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アメリカ西海岸で開催される「トーナメント・オブ・ネーションズ」に、なでしこジャパンが参戦!(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
短い準備期間で共通理解を深めた、なでしこジャパン

 日本時間7月28日8時18分(アメリカ西部時間7月27日16時18分)、アメリカ西海岸の都市シアトルで、女子サッカーの4カ国対抗の国際大会、「トーナメント・オブ・ネーションズ2017」が開幕する。

アメリカ西海岸で開催される「トーナメント・オブ・ネーションズ」に、なでしこジャパンが参戦!(1)

 以下、大会に向けた高倉麻子監督と選手のコメント。

監督・選手コメント

高倉麻子監督(26日ブラジル戦前日練習後)

ーーこの大会の位置付けについて教えて下さい。

アメリカ、ブラジル、オーストラリアという、世界のトップ(クラス)が集まった大会です。私たちは新しいチームでいろいろなことにチャレンジしていますが、勝ちにこだわりながら、選手一人ひとりの良いところが出るように、いろいろな組み合わせを試しながら、チームの約束事も積み上げていきたいと思います。先日、(オランダで開催中の)ヨーロッパ選手権を見に行きましたが、日本は世界がやっているサッカーとは違う良さがあるということを改めて感じました。その辺りを出していきたいです。

ーーこの大会を通じて、今後、選手を絞り込んでいくことは考えていますか?

あまり(選手を)固定しないでやりたいと思いますし、基本的に、レギュラーとサブを分けないでチーム作りをしていきたいと考えています。誰がどこ(のポジション)で起用するかは、(試合)ギリギリまで考えたいと思っています。今回は新しい選手を5人呼んでいるので、(新たなポジションに)抜擢することもありますし、勇気を持って、その選手を信じて使いたいと思います。センターバックの肝になる熊谷(紗希)がいないので、チーム全員で穴埋めを考えなければいけません。経験を積んで、自信を持ってプレーし始めている若手もいるので、継続して使いながら、世界トップレベルとの対戦を通じてレベルアップしてほしいですね。

ーー今回の遠征では、チームとしてどのような面を強化したいと考えていらっしゃいますか?

合宿を重ねるたびに、お互いの良さを理解しながら選手同士が話をできるようになってきています。選手が自主的に作り上げていくものが呼び覚まされるようなトレーニングとアドバイスをしていけたらいいな、と。あくまでも、日本らしい攻撃をするための守備として、強さは出していくつもりです。

ーー初戦のブラジル戦で、特に、選手に求めていきたいものは何でしょうか?

ブラジルの個の力は秀でていると思いますが、私たちは組織的な部分を大事に戦っている中で、1対1でも怯むプレーはしてほしくないですし、真っ向勝負を挑んでいきたいと思います。

DF 鮫島彩(25日練習後)

ーー紅白戦ではいつもと違うポジションでプレーしていましたが、今大会は、どのような役割を意識していますか?

自分がやれることははっきりしていて、急にできることを増やせるものではないと思っているので、まずは自分にできることをしっかりやって、足元をすくわれないようにしたいと思っています。

ーー対戦する3カ国は、日本の選手とはボールへのアプローチも違いますが、守備の対応においてはどのようなことが重要だと思いますか?

代表としてプレーする以上は、どんな相手でも負けてはいけないですし、ディフェンダーとして、まずは失点を防ぐことが仕事だと思っているので、そこからシンプルに考えていくつもりです。センターバックでは、(市瀬)菜々がラインコントロールもできるし、彼女は前に強いタイプです。一緒にプレーする選手の特徴をうまく活用していくことも大切だと思います。

最終ラインは、人ではなくて、ボールの動きに合わせて動くので、個人個人がしっかり判断できていれば、横のラインも自然と揃うものだと思いますし、できなければいけないところだと思います。(課題としては)もっと、状況に応じて(最終ラインの)上げ下げをはっきりしていきたいですね。

ーー大会を通して、個人として目標にしていることを教えてください。

いつもと違うポジションでプレーする場合は、不安要素もありますが、まずは何ができるか、ということが大切だと思います。でも、チャレンジする中で、自分のできることをどれだけ伸ばせるかは楽しみですね。手強い相手ばかりなので、そう言っていられる大会ではないと思うのですが。絶対に勝ちを目指しつつ、そこをプラスに捉えていきたいです。

DF 市瀬菜々(25日練習後)

ーー今大会は、これまでセンターバックを組んできた熊谷選手が不在ですが、2日目の練習を終えて、どのような印象ですか?

