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6月末にかけ梅雨の最盛期に警戒、7月上旬には早々と真夏が到来する可能性も?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲天気図(ウェザーマップ)

6月末にかけ梅雨の最盛期に

太平洋高気圧と梅雨前線の雨雲予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧と梅雨前線の雨雲予想(ウェザーマップ)

タイトル画像にあるとおり、いったん小康状態となっていた梅雨前線が九州付近で北上しつつ、再び活動が活発となってきています。このため、九州を中心に、西日本では雷を伴った激しい雨が降っていて、大雨災害の危険度が高まっている所があります。この雨をきっかけに、きのう21日(金)の関東甲信、東海、近畿に続き、きょう22日(土)午前には、中国と北陸で梅雨入りしたとみられると発表がありました

これから週明けにかけて、西日本から東日本の広い範囲で大雨となるおそれがあり、気象庁から大雨に関する全般気象情報が発表されています。土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒するとともに、落雷や竜巻などの激しい突風に注意が必要です。

なお、上図をみると、夏空をもたらす太平洋高気圧が日本の南海上で強まっていて、南西諸島では強烈な日差しが照りつける夏空が広がっています。来週にかけて、この太平洋高気圧は本州ギリギリの所にとどまるため、その北側に位置する梅雨前線の雨雲が本州付近に次々と流れ込み、まさに梅雨の最盛期の状態が続く見込みです。

そして、7月に入ると、この太平洋高気圧の勢力が北側へ拡大し、本州付近へ張り出してくる予想が増えてきています。

7月上旬には太平洋高気圧が張り出す予想

上空5500メートル付近の高度予想とその平年差、5日移動平均(ウェザーマップ)
上空5500メートル付近の高度予想とその平年差、5日移動平均(ウェザーマップ)

上図は上空5500メートル付近の高度予想とその平年差を表した5日移動平均で、5880メートルで囲まれた領域がおおむね太平洋高気圧の勢力範囲となります。

きょう22日(土)を真ん中とする5日移動平均では、太平洋高気圧の勢力範囲は南西諸島など、本州の南海上にとどまっているのが分かりますが、7月3日(水)を真ん中とする5日移動平均では、太平洋高気圧の軸が北へ移動し、西日本の太平洋側を中心に、その勢力範囲に入る予想となっています。

梅雨前線も北上か

地上気圧予想とその平年差、5日移動平均(ウェザーマップ)
地上気圧予想とその平年差、5日移動平均(ウェザーマップ)

また上図は地上付近の気圧とその平年差を表した5日移動平均で、日本付近では青色の範囲がおおむね梅雨前線位相に相当し、黄色の範囲が太平洋高気圧に相当します。

これによると、きょう22日(土)を真ん中とする5日移動平均では、ちょうど本州付近に梅雨前線位相が横たわっているのに対して、7月3日(水)を真ん中とする5日移動平均では、梅雨前線位相が日本海の北側へ北上する予想となっています。

これらのことから、まだ不確実性はあるものの、7月上旬には、西日本を中心に、太平洋側の地方ほど、夏空と厳しい暑さが到来するのではないかという予想が成り立ちます。

6月末にかけ梅雨の最盛期、7月上旬には真夏が到来?

全国11日間の予報(ウェザーマップ)
全国11日間の予報(ウェザーマップ)

実際に、ウェザーマップが発表している全国11日間の予報では、来週、6月末にかけて、西日本を中心に傘マークが並んでいて、梅雨の最盛期の状態が続くため、大雨災害には警戒が必要です。ところがその傘マークは7月早々には、仙台や新潟など、東北や北陸へと移動しているのが分かります。

一方、関東から九州にかけての太平洋側では、7月早々の1日(月)から2日(火)にかけて晴れ間が広がり、32度から33度の厳しい暑さがやってくる予想です。

東京は、7月上旬に真夏の空と厳しい暑さが続く?

東京の16日間予報(ウェザーマップ)
東京の16日間予報(ウェザーマップ)

同じく、ウェザーマップが発表している東京の16日間予報では、7月3日(水)以降も曇り時々晴れの予報が続き、32度程度の厳しい暑さが続く予想となっています。

ただこの7月に入ってからの予報は、アンサンブル予報でのもっとも確率の高い天気を計算しているもので、雨や曇りの計算もあるため、信頼度はもっとも低いEが並んでいる状態です。とはいえ、現在の予報では、雨や曇りよりも、晴れ間が出る確率が高い計算となっているのも確かです。

不確実性が大きいため、まだ予報変わりする可能性も十分に考えられますが、もし太平洋高気圧が強く張り出し、夏空と厳しい暑さが1週間以上続く予想となれば、あまりにも早すぎる梅雨明けの発表があってもおかしくない状況となるかもしれません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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