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エンジェルスの元外野手は、監督ならしたいけどコーチはしたくない!? これまでに監督もコーチも未経験

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、松井秀喜、トリ・ハンター、ホアン・リベラ APR 8, 2010(写真:ロイター/アフロ)

 トリ・ハンターは、ロサンゼルス・エンジェルスの監督候補に挙がったものの、就任には至らなかった。エンジェルスは、ハンターや他の候補ではなく、ロン・ワシントンを監督に選んだ。

 その後、USAトゥディのボブ・ナイテンゲールによると、エンジェルスとワシントン監督は、ハンターを一塁コーチにしたいと考えたようだ。

 それについては、こちらで書いた。

「エンジェルスの新監督が早速コーチ陣を組閣!? 退団するのはホワイトソックスへ移った3人だけでなく…」

 もっとも、こちらも、実現しそうにない。ポッドキャストの番組「ファウル・テリトリー」で、A.J.ピアジンスキは、電話でハンターと話した内容を明かした。ハンターは、ピアジンスキに「一塁コーチになるつもりはない」と語ったという。

 2005年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで演じた振り逃げ――相手はエンジェルスだった――をはじめ、曲者として知られるピアジンスキの言うことだけに、鵜呑みにするのは危険かもしれない。とはいえ、ハンターとピアジンスキは、旧知の間柄だ。彼らは、ミネソタ・ツインズでチームメイトだった。今世紀最初の3シーズンは、それぞれ、レギュラーのセンターと捕手としてプレーした。

 メジャーリーグとマイナーリーグを問わず、ハンターに、監督・コーチの経験はない。ただ、選手としての実績はある。353本のホームランと498本の二塁打を打ち、2001~09年に9年続けてゴールドグラブを受賞した。そのうちの105本塁打と147二塁打はエンジェルス時代に記録し、8度目と9度目のゴールドグラブもエンジェルスで手にした。

 監督の前にコーチというパターンは多いが、いきなりの監督就任も、皆無ではない。例えば、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ブーン監督は後者だ。数日前までシカゴ・カブスの監督だった、デビッド・ロスもそう。来シーズンから、ロスに代わってカブスで采配を振るクレイグ・カウンセル監督の場合、フロント・オフィスで働いたことはあるが、ミルウォーキー・ブルワーズの監督に就任するまで、こちらも、監督とコーチの経験はなかった。

 ちなみに、ハンターの息子、トリ・ハンターJr.は、2016年のドラフトでエンジェルスから23巡目・全体696位指名を受け、傘下のマイナーリーグでプレーしていたが、昨シーズンの終了後に退団した。いずれにせよ、親子が同時に在籍、とはならなかったということだ。息子は、メジャーデビューしておらず、その後は、どの球団にも在籍していない。父は、1993年のドラフト全体20位だ。

 ピアジンスキの振り逃げについては、こちらで書いた。

「1イニングに2度の振り逃げ。マスクをかぶっていたのは、もちろん(?)あの捕手だった」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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