雨が止んでも河川氾濫や土砂災害が発生するメカニズム
自分の住んでいる流域単位で災害を警戒する
福岡県、長崎県、佐賀県、広島県に発表されていた大雨特別警報は、8月15日(日)6時10分に警報に切り替えられた。
だが、引き続き警戒が必要であり、場合によってはこれから避難を検討する必要もある。
佐賀県嬉野市で1000ミリを超える雨となり、福岡県、長崎県など広い範囲で総雨量800ミリを超える記録的な大雨となった。
降った雨は、止まっているわけではない。地形の傾斜にしたがって、高いところから低いところへと流れる。上流域から下流域に水が集まってくる。
自分の住む場所の雨が止んでいても、上流域の降水量が多ければ川の水が増える。
令和元年台風19号の際、水戸の10月12日の降雨量は126ミリ(気象庁発表)。地元の人は「たしかに風雨は強かったが、騒ぐほどのことではなかった」「たいしたことなくてよかった」と口をそろえた。
しかし、13日の午後3時過ぎ、水戸市に水があふれた。この水は上流域からやってきたものだ。
だから、自分の住む地域の天気予報だけでなく、上流域の天気予報もチェックする必要がある。
自分がどこの流域に所属しているかは「DamMaps:川と流域地図」などで確認できる。
土砂災害の発生はこれから
今後も雨が断続的に降るという予報である。前線は本州付近に停滞し、今後新たに降る雨量は、西日本や東日本の一部で200ミリ以上、九州の多い所では300ミリを超える予想。
長雨の後は土砂災害も起きやすくなる。長く降り続いた雨は地層にゆっくりしみ込んでいく。雨がやんで地表の水分が流れきっても、地層は湿潤状態になり、崩れやすくなる。
雨が上がっても注意が必要だ。
平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の際は、雨が上がってからまる1日以上経ってから、広島県府中町の榎川で土石流が発生し、周辺の民家などに土砂が流入した。だが今回は、九州の一部で、すでに「西日本豪雨」を上回る雨量になっている。
とくにハザードマップで土砂災害警戒区域に指定されている人は、以下の前兆現象に注意し、警戒すべきだ。
●崖崩れの前兆=湧き水の増加や濁り、小石の落下、崖に発生する亀裂
●地滑りの前兆=井戸水の濁り、地鳴りや山鳴り、地面に発生する亀裂
●土石流の前兆=河川の濁りや水位の低下、山鳴り、流木や転石の音の発生
また、上流域の土地利用にも注意する必要がある。Googleマップなどで、自分の住む地域の上流にハゲ山、大規模な開発など、土砂災害を誘発する土地利用を確認しておきたい。そうした場所があれば、早めに避難する必要がある。
豪雨に関しては「垂直避難」でよいが、土砂災害は「垂直避難」では避けられない。命を守るためには「安全な場所への避難」が必要だ。
コロナ禍の豪雨・土砂災害という複合災害における注意点は以下にまとめたので参考にして欲しい。