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トミー・ジョン手術は、どの球種を投げる投手に多いのか。それとも、球種とは無関係!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
S.ストラスバーグ/トミー・ジョン手術後の復帰登板 SEP 6, 2011(写真:ロイター/アフロ)

 トミー・ジョン手術は、どの球種を投げる投手に多いのだろうか。それとも、球種とは無関係なのか。

 まず、スタットキャストのデータから、その球種を今シーズンに10球以上投げている投手を抽出し、彼らがトミー・ジョン手術を受けたことがあるかどうかを調べた。今シーズンの登板があり、その後に手術を受けた投手も、経験者として数えた。

 スプリッターの場合、39人が10球以上を投げている。そのうち、トミー・ジョン手術の経験者は12人。割合は30.8%(12/39)だ。ちなみに、スタットキャストがフォークボールに分類しているのは、田澤純一(現デトロイト・タイガース)の球だけ。田澤は2010年4月にトミー・ジョン手術を受けた。

 それ以外の球種において、トミー・ジョン手術の経験者が占める割合は、それぞれ、スライダーが26.6%(115/433)、チェンジアップが27.0%(97/359)、カーブが27.9%(75/269)、カッターは30.4%(38/125)。なお、カーブにナックル・カーブは含めていない。また、複数の球種でカウントされている投手もいる。例えば、2003年にトミー・ジョン手術を受けたアニバル・サンチェス(現アトランタ・ブレーブス)は、今シーズン、4シームとシンカーを含む7球種を、いずれも20球以上投げている。

 トミー・ジョン手術を受けたことのある投手の割合は、5球種とも、26%から31%の間に収まる。サンプル数の違いなどを踏まえると、差はほとんどないに等しい。この結果からは、特定の球種を投げると、肘の靭帯を損傷し、腱を移植するトミー・ジョン手術を受けざるを得なくなる可能性が高い、と言うことはできない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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