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北條選手が2ヶ月半ぶりの8号ソロ!でも逆転負けで北陸遠征は連敗《8/16 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
5月31日以来、実に2ヶ月半ぶりのホームランを金沢で放った北條選手。

15日の富山県高岡市に続いて、16日は金沢市の石川県立野球場で行われたウエスタン・リーグの中日-阪神戦。中日の先発が金沢市出身で星稜高校OBの西川投手とあり、しかも地元紙に『凱旋登板!』と出ていたみたいで、スタンドは大いに盛り上がりました。また阪神の小嶋投手も金沢市内にある遊学館高校の出身。当時の知り合いの方々が観戦される中、大きな拍手で迎えられて登板しています。

新球場の高岡から、次は歴史と伝統のある石川県立野球場。観衆は2055人でした。
新球場の高岡から、次は歴史と伝統のある石川県立野球場。観衆は2055人でした。

試合は阪神が北條選手の2ヶ月半ぶりの8号ソロなどで2点先取したものの、西川投手が降板した直後に筒井投手が打たれて逆転を許しました。そのまま終わったため西川投手は負け投手から一転、勝ち投手に!ご家族をはじめ地元の皆さんが大喜びです。逆転されたあと、6回からノーヒットだった阪神打線。これで中日戦は4連敗…。かなり勝ち越していたはずなのに、対戦成績は12勝11敗1分けとなりました。

《ウエスタン公式戦》8月16日

中日-阪神 24回戦 (金沢)

阪神 000 110 000 = 2

中日 000 030 00X = 3 

◆バッテリー

【阪神】●筒井(3勝3敗)-小嶋-玉置-石崎 / 小宮山

【中日】○西川(2勝2敗2S)(5回)-武藤(1回)-岸本(1回)-祖父江(1回)-福谷(1S)(1回) / 赤田

◆本塁打 北條8号ソロ(西川)

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:緒方  (3-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .227

2]一:西田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .212

3]遊:北條  (3-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .261

〃走:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .276

4]左:ペレス (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .314

5]中:中谷  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .309

6]二:森越  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .324

7]捕:小宮山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .290

8]三:陽川  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .214

9]右:横田  (3-1-0 / 2-0 / 0 / 1) .218

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

筒井 4.2回 99球 (4-4-5 / 3-3 / 2.61)

小嶋 1.1回 34球 (0-2-2 / 0-0 / 0.95)

玉置  1回 22球 (2-2-0 / 0-0 / 3.94)

石崎  1回 16球 (0-1-0 / 0-0 / 3.83)

試合経過

まず阪神の攻撃で、1回は先頭の緒方が四球を選ぶも盗塁失敗など3人で終わっています。2回は2死から森越が中前打を放ちましたが無得点。3回は先頭の陽川が遊ゴロ失策(タイミングはアウト、ファースト谷の足が離れたというジャッジで記録は三ツ俣の送球エラー)で出たものの後続を断たれ、西川の前に3回まで2塁も踏めずじまいでした。

北條選手を迎えるベンチ。先取点とあって、勢いに乗っていけそうな空気。
北條選手を迎えるベンチ。先取点とあって、勢いに乗っていけそうな空気。
一二三選手にバシッと…。首をすくめた北條選手。迎える筒井投手も笑顔です。
一二三選手にバシッと…。首をすくめた北條選手。迎える筒井投手も笑顔です。

しかし4回、先頭の北條が2ボールからの3球目、131キロの真っすぐをレフトへホームラン!2ヶ月半ぶりの第8号で先制です。5回には陽川が中前打、横田は右前打で1死一、三塁として緒方が右前タイムリー!3連打で1点を追加します。なおも1死一、三塁と引き離すチャンスでしたが西田は遊直、さらに緒方が戻れず併殺。

