「無課金おじさん」(本物)が例のポーズを商標登録出願(一部修正)
「トルコ射撃選手、五輪で話題のポーズを商標申請(ママ)」というニュースがありました。最小限の装備と独特の殺気を感じさせるポーズで銀メダルを獲得したユスフ・ディケッチ選手(通称「無課金おじさん」)が自身のポーズを商標として出願したという話です。
世界的にバズったことを考えれば、肖像の勝手使用や抜け駆け出願を防ぐために先んじて商標登録出願しておくのは賢明な措置と言えます。別の記事によれば、実際、抜け駆け出願が見られたため出願したとのことです。
トルコ特許商標庁(TPTO)のウェブサイト(めちゃくちゃモダンな作りでびっくりしました)で検索すると、確かに8月26日に出願の記録があります(タイトル画像参照)。上記記事の記載と出願日も整合していますので、おそらくこれが正規の出願でしょう。出願番号は2024/109269、出願人は本人個人名義ですの名義は現時点では不明です(本人かもしれませんし、射撃スポーツ関係の団体かもしれません)。第1類から第45類まで全類指定されています(結構な費用になると思いますが強力なスポンサーがいてもおかしくはありません)。方式審査は既に完了しており(早い!)、これから類似先登録等の審査に入りますが、まず問題なく登録されるのではと思います。
なお、この出願に先立って、8月10日にイラストバージョンの出願(下画像参照)が行われている(こちらは35類の広告関連のみを指定)のですが、拒絶になっています(冒頭の記事中にある「その他の申請は却下された」という発言はこのことを指しているのでしょう)。TPTOのウェブからは拒絶の理由がわかりませんが、イラストの著作権者がはっきりしないということかもしれません。なお、拒絶に対する不服申立はできるので、こちらも登録される可能性はあります。
修正:すみません、上の段落の記載は間違いでした。これは関係ない第三者による抜け駆け出願でそれを理由に拒絶されたものと思われます(トルコ特許商標庁ウェブサイトの情報では出願人が現段階ではわかりません)。そして、冒頭の記事中の「その他の申請は却下された」とは、正規の出願以外の抜け駆け出願は全部拒絶されたという意味でしょう(トルコの商標審査早すぎです)。
また、ディケッチ選手の世界的な知名度を考えればトルコ以外の国に出願することも十分考えられますが確認できていません(仮に出願されていたとしてももう少し時間が経たないとわかりません)。マドリッド・プロトコルという条約を使えばこのトルコの出願をベースに世界各国に出願可能なので、そうする(あるいは既にそうしている)可能性は十分にあるでしょう。
なお、念のために書いておきますが、商標登録されたからと言ってこのポーズを真似たり、イラストを描いたりすることに権利者の許可が必要になるわけではありません。このポーズの画像に似た画像をブランドマークとして使って商売にすることに権利者の許可が必要になるだけです。