ハロウィンの経済効果 日米差は7倍 その差は「寄付文化」にあり?
古代ケルト人が起源と考えられ、秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったハロウィン。現代では特に米国で民間行事として定着し、子供達が仮装やお菓子をもらうことを楽しむイベントになっています。日本のハロウィンは若者が仮装などファッションを楽しみながら仲の良い仲間達で集まるというユニークな行事になってきています。
日本記念日協会によると、2017年の「ハロウィン」の推計市場規模は約1305億円で、16年の約1345億円から約3%のダウン。衆議院選挙の影響からメディアで取り上げられる機会が減少したことが影響とみられます。
他方で、米国でハロウィンに向けて買い物に費やす金額は、過去最高額を記録した昨年の84億ドル(約9420億円)から8.3%増え、91億ドル(約1兆円)に達する見通しです(全米小売業協会と調査会社プロスパー・インサイツ&アナリティクスが実施した調査結果)。
キャンディをはじめとする菓子類と装飾などに使用される雑貨類は、それぞれ27億ドル(約3028億円)の売り上げが見込まれており、購入を計画している人の割合は、菓子類が95%、装飾用の雑貨が72%です。菓子類と装飾などに使用される雑貨類だけでも日本よりの経済効果全体よりも遙かに大きくなります。
なぜこんなに菓子装飾にお金をかけるのかというと、寄付の文化があるからだと推測します。筆者も現在、シンガポールに住んでおり、子供の学校関係でアメリカンコミュニティーにも所属をしています。本国のミニチュアバージョンにはなりますが、それでも有名なストリートには何千人もの人達が集まり、ひとつの家で8000千本ものキャンディを用意しなければならないんだと言っている人達もいました。
日本人の私ですら、学校の先生にお菓子の詰め合わせの袋を10個ほど渡し、学校のパーティーでは30人分のフルーツを準備しました。欧米社会やそれに影響を受けたアジア社会では寄付が一般的なのです。日本人のようには割り勘にはせずに、準備をした人がお金を払い、他の人が準備をした場合は自分は払わなくてもよいという風習のことが多く、最初は戸惑いました。
2007年度の日本の寄付額は約5910億円(名目GDP比0.11%)に対して、2008年度の米国の寄付額は約36兆2258億円(名目GDP比2.2%)と名目GDP比で比較をしてもその差は20倍もあります(総務省統計局、国税庁、AAFRC Giving USA2009 NCVO UK Voluntary Sector Aimanac 2008より)
ハロウィンもファッションとして楽しむことに加えて、子供達へのお菓子の準備や街や各家庭の装飾、アメリカでは流行っていますがペットへの仮装などがより普及していけばより経済効果が大きくなるのではないかと予測しています。
また、寄付をすることにより個人にも効用があります。お金を使うことには財布が厳しくなるというデメリットもありますが、より多くの人に感謝をされ、評判や将来お返しを受けるなど後から自分に返ってくることがより大きくなるのです。寄付の効果を知っている人達は進んで寄付をしますし、その効用もしっかりと得ているようです。私達、日本人もハロウィンなど海外の行事などを契機にして、寄付文化をもっと取り入れていきたいですね。