ダグアウトをちらりと見た直後に、ジャッジがホームランを打つ。この視線が意味するのは…
5月15日、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、1打席目と5打席目にホームランを打った。その間の3打席は、四球、四球(押し出し)、敬遠四球。現時点では、2打数連続ホームランを継続している。
2本目のホームランの直前、右打席でバットを構えたジャッジは、投手に向けた顔を動かすことなく、一塁側のダグアウトにちらりと視線を送った。ジャッジの上半身を捉えた映像で、確認することができる。トロント・ブルージェイズの本拠地、ロジャース・センターは、一塁側にアウェーのダグアウトがある。
これに対し、カナダの放送局、スポーツネットのアナウンサーは「何を見ているんだ?」と言った。そうは明言しなかったものの、ヤンキースが相手バッテリーのサインを盗み、ダグアウトからジャッジに伝えている可能性を示唆しているようにも聞こえる。解説者のバック・マルティネスは、捕手の位置を把握――してコースや球種を推測――するのは、あの角度では無理だと語った。選手時代、マルティネスは捕手だった。
試合後のクラブハウスで、ジャッジは、MLB.comのブライアン・ホックら、記者に囲まれた。ジャッジの説明をまとめると、以下のようになる。
この打席中に、アーロン・ブーン監督は、ダグアウトから球審の判定に異議を唱え、退場を宣告された。その後も、球審に向かって叫んでいる選手あるいはコーチがいた。6対0とリードしている場面で言い続けることではないとジャッジは思い、声を上げているのが誰なのかを確認しようとした。
おそらく、ジャッジは本当のことを言っているのだろう。
かつて、ヒューストン・アストロズがサインを盗んでいたのは、本拠地のミニッツ・メイド・パークだ。アウェーの球場に電子機器を設置し、サインを盗むシステムを構築することは、まずできない。また、マウンドにいたジェイ・ジャクソンの癖をヤンキースが見抜いていて、それをジャッジに伝えようとしていたとしても、こちらはルール違反ではない。
前日の試合で、打たれたジェイソン・アダム(タンパベイ・レイズ)がホームランだと確信したジャッジの打球は、フェンスを越えなかった。だが、前々日の試合でも、ジャッジは2本のホームランを打っている。ここ3試合で2度目の1試合2本塁打――4月9日も記録しているので今シーズン3度目――により、ジャッジのシーズン本塁打は二桁に達した。
ヤンキースは、43試合を終えたところだ。ジャッジの10本塁打は、昨シーズンの同じ時点よりも7本少ない。ただ、今シーズンは、先月下旬から今月上旬まで、故障者リストに入っていた。ここまでの出場は33試合だ。昨シーズンは、最初の出場33試合で12本塁打だったので、それと比べると2本しか違わない。