先発の筒井は、1回が先頭の友永に四球を与えて小宮山が盗塁阻止(中日の1回と同じ)、三ツ俣と高橋周は連続三振。2回は1四球のみで無失点、3回は三者凡退と3回まで無安打無失点でした。北條のソロで先制してもらった4回に死球と初ヒットとなる5番・古本の右前打で2死一、三塁のピンチを迎えるも、谷は投ゴロで0点です。

5回途中で交代となった筒井投手(左)、1死満塁でマウンドへ向かう小嶋投手(右)。
5回途中で交代となった筒井投手(左)、1死満塁でマウンドへ向かう小嶋投手(右)。

ところが2点目が入った直後の5回、1死から8番・石川に四球、赤田の右前打(ライト横田の捕球エラーも重なって石川は三塁へ)、友永も四球で満塁とし、2番・三ツ俣の左前タイムリーを浴びました。なおも満塁で2死後、4番・小笠原に左前タイムリー。2人が還って逆転を許します。ここで筒井は降板。代わった小嶋が古本に死球を与えて2死満塁となるも、最後は谷を遊飛に打ち取って終了。

玉置投手は2安打されましたが無失点。練習中の盛り上げは一番です!
玉置投手は2安打されましたが無失点。練習中の盛り上げは一番です!
8回に登板した石崎投手。この日投げた全投手の中で最速の149キロでした。
8回に登板した石崎投手。この日投げた全投手の中で最速の149キロでした。

小嶋は6回も投げ、石川に死球を与えましたが2三振を奪うなど、他はしっかり抑えています。7回は玉置が、三ツ俣から三振を奪ったあと高橋周、藤澤に連打。でも古本は三振で2死となり、次は「玉置が大の苦手という谷」…と思ったら代打・工藤。この工藤の打球はセンター中谷がジャンピングキャッチして2者残塁です。8回は石崎が登板。下位打線ながら、この日の最速の149キロで空振り三振を奪うなど三者凡退でした。

なお6回以降の攻撃は、武藤、岸本、祖父江の前に3イニング連続で三者凡退。帰りの電車が気になったわけではないでしょうけど、淡々と進んでいきます。9回には前日同様、福谷が登板。先頭の北條がストレートの四球を選んで反撃開始!と思ったものの、ペレスは三振、前日ホームランを打った中谷は中飛、森越が遊ゴロ。結局、6回以降はノーヒットで試合終了です。

「小笠原さんに力負け…」と筒井

筒井投手は今回の先発を12日、オリックス戦(北神戸)の試合後に言われたとか。先発は6月以来とはいえ、もともと何度も経験がある左腕ですし「3、4日あったので問題はなかったです」とのことでした。「自分の持っているものは出したつもり。コミ(小宮山選手)のリードでいこうと思って、カーブが決まっていたから結構使いましたね」。確かに100キロ前後のカーブが有効だったと思います。

約2ヶ月ぶりに先発した筒井投手。振りかぶってはいませんでした。
約2ヶ月ぶりに先発した筒井投手。振りかぶってはいませんでした。

ただ悔やまれるのは5回。ヒットと2四球で1死満塁として三ツ俣選手にタイムリーを許した、そのあとです。高橋周選手を打ち取って2死となり、なおも満塁で迎えたのは4番・小笠原選手。「コミのサインはスライダーでした。でも首を振って真っすぐを投げた。外低めで勝負したかったのに、それが甘くなって…。力負けですね」。カウント1-2からの直球を鋭くレフトへ持っていかれて、逆転の2点タイムリーとなりました。

「もうちょっと、こうできたかなと思う。小笠原さんには1球もインコースへいっていなかった。チェンジアップもあったかなと。あとで思うんです。でも、あの時は…」。プロ12年目、1軍で何度も投げている筒井投手が言葉を選び「あの時は…“いっぱい”でしたね」と続けます。だって相手はプロ19年目、百戦錬磨のガッツ・小笠原選手ですもんねえ。「粘りながらいって味方が2点を取ってくれたのに、簡単に引っくり返されて。先発としては悔しいです。内容に自分の課題があったと思います」

