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マイナースポーツを2028年『ロサンゼルスパラ五輪』へ。社会人2年目のパラレルミッションとは?

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
パラレルミッションをこなす社会人2年目下川 友暉さん(写真提供:本人)

2020年東京オリンピックの開催まで1年を切った日本ではラグビー、野球と世界大会が続きスポーツへの関心はより一層高まっている。

そんな中、マイナースポーツ且つ障がい者も健常者も問わず誰でも楽しめるスポーツを全国に認知させて、さらには2028年ロサンゼルスで開催される「パラリンピックの正式競技」まで押し上げようと奮闘している若者がいる。

今回はそんなサラリーマンをしながら個人活動として大きな夢を追いかける若者の『はたらく価値観』に迫ります。

車椅子ソフトボールって?

2019年10月に開催された「中外製薬東京国際車椅子ソフトボール大会」に見学に行くとアメリカ代表、ガーナ代表も来日していたことに驚かされた。

アメリカ代表/ガーナ代表も来日(写真提供:日本車椅子ソフトボール協会/glitters)
アメリカ代表/ガーナ代表も来日(写真提供:日本車椅子ソフトボール協会/glitters)

となると歴史もそれなりにあるのかと思いがちだが、実はアメリカ発祥でまだ40年ほどの歴史のようだ。

全米には70チームもあるようでニューヨークヤンキースやシカゴカブスなど、メジャーリーグの下部組織としてチームが運営されていることも少なくない。

日本ではまだまだマイナースポーツ

日本では西武ライオンズのみが2013年より日本車椅子ソフトボール協会のスペシャルサポーターとして「ライオンズカップ車椅子ソフトボール大会」を開催している。

はじめての人でも試合参加出来る車椅子ソフトボール(写真提供:日本車椅子ソフトボール協会/glitters)
はじめての人でも試合参加出来る車椅子ソフトボール(写真提供:日本車椅子ソフトボール協会/glitters)

国内はまだ19チーム(チームのある都道府県:北海道、宮城、茨木、東京、埼玉、群馬、神奈川、山梨、名古屋、大阪、広島、岡山、福岡)で国内大会は4大会のみ(全日本選手権、埼玉ライオンズカップ、中外製薬東京大、北九州大会)で現在、全国で大会を開けるように各地域で展開を模索していて大阪や名古屋での開催に期待が集まっている。

野球・ソフトボールと雰囲気が異なる車椅子ソフトボールの試合風景(写真提供:日本車椅子ソフトボール協会/glitters)
野球・ソフトボールと雰囲気が異なる車椅子ソフトボールの試合風景(写真提供:日本車椅子ソフトボール協会/glitters)

若きビジネスマンのパラレルミッション

そんなマイナースポーツを学生時代から普及活動しているのは社会人2年目の若きビジネスマン“下川 友暉 さん”。

普段は広島で学生アスリートの就職支援を手掛ける企業にて営業活動をしていて、成績はすでに会社の中でも上位に顔を出せるほどに成長し一人前になっている。そんなこれからガンガン成長して、、という若手としては一番気合いが入って気持ちの良い時にもうひとつの活動にも力を入れているのは何故なの?

大学生の時からのライフワーク

彼と出会ったのは2017年。

まだ彼が九州で大学生をしていた頃、私の学生応援活動の中で偶然出会う形ではあったものの車椅子ソフトボールの魅力を教えてくれた。

実際に学生と社会人混合で練習から試合までの一連の流れを経験出来るイベントを開催してくれた際には、

・それまで使用したことのない車椅子でスポーツを?

・障がい者も健常者も混合で?

・難しくて楽しめるのか?

そんな想いも正直あったが、実際に練習から向き合ってみると

・適度な難易度

・老若男女問わず

・チームスポーツ

・野球・ソフトボールの一般知識で対応可能

・そして何よりコミュニケーションが豊富

とても楽しめるスポーツであることに気づいた。

想いのある活動を社会人でも続けられる幸せ

パラレルミッションを突き進む下川氏(写真:筆者撮影)
パラレルミッションを突き進む下川氏(写真:筆者撮影)

日々、広島や四国を飛び回り、学生アスリートの就職を支援するという忙しい営業活動をしながら、個人活動としてものミッションを追いかけることについて下川さんは、

社会人になっても、学生時代に出会ったマイナースポーツを世に広めることが出来れば幸せだと思っていた。

そして学生時代を過ごした九州エリアでその実現をと思っていたものの配属は初めて過ごす広島の街。

それでもパラレルミッションに向き合えているのは、本業である学生アスリートを支援する仕事と個人活動をどこか接続出来ないかということを模索することがひとつのモチベーションになっているからです。

今、社会人2年目として目先のやるべき仕事は沢山あるし、成長して挑戦したいことも沢山。でもそこに個人活動の夢や目標を接続出来たらもっと楽しいし、やりがいのあることだと感じています。

そして、マイナースポーツである車椅子ソフトボールの普及に加えて、2028年ロサンゼルスパラ五輪の「正式競技化」という大きな目標が出来たことがより日々のはたらくと密接に繋がってきました。

会社にもその想いは伝えていて、次なる社内の挑戦に向けて話し合いが出来ている状態です。勿論、会社の協力・支援があってこその今の活動があると思っています。

学生時代には見えなかったリアルな社会で見えたこと

就活中に日々企業にプレゼンしていた夢や目標が社会人1年目で早々に消え、新しい「何か」を見つけて走り出すことは良くある。むしろ、大半がそれに近い感覚になるもの。

小さい頃に親にボールとバットを渡されて18年間プロ野球選手になる夢を叶える確率と学生時代には想像もしていなかったこと、社会の裏側・現実、出会いなどを見た上で決めた夢や目標が叶う確率で考えれば理解出来るはず。

まさに下川さんの今の挑戦は社会人として視野が広がった中で見つけた方向性だからこそ、達成への現実的な道筋が見えているのだろう。

個人活動が本業の成長を支えている

車椅子ソフトボールの普及活動をしていることで、本来営業だけでは出会えなかったジャンルの方にも沢山会えます。

もちろん社会人2年目では会えないレベルの社会人にもビジネス以外で関われる機会が多く、そこで社会人として必要な力を学んだり、自分の成長のヒントを沢山得ています。

副業・パラレルワーク

今や副業・パラレルワークという言葉は常識化して来ている。そして実際に多くの企業で副業が解禁されている。

時代はいよいよひとつの組織に依存して40年間過ごすのではなく、自分の力に依存をしてキャリアを生き続けることに価値が出る時代に突入したということ。

今回の下川さんのように副業・パラレルワークではない、つまり副業収入という枠組みではない中で本業とは別の夢・目標を持って活動することも自由であり、自分のはたらく時間に関わらず、夢の実現のために活動していくことで、生活やはたらく時間を豊かにしていくということに価値が出て来るのではないだろうか。

激動のはたらく市場だからこそ「人の価値観・キャリアの捉え方」も変わる。

引き続き、若者の挑戦に注目しながら市場の変化を可視化していきたいと思う。

はたらくを楽しもう。

【参考】

今後の国内で開催される車椅子ソフトボール大会は日本車椅子ソフトボール協会の公式サイトにて随時更新予定

■大阪での交流会:11月23日、24日

■甲府大会:11月30日、12月1日

■北九州大会:2月14日、15日

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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