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2020年のドラフトはどうなる!? 西田光汰(JR東日本)ら実績ある投手に関心が集まる

横尾弘一野球ジャーナリスト
JR東日本の西田光汰は、2月のキャンプでもシャープな動きを見せていた。

 新型コロナウイルスの感染が収まらず、プロ野球は5月中の開幕とセ・パ交流戦の実施を断念した。この前代未聞の苦境は、チームの現場はもちろん、編成部門にも大きな影響をもたらしている。多くの球団のスカウティングが開店休業状態で、スカウトたちは悲鳴を上げている。ある球団の編成責任者はこう語る。

「3月の時点で、複数のスカウトによる視察をやめ、チームへの滞在時間も2時間以内とした。それで何とかドラフト候補選手の状態を把握していましたが、7都市に緊急事態宣言が発出されてからは視察も全面的にストップしています。熱心な指導者からは、感染を予防する万全の対策をするので、遠巻きにでも選手を見てもらえないか、という連絡をいただきますが、万が一に備えて遠慮しています」

 当たり前のことだが、プロ野球には支配下登録70人枠があるので、入団する分の選手が退団を余儀なくされる。

「シーズンが始まる頃には、その年限りで戦力外を通告する選手の目星はおおよそつけている」

 そう言う監督もいるが、今年はそのシーズンさえ幕を開けていない。選手を評価する材料がないゆえ戦力外通告を最小限に止めれば、必然的にドラフトで指名できる人数も限られる。さらに、プロ野球の開幕が遅くなるということは、アマチュアの大会も中止になっている公算が高く、ドラフト候補選手の成長の具合や実戦力を見極めるのも難しくなる。

「そうなると、高校、大学、社会人とも昨年までのパフォーマンスが大きな判断材料になる可能性もある。特に、高校3年生で大きく伸びる逸材を見られないのは残念ですね。その分、実績のある社会人で、投手を手堅く補強しておきたいと考える球団はいくつかあるでしょう」

実績のある西田光汰が見せる着実な進化

 そう分析する前出の編成責任者が有力候補の代表例として挙げたのは、JR東日本の右腕・西田光汰である。大体大浪商高から入社して4年目を迎える西田は、ドラフト指名解禁となった昨年も有力候補だった。

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 だが、入社直後にも不安のあった右ヒジの状態が万全ではないと感じると、自らドラフト指名の凍結を申し出て候補から外れる。そして、遊離軟骨の除去手術を受け、シーズンオフにはリハビリと並行して徹底した体力強化にも取り組む。

 そうして迎えた今シーズンは、2月に千葉県柏市の自社グラウンドで行なったキャンプの時点からワンランク進化したボールを投げ込んでいた。昨年の西田は、着実に完成度を高める一方で、投手出身のスカウトの間では評価が分かれていた。球速やボールの力を重視するスカウトには、その完成度が「小さくまとまってしまうのではないか」という印象も与えていたようなのだ。

 しかし、今年になって足を運んだスカウトは、荒々しさも見られるようになったことを一様に評価している。また、JR東日本はチームとして全国制覇を狙うとともに、プロ入りを目指す選手を最大限にサポートする。

「実戦がなくなっている状況に、ドラフト候補と言われる選手は不安を感じると思います。多くのスカウトさんから問い合わせをいただいていますが、こちらからも選手の状態をできる限りお伝えするなど、現状が大きなハンデにならないよう、私たちも最大限の配慮をしています」

 松浦健介マネージャがそう言うように、心強いサポートも受けている西田は、さらなる飛躍を期して地道に練習に打ち込んでいる。

(写真提供/小学館グランドスラム)

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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