実は猫が草を食べる理由は不明 4つの有力説と草を与えるときの注意点は?
イエネコは、ライオン、トラ、ジャガー、ヒョウなどの猫科の動物の仲間ですね。猫科の動物の多くは、爪を隠したり出したりできて、爪の音を立てないように近づき、獲物を仕留めます。このようなことから、猫は、肉食だということは、知られていますね。そんな肉食の動物が、「草をムシャムシャ食べる」ということは、どういうことなのかを考えてみましょう。
どの猫も草を食べるのか?
まずは、どの猫も草を食べるのでしょうか?
日本の猫たちは、いまや室内飼いの子が多く、家に猫草なるものがないと草を食べることはできません。外に出ている猫たちの場合は、庭の葉がすっとしたイネ科の植物を食べているのを目にしたことがあると思います。猫で草を食べる子が多いのは、本当のことなのです。でも、全部の猫が食べるわけではありません。
中には、ペットショップで売っているいわゆる「猫草」が大好きという子もいます。それでは、肉食の猫が、「なぜ、草を食べるのか?」「本当に必要なのか?」 などを見ていきましょう。
猫が草を食べる理由
なぜ、猫が草を食べるのか? というはっきりした理由がわかっていません。でも、諸説ありますので、その中でも有力なものからあげていきます。
・毛玉を出すため
猫は、単独行動の動物です。そのため、犬に比べて熱心に毛づくろいします。それで、体の中に毛を飲み込んでしまうのです。胃や腸などの消化器に詰まることがあり、それは「毛玉症」と呼ばれます。毛玉症になると、消化器が詰まり動かなくなります。そのため、食欲不振になり、ひどくなると命にかかわります。
この毛玉症を防ぐために、草を食べて、毛玉を吐き出すともいわれています。猫は、犬に比べてよく吐く動物です。吐いたものをよく見てもらうと、フェルト状のものがあることもあります。それが毛玉です。
うまく毛玉を吐けるといいのですが、そうではないケースは、飼い主は、対策を取らないといけません。もちろん、猫草をあげるのもいいですが、キャットフードやサプリメントの中には、毛玉をウンチと一緒に排泄してくれるものなどもあります。キャットフードには、「ヘアボールコントロール」や「毛玉ケア」と書かれているものがあります。それらをうまく使って、「毛玉症」にならないように、気をつけてあげてくださいね。
・草の繊維質がいい
猫は、便秘気味の子が多く、毎日、ウンチをしない子もいます。肉食の動物は、繊維質をあまり取らないので、便秘になりやすいですね。健康のためには、毎日、ウンチをする方がいいですね。便秘でお腹がはるなどの感覚があり、猫は草を食べるともいわれています。
・草の栄養素を得ている
猫が葉に含まれている微量の葉酸を得るためだともいわれています。葉酸は、ヘモグロビンの生産のときにいるので、葉酸がないと貧血になってしまいます。そのために、猫草が必要という説です。現在では、良質なキャットフードが出ていますので、葉酸問題は、心配ないです。もしかしたら猫が野生で暮らしていた時代に葉酸の補給のために本能的に食べていた習慣の名残なのかもしれませんね。
・草は嗜好品
猫は、犬に比べると食感を重視する動物です。ドライフードが好きだけれど、缶詰は好きではないという子も多くいます。そのため、猫草の食感が好きで食べているという説です。人もアイスクリームを食べるとき、サクサクしたキャンディのものを食べたいときや、ソフトなタイプのものが食べたいなどがあります。それに似ているのかもしれません。
そもそも「猫草」って何?
「猫草」は、ホームセンターやペットショップなどで見かけますね。緑の細く長い葉のものです。
しかし、一般的に「猫草」という名前の植物はありません。イネ科の主にエン麦や小麦、大麦などの若草のことを指します。ほかにも、カラスムギ、レモングラス、雑草のエノコログサ、日本全国に分布するメヒシバといったイネ科の若葉を猫草と呼ぶこともあります。
猫は草を食べた方がいいの?
猫に草を食べさせた方がいいのでしょうか。
いまのキャットフードは、猫の栄養などに配慮されています。そのため、猫草をほしがらない子には、あえてあげなくも大丈夫です。一方、猫草が好きな子に食べ放題にさせるというのもよくないので、以下の点は気をつけてくださいね。
・与えるのは若草のみ
売っている猫草は、軟らかい若葉が多いでしょう。
成長しすぎたイネ科の植物は硬く、内臓を傷つけるおそれがあるからです。猫草を与える際は若葉だけにしてくださいね。
・1日に数本くらいに
あまり与えすぎると、何回も嘔吐を起こすことがあります。毛玉がないのに、嘔吐をさせることはないですね。無制限に食べ放題というのは、よくない子もいます。
・自宅で育てた猫草を
路上に生えているものは、野良猫や犬のオシッコ、細菌、除草剤、農薬などで汚染されている心配があるので与えないようにしましょう。
そのため、道に生えている雑草のエノコログサなども避けてもらった方がいいですね。自宅で、育てたか購入した猫草がおすすめです。
観葉植物を噛んだら
観葉植物のなかには中毒症状を引き起こすものがあるので注意が必要です。室内に置く場合は、猫に植物に中毒性がないかどうかも調べてから、置いてくださいね。猫の中には、葉の食感が好きで植物なら、なんでも口に入れる子もいます。事故のもとです。室内飼いの猫には、とくに気をつけてください。冬の犬や猫にとって危険な植物は、「犬や猫がポインセチアを食べると命の危機に Xmasシーズンの「要注意」植物は」に書いていますので、参考にしてみてください。
まとめ
猫が草を食べることについては、食べても害はないですし、食べることによる良い効果もあります。しかし、食べないと悪いということも特にはないようです。つまり、どっちでもいいということです。猫草を食べなくても元気にしている子もいます。
ただ、猫草の食感を楽しんでいる猫の場合は、ストレス解消のためにも与えたほうがいいかもしれませんね。食べ放題だとよくないので、上記のことに注意してくださいね。
猫は、かわいいので全てをわかりたいと思っても、まだまだ謎が多くあります。科学が進歩して解き明かされていくのでしょうが、それでも謎に満ちた動物です。これだけ一緒に猫と暮らしていても、ミステリアスな部分がたくさんあるので、それも猫の魅力のひとつなのでしょう。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】