一条天皇はエゴサをしていた? 塩野瑛久が「歴史探偵」で出会った「源氏物語」最古級の写本
「大河ドラマ「光る君へ」(NHK)で一条天皇役を演じる塩野瑛久さんが、8月28日(水)放送「歴史探偵『光る君へコラボスペシャル2 源氏物語』」(NHK総合 午後10時〜10時45分)に柄本佑さんと共に出演する。
「歴史探偵」は歴史情報バラエティー番組で、佐藤二朗さんが探偵社を率いて、歴史に挑むという体裁で、現場調査、科学実験、シミュレーションを駆使してわかった、古代、戦国、幕末の出来事の最新情報を紹介する。
大河ドラマとのコラボ企画は、2年前の「鎌倉殿の13人」からはじまり、ドラマを見るガイドにもなると好評だ。
「歴史に関してマニアックなファンの方のみならず、これから勉強する方や大河ドラマを見て興味を持った方々に番組を通して大河ドラマ“+α”の部分を伝えていければと思います」と番組取材会で河井雅也チーフプロデューサー。
今回は、オリジナルが残っていない「源氏物語」の現存する最古の写本のひとつから、世紀の物語誕生の秘密を解き明かしていく。短歌や日記と物語には当時、位置づけの違いがあったなど、興味深いことが紹介される。
取材会に出席した塩野さんは番組で知ったことに目を輝かせた。
「道長と一条天皇は後半に進むにつれて、激しく対立していくという印象を持たれがちだとは思いますが、そこにはきっと信頼関係のようなものもあったのかなと『歴史探偵』を通してより思いました。一条天皇に捧げるものが、一条天皇の好きな“書物”であったことからもふたりの関係がわかる気がします。道長が一条天皇のことを熟知しているからこその選択だと思います。道長は一条天皇を深く知ろうとしていただろうし、一条天皇もそれを快く受け入れていたのでしょう」
「源氏物語」の豪華本を番組で見た塩野さん、一条天皇が「源氏物語」にはじめて触れた場面の撮影を振り返った。
「そもそも一条天皇は書物や物語が好きで、『源氏物語』の前に定子の形見ともいえる『枕草子』を擦り切れるほど読んで、心のよりどころにしていたのかなと僕は感じていました。その後、『源氏物語』の1ページめを読んだら、圧倒的な文章力とワードセンスに引き込まれ、心がえぐられて過去を追体験させられるような内容で、一度はそこから目を背けたのかなと思って演じました」
「光る君へ」第32回では、火事のなか、彰子(見上愛)の手をつないで逃げ、彰子の感情を揺さぶった一条天皇。これをきっかけにふたりの関係に変化が?と気になるところだが、この取材会の開催された日が、塩野さんのクランクアップの日であった。
「はじめての大河ドラマだったこともあって、撮影はあっという間に感じましたが、濃かったです。一条天皇にとって楽しかった期間は最初だけで、あとはもがいて苦しんで。大切な人の死とも向き合い、すごく濃い時間が流れていきました」
「『歴史探偵』では、平仮名についての話や、『一条天皇はエゴサをしていた』という表現も出てきて、楽しい番組になっています。ぜひ見ていただければうれしいです」と河合さん。
「光る君へ」第32回の放送後、大河受け(*番組終了直後、いま見たばかりの番組の話をすること。「朝ドラ受け」が有名)をしながら「歴史探偵」のPRも行った塩野さん。「歴史探偵」内ではパワーワードと河合さんも注目するキャッチーな発言をするなど、積極的に番組にコミットしていた。
「スタジオでは、佑さんと一緒に『ほー』と共感しながら、資料の数々を見ていましたので、ぜひ見ていただきたいですね」と塩野さん。
実際にあったこととは異なる内容も多い大河ドラマだが、実際にあったことを知ったうえで見ると、より楽しめる。ドキュメンタリーとドラマを組み合わせたNHKスペシャルなどのように、史実と物語の両輪展開が今後、NHKの強みになっていくのではないだろうか。
歴史探偵「光る君へコラボスペシャル2源氏物語」
8月28日(水)午後10時〜 NHK総合