あの記録はどうなった!? 「60二塁打」「打率1割台で40本塁打」「藤浪のチーム最多勝」などなど
藤浪のチーム最多勝
10月1日、JP・シアーズ(オークランド・アスレティックス)は、4イニングを投げて3点を取られ、5回裏のマウンドには上がらなかった。
この時点で、藤浪晋太郎(現ボルティモア・オリオールズ)のチーム最多勝が確定した。藤浪は、アスレティックスからオリオールズへ移籍するまでに5勝を挙げた。これは、シアーズと並び、アスレティックスでは最も多い。アスレティックスは、10月1日が162試合目。先発5イニング未満のシアーズは、アスレティックスが勝利を収めても、勝利投手にはならない。
結局、アスレティックスは、3対7でロサンゼルス・エンジェルスに敗れ、50勝112敗でシーズンを終えた。前年比プラス10の黒星は、フィラデルフィア・アスレティックス時代の1916年に記録した117敗に次ぎ、チーム史上2番目に多い。
打率1割台で40本塁打以上
同じ日に別の試合で、「1番・DH」として出場したカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、2打席続けて討ち取られ、3打席目は代打を送られた。フィリーズは、ワイルドカードの1番手が確定している。
シュワーバーの打率は.197。ホームランは47本だ。これまで、打率.200未満で30本塁打以上の選手はいたが、打率.200未満で40本塁打以上はいなかった。
史上初の打率.200未満で40本塁打以上だけでなく、シュワーバーは、30本塁打以上のワースト打率も更新した。それまでは、2021年に打率.198(31本塁打)のエウヘニオ・スアレス(当時シンシナティ・レッズ/現シアトル・マリナーズ)が最も低かった。
200三振デュオ
スアレスと、彼のチームメイトであるテオスカー・ヘルナンデスは、それぞれ、214三振と211三振を記録し、史上初の200三振デュオ――200奪三振ではなく――を結成した。今シーズン、この2人の他に200以上の三振を喫したのは、215三振のシュワーバーだけだ。
3人とも、シーズン三振の歴代トップ10にランクイン。シュワーバーは5位、スアレスは6位、テオスカーは9位タイに位置する。トップは、2009年に223三振のマーク・レイノルズだ。
60二塁打
フレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)は、9月29日の試合で、シングル・ヒットに続き、シーズン29本目のホームランと59本目の二塁打を打った。だが、翌日はシングル・ヒットが1本、10月1日は4打数0安打。リーチをかけながら、30本塁打と60二塁打のどちらにも届かなかった。
1シーズンに60本以上の二塁打は、過去6人だけ。しかも、1937年以降は皆無だ。
とはいえ、フリーマンの59二塁打は、今世紀の最多。2019年にニック・カステヤノス(現フィリーズ)が記録した、58本を上回った。4年前、カステヤノスは、デトロイト・タイガースで37本の二塁打を打ち、シカゴ・カブスへ移った後、さらに21本を積み上げた。
盗塁成功率100%
トレイ・ターナー(フィリーズ)は、10月1日の試合に出場せず。30盗塁と失敗ゼロのまま、レギュラーシーズンを終えた。1シーズンに盗塁成功率100%を記録したのはターナーが最初ではないが、これまでは、2009年に23盗塁のチェイス・アトリーが最も多かった。
5人目の「30-30」
ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は41本塁打と73盗塁、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)は32本塁打と37盗塁、フランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)は31本塁打と31盗塁、ボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)は30本塁打と49盗塁を記録した。ちなみに、ターナーは26本塁打と30盗塁だ。
「40-40」のアクーニャJr.を含め、1シーズンに4人が「30-30」は、1987年、1996年、1997年、2011年と並び、最も多い。カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)のホームランがあと1本多ければ、史上初の5人が「30-30」となっていた。
タッカーは、29本塁打と30盗塁を記録した。過去2シーズンは、2021年が30本塁打と14盗塁、2022年は30本塁打と25盗塁。3年続けて30本塁打ちょうどにも、1本足りなかったということになる。
なお、タッカーは、10月1日に1打点を加え、112打点でア・リーグの打点王を獲得した。
一方、ア・リーグの首位打者は、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)ではなく、ヤンディ・ディアズ(タンパベイ・レイズ)となった。
前日の時点では、2人とも打率.330。シーガーがわずかに上回っていた。だが、シーガーは、10月1日の4打数0安打により、打率.327に。この日、ディアズは、出場しなかった。
レンジャーズは、0対1でマリナーズに敗れ、7年ぶりの地区優勝を逃した。アストロズが8対1でアリゾナ・ダイヤモンドバックスを下し、レンジャーズとアストロズは、ともに90勝72敗。レンジャーズは、アストロズに4勝9敗と負け越している。ワイルドカードの2番手として、7年ぶりのポストシーズンに臨む。
ア・リーグの本塁打王は、44本塁打の大谷翔平(エンジェルス)が手にした。ナ・リーグでは、54本塁打と139打点のマット・オルソン(ブレーブス)が二冠王となり、首位打者は打率.354のルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)が獲得した。盗塁王のタイトルを得たのは、ア・リーグが67盗塁のエステウリー・ルイーズ(アスレティックス)、ナ・リーグは73盗塁のアクーニャJr.だ。