ながら、悪くない答えだと思いました。

でも、人間ってところを、どう訳すのだろう?
まさか、human なんて言葉は使わないだろうし......。

う~ん、しばらく考えてもおもいつかず、答えを見ると!

”Living national treasure”

あ〜なるほどね~と納得。

Livingとは、生きているという意味。

つまり、「生きている国の宝」という意味になるわけですね。

人間国宝だから、おもわず「人間」という単語をそのまま英語に直訳しそうになりました。

よく生徒さんには、英語を話す時、”日本語に引っ張られないで、ポイントを小学3年生に説明するつもりで簡単に!”と言っているのに。

単語レベルになると、いとも簡単に日本語に引っ張られてしまいました。

逆に、英語から日本語に変換する場合を見てみましょう。

”Living national treasure”という英語表現を見た時、すぐに「人間国宝」って出てきますかね?

「生きた国の宝」と訳しそうではないですか?

でも、それだと正しい日本語ではないのです。

日本語には「人間国宝」という表現があるので。

でもこれ、知らないと、Living 「人間」とはなかなか訳せないですよね。

この「人間国宝」の表現ではちょっと悩みました。


かと思うと、”遺失物取扱所”(忘れものコーナー)のような、一見難しいように聞こえる単語は、あっさり ”Lost and Found” だと分かったのですけどね。

これはいちいち、「遺失物は?」「取扱所は?」と直訳するようなことはありませんでした。

なぜか?

それは、そういう言い方をするのだと覚えていただけのこと。

つまり、丸暗記して覚えていたのです。(いい傾向ではありませんが)

初級レベルのテキストで、旅行に関する話題だと必ず出てくる単語ですからね。

では、一つづづ分解して直訳するとどうなるか?

「遺失物取扱所」って、ちょっと聞くと難しいですよね。

・遺失物→失くしたものと言うことなので、lost item, lost propertyなど。

・取扱所→handling office, はさすがに直訳ですね。

確かに、取り扱うのでhandling で間違ってはいませんが……。

office, counter, service, section あたりでいいでしょう。

このくらいの英語でしたら、すぐに浮かびそうですね。

カタカナとしても馴染みのある単語ばかりですので。

「取扱所」という表現を、無理に「取り扱う所」と直訳する必要はないわけです。

何か問題があった時に対処してくれる所なので「office, counter, service, section 」でOKなのです。

まとめ

英語と日本語はまったく違う言語です。

なので、右のものをそのまま左に移行することは不可能。

その言葉やフレーズのもともとの意味をよく考えて、英語や日本語に転換、置き換えすることが必要です。


常日頃から、洋書やニュース記事を読んだり、動画を見たりして、多くの英語に触れることが大事ということですね。

ちなみに、「人間国宝」 「遺失物取扱所」はともに通訳士試験に出た問題です。

英語講師コーディネーター

英語講師歴30年以上。初級の英語学習者さん共通の悩みは、言いたいことがうまく英語で言えないこと。中学英語の基礎があれば、おおよそのことは言えます。あとは、ちょっと発想を変えるだけ。そのコツや英語学習情報、日本人だからやってしまう「英語の間違いあるある」についてお伝えします。

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