いろいろな選手とセンターバックを組めることも、良い経験になると思います。アメリカとブラジルとはアンダー世代で対戦しているので楽しみですね。アメリカは、今まで戦ったことのないレベルだと思うので、課題もいっぱい出ると思いますが、自分の良かった点も見つけながら、課題をしっかりと受け止めていきたいです。

ーー今回、チームと個人として高めたい部分を、それぞれ教えて下さい。

今日の練習でも、ラインコントロールについて、大部コーチから指摘されたことがありました。みんなでしっかりラインを揃えられたら簡単に裏を取られることもなく、良いボールの奪い方ができると思います。自分は裏への対応はあまり得意ではないので、足下でしっかりと奪い切りたいですね。

個人としては、裏のスペースを狙いながらもしっかり足下でつなぐビルドアップを意識しています。最近はチーム(マイナビベガルタ仙台レディース)でもうまくいっていない部分があるので、ビルドアップが上手くなって帰りたいです。

ーー初招集の選手もいますが、コンビネーションはいかがですか?

(ボランチの)櫨(はじ)まどか選手は足下のコントロールが上手なので、ボールを預けやすいですし、強く当てても大丈夫だろう、という気持ちでプレーしています。

ーー特に、対戦が楽しみな選手はいますか?

アメリカの、フォワードのモーガン選手です。彼女はスピードのある選手ですが、自分の予測がどこまで通じるか、試してみたいですね。

MF 長谷川唯(26日ブラジル戦前日練習後)

ーー強豪との3連戦で、楽しみにしていることを教えてください。

アンダー世代ではアメリカともブラジルとも対戦していますが、結構、いい試合ができたという手応えがあったので、フル代表相手にどこまでできるかな、と楽しみにしているんです。

フル代表のアメリカは体が強いというイメージがありますが、昨年のU-20の大会では、フィジカル面でアメリカにやられていた印象はありませんでした。

なるべく、体で当たらないプレーを選択するつもりですが、当たった場合でも、今、取り組んでいる筋力トレーニングの成果を試してみたいです。試してみて、うまくいかないことについては、1年後にどうなっていたいかということをイメージしてプレーしたいです。

ーー筋力トレーニングでは、どの部分を鍛えているのですか?

腿(もも)の裏や、お尻周りです。なでしこジャパンの1月の合宿で、フィジカルを強くしよう、という話をされてから、専門のトレーナーの方に教わったり、サッカーではあまり使わない筋肉を使うことを意識するようになりました。サッカーでは体の前の筋肉を自然と多く使うので、体の後ろの筋肉をうまく使えるようになったら、加速などの部分もレベルアップできると思います。

ーー攻撃面で試してみたいことや、新しいメンバーとの連携で手応えを得ていることはありますか?

北川(ひかる)選手とは、アンダー世代から一緒にやっているので、お互いが言いすぎなくてもできるような関係がありますし、他の選手とも(国内リーグで)対戦相手としてプレーしているので、特徴は把握しています。たとえば、代表にはロングボールが得意な選手がベレーザよりも多いので、そういう点を活かせるように、臨機応変にやっていきたいです。

ーー今回、特に対戦を楽しみにしている選手はいますか?

ブラジルのマルタ選手は、私が小さい頃、女子サッカーの選手で知っている数少ない選手でした。そういう選手と一緒にピッチに立てるのはすごく光栄ですし、対戦することができたら、負けないように頑張ります。

攻守の切り替えを意識したトレーニングが多く見られた(泊志穂、阪口夢穂、櫨まどか
攻守の切り替えを意識したトレーニングが多く見られた(泊志穂、阪口夢穂、櫨まどか
左からMF猶本光、MF阪口夢穂
左からMF猶本光、MF阪口夢穂
左からDF坂本理保、FW横山久美、FW泊志穂
左からDF坂本理保、FW横山久美、FW泊志穂
左からGK山下杏也加、FW田中美南
左からGK山下杏也加、FW田中美南
左からDF市瀬菜々、DF北川ひかる
左からDF市瀬菜々、DF北川ひかる
スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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