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いかにも怪しかった「名古屋国際映画祭」。詐欺の可能性が高い映画祭告知が次々と発覚 #専門家のまとめ

斉藤博昭映画ジャーナリスト
名古屋国際映画祭と称したHPのトップ画面(現在は削除)

ここ数日で、「国際映画祭」として作品を募集するサイトのいくつかで疑惑が発覚。名古屋国際映画祭という、いかにも大規模なスケールを想像させ、発起人や審査員には架空の人物を掲載し、過去の映画祭風景として他の映画祭やイベントの画像を加工して使うなど、悪質な手口が目につきます。実際に画像で使われた俳優や、映画祭の連絡先に勝手に使われた映画館が抗議。名古屋のほか、大阪国際短編映画祭、広島短編映画祭など、おそらく作品をエントリーする際の料金を騙し取る、新手の詐欺だと考えられています。8/23現在、広島のサイトのみ削除されず残っています。

ココがポイント

勝手に連絡先として使われた名古屋の映画館シネマスコーレが怒りの拡散

名古屋の映画館が“名古屋国際映画祭”公式サイトに注意喚起「エントリー料詐欺の可能性が高い」(スポニチアネックス)

俳優の川瀬陽太のイベント時の写真に、名古屋国際映画祭のロゴが巧みに合成される

川瀬陽太 (@YOHTAK) / X

名古屋以外でも発覚。やはり画像は別の映画祭のもの。同種の手口か

名古屋のほかに大阪、広島でも“疑惑映画祭”か 映画館が注意「一切関係ございません」(よろず〜ニュース)

シネマスコーレは名古屋のミニシアター文化の象徴。映画では前支配人の木全氏を東出昌大が演じた

『青春ジャック』の当時を知るシネマスコーレ元従業員が語る、映画館をつくる人々の熱気と名古屋ミニシアターのこれから(MOVIE WALKER PRESS)

エキスパートの補足・見解

名古屋のHPには過去の受賞作品のページもあり、そこには『マッドマックス:フュリオサ』と思われる作品が含まれていたりしました。また、文章もどこか自然な日本語ではなかったりと、明らかに違和感があるものでした。今回はシネマスコーレ、および画像に使われた人からのアクションで、早い段階で発覚したと思われますが、もしかしたらすでに作品をエントリーしたことで支払い、つまり詐欺事件が発生した可能性もあります。今後は、さらに巧妙な手口でこうしたアート関係の詐欺が行われるかもしれません。

国際映画祭と称するものは、カンヌなど大メジャーなイベントから、地域独自の小規模のものまで多様です。ヨーロッパの有名都市の名を冠したいくつかの国際映画祭で、日本映画が最優秀作品賞、俳優賞などを受賞するニュースをたまに目にします。受賞した写真などは出るものの、劇場の上映風景や舞台挨拶などの写真はまったく出てこないケースがあります。こうした映画祭(ロゴが一緒だったりします)も、おそらくエントリー料で成り立っている部分があり、日本の出品者としてはエントリー料を出せば何かの賞で箔がつく、というWinWinの関係もあるので、「国際映画祭」という名に騙されないことも重要です。

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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