小嶋は12年ぶりの球場で

その筒井投手が残した走者を還すことなく、続く6回も無失点で投げ終えた小嶋投手。「5回途中でいって最初の左バッター(古本選手)をフォアボールで出して。次は抑えたけど、左をちゃんと抑えないと1軍にはいけないと思います。もっとうまく左を攻めていけるようにしたい」。古本選手は2球で追い込んでからの四球だけに、余計もったいなかったですね。さらに「0で抑えたのはよかったけど、もうちょっと1人1人に対する内容をしっかりしたい」と、自身への課題を挙げました。

小嶋投手(左)と小宮山捕手。そういえば同い年のバッテリーですね。
小嶋投手(左)と小宮山捕手。そういえば同い年のバッテリーですね。

体調を崩して約1ヶ月は別メニュー、復帰したのが7月末。直球はまだ140キロ台前半ですが「スピードにはこだわっていないので。コントロールを大事にしたい」とのこと。なお石川県立野球場では高校時代に何度も登板したであろう小嶋投手。「ここでは12年ぶりに投げました」というので、それ以来だったわけですね。「知り合いが来てくれています。きのうも一緒にご飯を食べて、懐かしかった!」と笑顔。

北陸遠征に参加したものの「金沢で登板するかどうかは、そんなに気にしていなかった。きのう(高岡)で投げなかったので、もしかしたら?程度で」と淡々とした答えです。でも来てくださった皆さんの中には、小嶋投手が投げるところを12年ぶりに見たという方もいらっしゃったでしょうし、よかったですね。

2ヶ月半ぶりだったのは北條

ひっさしぶりだなあ~と、走っている姿を見てまず思った北條選手のホームラン。それもそのはず、2ヶ月半ぶりです。7月と8月はペレス選手と中谷選手が交代で打っている印象で、北條選手と横田選手は「チームトップの」とか「リーグ2位の」と言ってから、しばらくホームランがないですよね。横田選手が8号を打ってから相当経ったとはいえ、それでも6月21日のこと。北條選手の7号はなんと、5月31日の中日戦(蒲郡)でした。久しぶりの…と話しかけると、本人も苦笑いです。

ホームインした北條選手。右は筒井コーチ、左の手は次打者のペレス選手です。
ホームインした北條選手。右は筒井コーチ、左の手は次打者のペレス選手です。

「真っすぐです」。完璧な当たり?「はい、よかったです。真っすぐを狙って、1球で仕留めたってのがよかった」と手応え十分な様子でした。濱中打撃コーチから「打つ時に背伸びするというか、伸びる癖があるんです。それで下半身を意識して打てと言われました。伸びたら力が抜けてしまうので、伸びないようにと」のアドバイスがあり、うまく奏功したということですね。久々の1発は嬉しくても、チームが逆転負けを喫したため笑顔自粛の北條選手でした。次は勝って、思いきり笑ってください。

笑顔がなかったのは緒方選手もです。5回1死一、三塁の場面で右前タイムリー!ナイスバッティングでした。でも直後、西田選手のショートライナーで一塁に戻れず併殺となり「台無しです」と自分に向けて厳しい言葉。脚も大きなアピールポイントである緒方選手だけに、自分が許せなかったのでしょう。

9回表、2死一塁。バッターは森越選手、ピッチャーは中日・福谷投手。
9回表、2死一塁。バッターは森越選手、ピッチャーは中日・福谷投手。

最後に、高岡で代わりっぱなの初球を中谷選手にホームランされた中日・福谷投手に、少しだけ話を聞いてみました。この日は先頭の北條選手にストレートの四球を与えながらも、後続はピシャリと断って無失点。中谷選手は2球で中飛と、前日のリベンジができた?「そういう意識はしていなかったですね。たとえ前に打たれたとしても、逃げるつもりはないですし、とことん向かっていくだけなので」。とってもオトコマエの答えでした。次はぜひ1軍で!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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