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面接の印象は見た目が90%?印象変革を手掛けるイメージコンサルタントの仕事とは

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
イメージコンサルタント、株式会社アイシービー 代表取締役社長 二神 弓子氏

アフターコロナへの転換に伴い、テレワークからオフィス出社回帰の流れが加速する中、ビジネスの対面化が増えたことで改めて人々のアピアランス(外見)に注目が集まっている。

就職活動の最終面接は7割が対面

キャリタス就活・学生モニター「就職活動状況の調査」では、最終面接は対面が7割を超える(72.9%)で2022年卒では41.8%だった対面の割合が、この3年で30ポイントあまり増加したことになる。一方で、初期の面接フェーズにおいてはオンラインで効率的に実施し、採用の可否を決める最終フェーズでは対面で実施するなど、選考のフェーズや目的に応じてハイブリッドに使い分けをする企業が増えている。

人は見た目で相手の第一印象を判断する

人は見た目が9割と言われるように第一印象の大部分を占める見た目は重要なポイントと言える。ビジネスの成否は見た目に大きく左右されると言われ、就職・転職活動においても今、改めて見た目をどう工夫すべきかの議論が起きている。特に脱マスク時代に忘れがちな表情。マスク時代に無表情でいることに慣れてしまったのか、マスクを外した時の表情をつくることを忘れてしまっている人も少なくない。

メラビアンの法則曰く、コミュニケーションにおいて一番重視されているのは視覚情報でその数値はなんと55%にも及ぶということは、第一印象の見た目、顔の表情は重要なポイントになる。

3~5秒で印象が決まる

メラビアンの法則では、印象が決まる時間は3~5秒とされ、さらに第一印象を覆すには2時間もかかるようだ。

※メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおける言語、聴覚、視覚の影響の割合を表す心理学上の法則。ビジネスシーンをはじめとして、コミュニケーションを円滑に進めるために活用されている

そこで、今回は骨格診断メソッドを作り、日本におけるパーソナルカラー、イメージコンサルタントの第一人者のひとりで、ミス・ユニバース、ミス・ワールド、ミス・インターナショナルのトレーニング実績や、約3万人の指導実績を持つ二神弓子氏にアフターコロナに必要なビジネスパーソンの印象改革、イメージコンサルタントという仕事について話を伺った。

イメージコンサルタントとして多くのビジネスパーソンの印象改革を手がけてきた株式会社アイシービー 代表取締役社長 二神 弓子氏
イメージコンサルタントとして多くのビジネスパーソンの印象改革を手がけてきた株式会社アイシービー 代表取締役社長 二神 弓子氏

女性が自分が望む生き方を自分で選択できる世界を

――二神さんの現在の活動を教えてください

二神氏|イメージコンサルタントとして多くのビジネスパーソンの印象改革を手がけてきた経験を活かし 、イメージコンサルタントを育成するスクールを経営しています。女性たちに自分が望む生き方を自分で選びとって欲しいと考えていて、そんな想いでICBIプロフェッショナルアカデミーを立ち上げ、女性たちを応援するスクールを展開しています。他には企業研修・コンサルティングも行っています。

――イメージコンサルタントはどんなお仕事でしょうか

二神氏|正直まだ日本ではイメージコンサルタントという職種の知名度は高くないと思います。だからこそ、その定義は曖昧な部分があるのですが、その人のお顔や体型など様々な要素を加味してこんなメイク・ヘアにして、こういう服を着ましょうというアウトプットの部分だけをご提案するお仕事だと考えています。その要素は本来、診断ツールは参考程度に使い、イメージコンサルタント自身の感性や勘でアウトプットしていくものですが、今は診断ブームですので私はなにタイプですか?というニーズに対して顔、体型、カラーなどの診断ツールで判定した結果をご提供もしています。あくまで診断はイメージコンサルタントの道具であって、診断をサービス化することはイメージコンサルタントではないと考えています。

正直、私はメイクやファッション、お洋服に興味があるのではなく、その人に合う服を着て、似合うメイクや髪型になった時にどんな風になるのか?という人に興味があります。ファッションやお洋服を軸としたコンサルティングもありますが、あくまで私は人をトータルで見た時に着る物、メイク・ヘア、立ち振る舞い、姿勢・歩き姿、そして口を開いたらガッカリは残念なので最低限の話し方。ここまでが揃っていれば人のイメージは整うものだと考えています。

――イメージコンサルタントをはじめたきっかけを教えてください

二神氏|学生時代にモデルをさせて頂いていて、パリコレなどでも活躍されていた先生に指導を受け、自分が変われたことがきっかけです。メイクやファッションを必死で勉強した結果、それを教えてくれる場所があればいいなと思いました。その後、私は一般企業へ就職するのですが、まわりの女性にはメイクやファッションの知識がなく、沢山の質問をもらうことで確信に変わり25年ほど前に起業という形をとりました。まだその時にはイメージコンサルタントという名前は認知しておらず、勉強のために多くの書籍を読み漁り、たまたま・アメリカではイメージコンサルタントという職種があるということを知り、それがきっかけでイメージコンサルタントとして学びを深めていきました。

