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【NHL】アリゾナ一筋21年!コービー・ブライアントを上回るフランチャイズプレーヤーが遂に移籍へ!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
2004年のワールドカップでカナダの優勝にも貢献したシェーン・ドーン(写真:ロイター/アフロ)

NHLはプレーオフも終了し、ベガスゴールデン ナイツの新規加盟に際して、他チームから選手を補強するエクスパンションドラフトの話題が、連日報じられています。

しかし、その話題を上回るニュースが飛び込んできました!

アリゾナ コヨーテスのキャプテンで、オリンピックやワールドカップでカナダ代表のFWとしても活躍したシェーン・ドーン(40歳)が、他チームへ移籍する決意を固めたのです !!

▼コービーを上回るフランチャイズプレーヤー

1月16日に当サイトに掲載した「アリゾナ一筋21年!あのコービー・ブライアントを上回るフランチャイズプレーヤーが遂にトレードに!?」でも触れましたが、改めてどんな選手なのか紹介しましょう。

シェーン・ドーン/ 1976年10月10日 カナダ・アルバータ州生まれ。

父親がアイスホッケー選手。妹はバスケットボール選手というスポーツ一家で育つ。カナダのジュニア時代から頭角を現し、1995年のNHLドラフトで、当時のウィニペグ ジェッツ(現在のウィニペグジェッツは、アトランタスラッシャーズが前身)に1巡目(全体7番目)で指名され、その年の10月7日に行われた開幕戦にルーキーながら出場し、18歳でデビューを飾る。

その後、ホームタウンやチーム名の変更はあったものの、同一チームに在籍し続けて迎えた21季目(昨年12月23日の対トロント戦)で、史上93人目の「通算400ゴール」を達成。

移籍が日常茶飯事になっている北米4大メジャースポーツでは、NBAのコービー・ブライアントが、ロサンゼルス レイカーズ一筋に「20季」もプレーをしましたが、ドーンはコービーを上回り、「21季」にわたって同じチームでプレーをし続けているフランチャイズプレーヤーなのです!

▼オーナーが再契約を否定

しかし、昨年のオフに結んだ1年契約が満了したドーンに対し、アリゾナは再契約はしないと通達!

アンドリュー・バロウェイ オーナー兼チェアマンは、「難しい決断だった」と話したのに続いて、「彼はNHLで最高のキャプテンの一人だ。多くのファンやメディア、さらにスポンサーやパートナーに愛され続け、子供たちの手本となる人格者でもある。(ホッケーが盛んでなかった)アリゾナの地でホッケーを広めていくにあたって、多大な功績を残してくれた」と最大の賛辞を送りました。

その一方で、「チームは若くて才能にあふれた選手たちと、明るい将来へ向かって進む時にきている」と話し、来季の開幕を迎える10月で41歳になるドーンとの再契約を見送った理由を打ち明けました。

▼ファンからの悲しむ声

突然飛び込んできた知らせに、アリゾナのファンからは、ツイッターなどを通じて悲しむ声が聞かれます。

悲しむ声はファンからだけではありません。コヨーテスのホームアリーナと隣接するスタジアムで試合を戦うアリゾナカージナルス(NFL)からも、功績を称えるメッセージが届くなど、ドーンが愛されてきた証を垣間見ることができます。

▼アリゾナを離れて現役続行を宣言

地元メディアによると、アリゾナはフロントスタッフとしてチームに残留する提示をしたそうですが、ドーンの代理人のテリー・ブロスは、「フリーエージェント権を行使して、スタンレーカップを狙えるチームと契約する時が来た」と話し、来季もプレーを続けると宣言。

40歳になった今季も欠場したのは8試合だけ。全盛期に比べてポイント(ゴール+アシスト)数こそダウンしているとは言え、ディフェンス面の働きやリーダーシップは、誰もが一目を置くところ。

そして、今季の年俸も「およそ388万USドル(4億3300万円)」と、決して高額ではないことから、ドーンの獲得に動くチームが見られそうです。

▼第二のレイ・ボークになれるのか?

ここで思い出されるのは、アイスホッケーの殿堂にも名を連ねるレイ・ボーク

ボストンブルーインズにドラフト1巡目(全体8位)指名されて以来、看板DFの役割を担い続け、キャプテンも務めただけに、名門ボストンの”顔”と称されました。

ところがボークは、チームを19回もプレーオフへ導きながら、スタンレーカップには一度も手が届かず・・・。

そこでボストンは功労者の悲願を叶えてあげようと、2000年3月に優勝候補の一角と言われていたコロラド アバランチへトレード。

この想いが叶い、ボークは39歳にして、ようやくスタンレーカップを手にしたのです!

コービーを上回るフランチャイズプレーヤーは “第二のレイ・ボーク” になれるのか?

ドーンが新天地で悲願を叶える姿が見られる日を、多くのアリゾナファンが心待ちにしているに違いありません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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