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前年の大谷を凌ぐ年俸3100万ドルを手にしたソトは、来オフにFA。大谷級の大型契約を得る!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト(左)と大谷翔平 Jul 12, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2022年のオフ、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、年俸調停を回避し、ロサンゼルス・エンジェルスと年俸3000万ドルで合意に達した。この金額は、年俸調停の申請権を持つ選手の1年契約としては、20002020年にムーキー・ベッツ(現ドジャース)が得た交わした年俸2700万ドル――年俸の確定から1ヵ月のトレードで、ボストン・レッドソックスからドジャースへ移籍――を上回り、史上最高となった。

 この記録は、先日、ホアン・ソト(ニューヨーク・ヤンキース)に塗り替えられた。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンらによると、ソトとヤンキースが合意に達した年俸は3100万ドルだという。

 今オフ、大谷がFAになったように、このままいくと、来オフ、ソトはFA市場に出る。

 2022年の夏、ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールは、ワシントン・ナショナルズが申し出た15年4億4000万ドルの延長契約をソトは拒否、と報じた。そこから半月後に、ナショナルズはソトをサンディエゴ・パドレスへ放出した。そして、今オフ、2度目のトレードにより、ソトは、ナショナルズからヤンキースへ移った。

 ソトが断った契約の総額は、当時の史上最高だったマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)の延長契約、12年4億2650万ドルを上回っていた。現時点でも、トラウトの総額を超える契約は、大谷がドジャースと交わした10年7億ドルしかない。

 2018年のメジャーデビュー以降、ソトは、どのシーズンも出塁率.400以上を記録している。通算本塁打は160本。短縮シーズンの2020年を除くと、5シーズンの平均は29.4本だ。直近3シーズンのホームランは、29本、27本、35本なので、平均は30.3本となる。

 また、トラウトは、12年契約がスタートしたシーズンの年齢(6月30日時点)が27歳だった。大谷の10年契約は、29歳からだ。それに対し、2025年のソトは26歳。2人よりも若い。

 FAとなる前にヤンキースと延長契約を交わすにしても、そうせずに来オフのFA市場に出るにしても、ソトが手にする契約は、トラウトの総額を上回るだろう。ただ、大谷に匹敵する契約となると、話は別だ。

 例えば、ソトの契約が、契約最終年の大谷と同じ年齢の38歳まで、2025~37年の13年契約だとすると、年平均額が5000万ドルでも、総額は6億5000万ドル。大谷の総額に5000万ドル及ばない。

 しかも、これは、年平均額を高めに見積もって計算している。年平均5000万ドル以上の契約は、7000万ドルの大谷を除くと、他には皆無。大谷に次ぐのは、4333万3333ドルのマックス・シャーザー(現テキサス・レンジャーズ)とジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)に、4000万ドルのアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だ。

 ちなみに、ジャッジの契約は9年3億6000万ドルなので、FAとなった選手が手にした契約の総額としては、大谷に抜かれるまで史上最高だった。だが、シャーザーとバーランダーは長期契約ではない。それぞれ、ニューヨーク・メッツと3年1億3000万ドルと2年8666万6666ドルの契約を交わし、昨夏のトレードで移籍した。

 なお、ソトとヤンキースの交渉がまとまらなかった場合、大谷とソトがチームメイトになる可能性もある。ドジャースの外野手のうち、テオスカー・ヘルナンデスジェイソン・ヘイワードは、どちらも1年契約。マニュエル・マーゴは、2024年が2年契約の2年目(2025年は球団オプション)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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