総務大臣がワンセグも受信設備の設置と認識。NHKの公共性とは?
KNNポール神田です!
NHKのワンセグ裁判の敗訴に対して、高市総務大臣がコメントを発表した。
一方、政治団体「NHKから国民を守る党」代表の立花孝志氏はさっそく異論を唱えるビデオで応戦している。「一審とはいえ、総務省は、裁判の判決を重く受け止めるべきだ」また、週明けにも、総務省内での受信契約に不備を理由に、総務大臣を相手にも裁判を予定としている。
さらに、最高裁にまで控訴、上告と続けば、このNHKワンセグ裁判は2〜3年間は、常に議論の的となることとなるだろう。むしろ、NHKという日本の公共放送を担う事業者は、法的な支払い義務ではなく、国民が納得して受信料を納付するという、いわば商行為においての平等なトレードの関係性を検討すべきではないだろうか?
「受信料を支払わなければならない」という放送法の議論ではなく、受信料を支払う価値があるものとしての理解をもっと深めるべきだろう。もちろん、受信料金も現在の受信料金が正しく妥当である姿も含めて、これだけ情報の選択肢が増えた中、受信料に対しての原価計算の方法、制作された番組の活用方法なども含めて積極的に議論されるべきではないだろうか?NHKの受信料は税金ではないからだ。
そろそろ、スマホ時代のNHKのあり方も議論すべきでは?
民主主義の日本で、三権分立が存在するからこそ、このような裁判による判決が重要視される。しかし、「ワンセグ」というガラケー時代のオマケ機能を『受信設備の設置』と解釈するのはいささか無理があるような気がする。むしろ、議論したいのは、スマートフォンでNHKの番組についてフルにアクセスできる権利を議論したいと筆者は考えている。災害の緊急時にだけ、NHKはインターネットでも、サイマルキャストによるライブ放送を行っている。つまり、ネットで放送できるインフラは存在している。であれば、公共放送としての立場を考えた場合、テレビジョンにかぎらず、スマートフォンなどの携帯端末においても全番組を視聴できたほうが公共性は確実に高いのではないだろうか?
受益者負担の原則
放送法によって決められた法律も、インターネット接続やスマートフォン接続を想定し作られた法律ではない。むしろ、現在においてワンセグ端末を所持している人は、マイノリティーになりつつある。また、社会性のあるメディアもテレビ、新聞、雑誌、ラジオというところから、テレビ以外の、新聞、雑誌、ラジオはすでにネットへのシフトが急速に進んだ。当然、競争があり、スポンサーがあるので、熾烈なるネット時代へのビジネスモデルのディスラプトが発生している。
お茶の間のテレビが、国民のメディアの主流ではなくなる気配は、誰もが感じている。そんな時代に現在のNHKの変わらぬ放送スタイルで、受益者である国民が納得しているだろうか?受信料とは、『受益者負担の原則』によって成立するビジネスモデルである。NHK側に、その支払い額以上の便益(利益)を提供するための努力は、社会に応じてもっとなされるべきだろう。
公共放送と何か?
NHKのサイトによると、公共放送とは…
「公共放送とは営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送」
「(NHKは)公共の福祉と文化の向上に寄与することを目的に設立された公共放送事業体」である。
公共の福祉と文化の向上を考えるならば、ワンセグに限らず、スマートフォンでもフルにネット環境で視聴できるようにすべきではないだろうか?それでこそ、受信料で成立する公共放送事業体かと思える。また、いざという災害時にも、ネットでNHKが放送されていてもわからない。台風などで非難勧告がでているのならばすべてのインフラを駆使して伝えるべく、平時からアクセスできるようにすべきなのである。また、「NHKオンデマンド」という月額972円支払えば見放題というインフラもあるが、受信料を支払っている人には無料でアクセスさせたほうが、全国平均72.5パーセントの世帯支払い率はさらに改善するのではないだろうか?
公共放送NHKのミライ
公共放送として「営利を目的」とせず、「国家の統制からも自立できる」のであるから、国民の声をもっと強く反映した番組を提供されたらどうだろう。そして一度制作した番組はPV数も含めて再利用をされるようにすべきではないだろうか?
国会の放送などはすでに、ニコニコ生放送のほうがNHKよりも長く放送されている。ニコニコ生放送の有料課金は月額540円でプレミア登録ができる。もちろん、税金は一銭も投入されていない。
民間放送と、区別がつかない、アイドルとお笑い番組は必要か?
むしろ、広く国民がソーシャルで拡散し、情報を共有しやすくする為にも、契約を含めた職員中心が出演し、アナウンサーも含めて、肖像権や著作隣接権に触れない番組作りもできるはずだ。すると番組そのものをネットで活用できる。検索視聴できるテレビ番組になれば、情報の価値がかわる。放送コンテンツがインデクシングされ、APIが公開されるともっと想像もしなかったような番組の運用アイデアが登場するだろう。民放ではなできないことをやる意義がNHKにはある。
海外の番組をインバウンド化24時間英語放送
NHKワールドは、海外にいる人が日本の状況を知るためのアウトバウンド番組であり、受信料を支払っていない人へのNHKのサービスでもある。むしろ、小学校から英語教育化など、英語教師の数と質の問題があるのであるから、NHKは英語放送のインバウンド番組を英語教育として、展開すべきだろう。学校で英語を学ぶ以外に、テレビで英語に接する時間を24時間いつでも、増やすほうが日本の国力としての外国語力を上げることができる。NHKの舵取りひとつで、一気にグローバル化に拍車をかけることも可能だ。アジア諸国の中で、英語放送がないガラパゴスは日本と北朝鮮くらいのものである。これで英語教育にチカラを入れているというのはかなり問題だ。24時間英語チャンネルがあり、バラエティやエンタメ、ニュースが英語で学べるNHKがある、もしくは、英語でネタができるお笑い芸人やアイドル、バラエティタレントが登場すれば、子供の時から英語番組を理解できる子供が増え、少なくとも、言語でのグローバル化に落ちこぼれる日本人は少なくなる。
公共放送だからこそ、できるチャレンジを日本のNHKには意識してほしい。時の政府ではできない、日本国民の民度や文化度を上げる真の公共放送をめざして欲しい。公共の福祉に繋がる放送局。それが、安定した受信料徴収への一番の近道だ。