イメージコンサルタントがすでに描かれていた2000年に上映されたブルースウィリスの主演映画「キッド」
イメージコンサルタントがすでに描かれていた2000年に上映されたブルースウィリスの主演映画「キッド」

――イメージコンサルタントは日本で流行りますか

日本は今、診断ブームです。イメージコンサルティングの世界でも様々な診断がある中、骨格診断パーソナルカラー診断がメインになっています。多くのIT企業はアパレルや美容業界向けにAI診断や3Dスキャナを使った診断の開発を手掛けており、今後も次々と開発されることが予測されます。それにより近い将来、自分のタイプを知っていることが当たり前になると予想します。それに対して診断結果の活かし方はまだこれからだとも考えています。

診断結果が分かっても具体的にどんな服を買うべきか、どんな髪型にするべきかは専門的に学ぶ必要があります。そのため、今後は診断のあとのアドバイザーへのニーズが高まると予測しています。

ちなみに、お客様からの相談に応えるために研修として取り入れている企業はアパレル業界が圧倒的1位、ついで化粧品、ブライダル、美容業界となっています。

アメリカ大統領ジョン・F・ケネディも選挙活動に色彩戦術のパーソナルカラーを活用していた
アメリカ大統領ジョン・F・ケネディも選挙活動に色彩戦術のパーソナルカラーを活用していた写真:イメージマート

――就職・転職活動の面接で役立つアドバイスはありますか

人は感情に左右される生き物なのでどんなに理論的に判断しようと思っても直感的な不快感や好感には逆らいにくいものです。また、客観的かつ冷静に判断した場合も、好感度の低い人材を採用した場合のデメリットやリスク(お客様、取引先からの印象、社内の人間関係トラブル)から見送る判断に至ることもあります。

見た目の印象を良くすること自体は能力を高めるよりも遥かに簡単です。

基本は清潔感と笑顔です。さらに似合うを知ることができるとプラスになると思います。

日本市場でこれから成長するイメージコンサルティング

イメージコンサルタントという職業は、外見はもちろん、話し方や聞き方、立ち振る舞いなど、ノンバーバル(非言語)コミュニケーション全般の改善を最大の目的として、顧客のコンディションによって適切なコンサルティングをする新しい仕事のように感じた。アメリカでは大統領をはじめ政治家、スポーツ選手、俳優などイメージを大切にしている方々は専属でイメージコンサルタントと契約しているケースも珍しくない。

イメージコンサルティングには大きな収益の可能性があり、スタイルや個性にセンスのある人に向いている職業・キャリアであり、起業にかかるコストも低く、柔軟性のあるビジネスと言える。アフターコロナ市場においては、個人ブランディング、企業ブランディング、プロフェッショナル育成への重点の高まりにより、世界のイメージコンサルティング市場の成長が促進されると予想される。

イメージコンサルティングの世界市場規模は2023年に39億2,000万米ドル、2030年には62億9,000万米ドルに達すると予測され、2023年から2030年にかけ年平均成長率7%で成長すると予測されています。

さらに、ソーシャルメディアとオンライン上でのプレゼンス、個人の成長やキャリアアップ志向の加速でイメージコンサルティング市場の成長を後押しすると予測できるため、イメージコンサルタントは魅力的な職業であり、日本においては新たなビジネス市場になりそうだ。

自分の似合うを知る

人は見た目が9割とするならば、第一印象つまり見た目が重要なポイントと言える。就職・転職活動においても今、改めて対面での面接が主流に戻りつつある。改めて、自分の似合うを知って、シンプルに清潔感と笑顔を意識して人生の分岐点に臨んで欲しい。

【二神 弓子氏|プロフィール】
株式会社アイシービー 代表取締役社長
一般社団法人ICBI 骨格診断アナリスト協会 代表理事
一般社団法人ICBI パーソナルカラー実務検定協会 代表理事
1996年より骨格診断メソッドの検証を開始するとともに研修会社で講師活動を開始。1998年に起業。イメージコンサルタントとして多くのビジネスパーソンの印象改革を手がけた経験を生かし、スクール経営、企業研修事業のほか、ミス・ユニバース、ミス・ワールド、ミス・インターナショナルの世界三大ミスのトレーニングを担当した実績を持つ。
著書に「新しいパーソナルカラーの教科書」「似合う!がわかる骨格診断の教科書」(西東社)がある。

※写真提供|株式会社アイシービー

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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