ソフトバンク又吉克樹「中継ぎには、これが大切」とこだわるランニング練習法とは?
ソフトバンクの又吉克樹投手が20日、移籍後初めて「HAWKSベースボール筑後」を訪れて自主トレを報道陣向けに公開した。
約2時間半の練習のうち最初の50分間はランニングメニューに費やし、「今までも走り込みをメインにやってきたので」とこだわりを口にした。
「ランニングして、投げ込んで」
かつては“走れ、走れ”が当たり前だったプロ野球界も、近頃では科学的なトレーニングメニューが流通して風潮が変わりつつある。しかし、又吉は「僕はそれしか知らない。ランニングをして投げ込んで、結果的にこの登板数を果たしてきました」という。
昨年まで通算8シーズンで400試合に投げてきた。昨季は66試合に登板し、3勝2敗33ホールド8セーブ、防御率1.28と素晴らしい成績を残した。
「もともと走る量を大事にしています。中日に居た時から、岩瀬(仁紀)さんや山井(大介)さん、吉見(一起)さんに『走れなくなったら終わりだぞ』と言われていたので」
この日も外野フェンス沿いをひたすらランニング。仕上げには両翼のポール間を10本、スピードを上げて駆け抜けた。その走り方にも“又吉流”のこだわりがある。
「一本のタイムよりもレスト(休憩)を短くし、その中で同じパワーで走り続けることを意識しています。それが中継ぎをやる上で大切だと思っています。もしマウンドに上がって1球だけ投げればいいのなら、ランニングも1本だけを全力で走ります。だけど、1イニングの10数球を全力で投げる中で、例えばベースカバーに行った後にも回復させて投げないといけないわけじゃないですか。それを考えると、このようなメニューがいいのかなと思ってやっています」
サイン色紙に記す「心」の意味とは
また、中日OBの岩瀬氏からは別のところでも影響を受けていた。この日の取材の一環でサイン色紙に今季の目標を書いてほしいと頼まれると、「僕の大切にしている言葉でもいいですか」と言って、サラサラと「心」の1文字を書き記した。
「どんな時でも心がブレず、芯もブレず。心がブレなければ、自ずとやれることの結果はついてくる。岩瀬さんにいただいた言葉です。やると決めたらやり続けなさいという意味でいつも書いています」
球界で今オフ唯一のFA移籍選手とあって、この日も多くの報道陣に注目を浴びながらの練習だった。「こんなに(メディアに)囲まれたのは初めてです」と照れ笑いを浮かべた。
昨シーズンはFA取得年の重圧からか「シーズン終盤に『10円はげ』が出来たんです」と言って、頭頂部を見せてきた。そのプレッシャーにも負けず、前述した自己最高の成績を収めてみせた。
キャンプインすればより注目を集める存在になりそうだが、「自分のやれること以上のことはできない。だから、自分のやれることに専念したい。150キロ連発とか、いきなりできないですから(笑)。去年やったことと同じような結果や投球を出せるよう準備したいです」と意気込んだ。