NY金8日:新規失業保険申請件数を受けて反落
COMEX金12月限 前日比4.40ドル安
始値 1,145.00ドル
高値 1,146.10ドル
安値 1,135.90ドル
終値 1,144.30ドル
米新規失業保険申請件数が抑制されたことを受けて、反落した。
本日は中国が国慶節の連休明けになるも、中国市場には特に目立った混乱が見られなかったこともあり、アジアタイムに目立った動きはみられず。やや戻り売り優勢になるも、1,140ドル台前半から中盤での小動きに終始した。一方、ニューヨークタイムに入ると、新規失業保険申請件数が前週の27.6万人から26.3万人まで減少したことを手掛かりに、戻り売り優勢の展開になった。10月3日に発表された9月米雇用統計はネガティブ・サプライズになったが、少なくとも失業者が大きく増加している訳ではなく、雇用改善トレンドは維持されているとの楽観的な見方が広がった結果である。もっとも、引けにかけては押し目を買い拾う動きが強まり、安値から10ドル近く切り返して引けている。
引け後には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(9月16~17日開催分)が公開されたが、金相場は急騰後に急反落するなど、強弱まちまちの評価に。議事録では、多くの当局者が年内利上げを予想しているのを再確認した上で、利上げ見送りの判断は世界経済の成長とインフレの見通しにリスクが高まったため、景気見通しが悪化していない追加情報を待つためだったことが明らかにされている。これは、総じてタカ派の内容と評価できるが、問題は雇用統計の悪化が発表される前の議論とあって、マーケットの評価はまちまち。景気見通しの悪化で利上げ先送り圧力が強まるとの評価も可能であり、金相場は当初買いで反応を示したものの、その後は1,130ドル台後半まで下落している。
FOMC議事録は金価格のトレンドを決定付ける要因としては力不足の感が強く、引き続き米金融政策環境を見極めるための材料待ちのステージが続こう。本日はサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が改めて年内利上げを支持する発言を行っているが、当局者の発言や経済指標などから、米経済が利上げに耐え得る体力を有しているのか、材料収集の時間帯が続く可能性が高い。あくまでも次の政策変更の方向性は利上げであることを考慮すれば、金相場に本格的な資金流入が行われるとは考えていない。年内か否かは保留するとしてもいずれかの時点で利上げが必要なことには変わりがなく、金価格が見直されるわけではない。ただ、改めて売り込むには利上げに対する信認を取り戻していくことが必要不可欠であり、戻り売り基調ながらも材料待ちのステージとなろう。