富山商工会議所が主催する「ベストショップコンテスト」は、今回で77回目の開催を迎えました。富山市内の3年以内に新規オープンまたはリニューアルした店舗を対象に、ショップの魅力をさまざまな観点から表彰しています。

コンテストの受賞店を巡るこのシリーズの第5回として、キラリ賞を受賞したやさたまカレーのお店「雨と雪」をご紹介します。

お店の冨樫（とがし）知也さんにインタビューを実施し、シェフとの出会いが生んだお店のオープンまでの経緯や、気になる「やさたまカレー」について詳しくうかがいました。

カフェのような明るい店内のカレー専門店「雨と雪」

2024年6月、「やさたまカレー」のお店としてオープンした「雨と雪」。富山市一本木という企業団地内にひっそりと佇む隠れ家のようなお店ながら、9月からはキッチンカーでのイベント出店も始め、徐々にその名を広げています。

実は、このお店は富山市の「小林薬品株式会社」が運営しています。会社の敷地内に新しく建てた店舗は、カフェのような明るく落ち着いた雰囲気が特徴です。ランチタイムには、同社の社員が福利厚生を利用したり、近隣住民が立ち寄ったりして賑わいます。

そもそも「やさたまカレーってどんなカレー？」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。これは黒いルーに野菜とたまごがトッピングされたカレーのことで、石川県が発祥の地とされています。

「雨と雪」がこのカレーを提供するきっかけとなったのは、冨樫さんがかつて通っていた飲食店のカレーの味に魅了されていたことからでした。

「あの味を、もう一度たくさんの人に味わってほしい」との思いとご縁に恵まれて、会社の飲食部門として「雨と雪」オープンへの物語が前に進み始めました。

「この、自分自身が魅了された癖になるカレーを、落ち着いた空間で味わってほしい」との思いを込め、店内はカフェのような明るくて落ち着きのある空間に。忙しい日常の中でほっと一息つける場所を提供しています。店内のカウンター席から見える、石と緑、木が融合した中庭もすてきで癒されますよ。

黒いルーに色鮮やかな野菜とまたごがたまらない！「やさたまカレー」

「雨と雪」のやさたまカレーは、黒いルーと赤いルーの2種類から選べます。今回は、定番の黒いルーの「雨雪カレー」1,100円（以降すべて税込）を注文。黒いルーはコク深く食べ応えがあり、赤いルーはマイルドで女性やお子様にも人気だそうです。

運ばれてきた「雨雪カレー」は、具材なしのシンプルなルーに自信がうかがえます。そこにたまごと5種類の季節の野菜が彩りを添えた、インパクト抜群のビジュアル！

たまごと野菜の間に並べられたチキンカツは、食べやすいよう一口サイズにカットされていて、スプーンでそのままいただけるのが嬉しいポイントです。

カレーを一口食べてみると、まず感じられるのは深いコクとビターな味わい。その大人っぽい美味しさは、これまでに味わったどのカレーとも一線を画します。トッピングされた野菜やチキンカツがボリュームたっぷりですが、ふわ&つるっとしたたまごの存在のおかげで、驚くほどするすると食べ進められました。

冨樫さんが「ハマる人は本当にハマるカレー。1回、2回、3回…と通いたくなるんです」と話してくれた意味が、この一皿を完食する頃にはしっかりと実感できました。

セルフサービスの福神漬け、生姜、スープのサービスもお忘れなく。とくに生姜は、口の中をさっぱりさせるだけでなく、生姜特有の風味がカレーに加わることで味変にもなり新しい美味しさに出会えます。

「雨と雪」では、他にも「ふわとろやさたまカレー」900円 や「さたまカツカレー（やさたまカレー+ロースカツ）」1,050円 をはじめ10種類以上のカレーメニューを取り揃えています。

季節ごとに新しいメニューも開発していくとのこと。冬にはカレーうどんや黒と赤をブレンドしたカレーパンが登場し、店内はもちろんテイクアウトでも楽しめます。

ベストショップコンテスト2024 キラリ賞の受賞を受けて

さいごに、冨樫さんに「キラリ賞」を受賞した感想をうかがうと、「オープンしたばかりの頃は運営面で不安もありましたが、このような賞をいただけて本当に嬉しいです。これからもスタッフ一同、お客様を温かくお迎えできるよう努めていきます」と笑顔で語ってくれました。

さらに、「“一度食べてみてほしい”という想いで、黒いルーのやさたまカレーを中心に、ボリュームたっぷりの商品を提供しています。今後は、気軽に立ち寄れるカレー屋さんとして、地域の皆さまに親しまれる存在になりたいです」と意気込みを見せます。中庭の手入れも冨樫さんが自ら行い、お客様をしっかり迎える準備を欠かしません。

個性的なカレーの魅力はもちろん、新しいメニューの開発やサービス向上を通じて、地域に根差した愛されるお店を目指していく姿勢が印象的。この味が恋しくなったら、またすぐに足を運びたいです。

この記事では、 #富山ジャーナリスト の岩井ななが休日に行きたくなる富山市内のショップやイベントをご紹介しています。今後の情報発信もお楽しみに！