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ドイツの大学生に人気の街1位はドレスデン

シュピッツナーゲル典子在独ジャーナリスト
ドレスデン・フラウエン教会前はまるでメルヘンの世界(c)n.spitznagel

独大学生に最も人気の街はドレスデン。ドイツの消費者サイトVerbraucher Welt が調査した「2016年人気の大学の街」で選出されたのは、1位ドレスデンに続き、2位ベルリン、3位から10位には西部ドイツの街が名を連ねました。

この調査は、フェイスブック「大学生グループ」に属する2000人の現役大学生を対象に、「生活全般における満足度、レジャーとナイトライフ、経済面」の3点を重点におき照査した結果を集計したもので人気の街トップ10は次の通り。

1ドレスデン

2ベルリン

3ハンブルク

4ミュンヘン

5ケルン

6ミュンスター

7バンベルク

8ボン

9フランクフルト

10ハイデルベルク

427校あるドイツの総合/専門大学

9月から10月にかけ、ドイツの各大学で新学期が始まります。

アビトゥア試験(大学入学資格)に合格した若者たちは、この試験(全国16州の試験開催時期は異なります)が終了する春から夏にかけて大学と学部の選択に奔走します。

大学入学希望者は、志望大学の様子、生活費は?部屋はすぐ見つかるか?などについて、親や友人と相談しながら新生活に夢を馳せます。

ドイツ国内には総合大学と専門大学が427校あります。大学選びも重要ですが、若者にとって数年過ごす街のナイトライフやレジャータイムが充実しているかどうかも気になるところです。

ここでは1位から3位に選ばれた人気の街を詳しく紹介してみたいと思います。

1位ドレスデン

ゼンパーオペラ場内はガイドツワーだけでも見応え充分(c)n.spitznagel
ゼンパーオペラ場内はガイドツワーだけでも見応え充分(c)n.spitznagel

ドレスデンは、ドイツ東部の街でザクセン州の州都。この街にある総合大学や専門大学は12校。

ドレスデンが1位に躍り出たのは、やはり生活全般にかかる費用が格安、しかも文化やレジャータイムのレベルが非常に高い点だそうです。バーやディスコの充実度にも現役大学生は大満足といいます。

学割を最大限に利用して、ゼンパーオペラ州立歌劇場で一流のオペラやコンサートを楽しんだり、ツウィンガー宮殿やフランエン教会見学など、数多くの歴史や文化に触れるチャンスがある点は、大学生にとても好評です。

家賃は、地区にもよりますが、1平方メートルにつき平均7,81ユーロ(900円弱・1ユーロ113円で換算)と、とても格安です。

2位ベルリン

イーストサイドギャラリー・ベルリンの壁跡にて(c)n.spitznagel
イーストサイドギャラリー・ベルリンの壁跡にて(c)n.spitznagel

ベルリンはドイツの首都として政治や観光など何かと話題に上る街です。ベルリンの総合大学と専門大学数は51校。

国内最大規模の街でスタートアップの盛んなベルリンは、国内外からの移住者も多いうえ、外国資本の大企業も多くあります。そんな背景もあり、ベルリンで新入生が一番悩むのは、やはり大都市共通の関門である部屋探しだそう。

独連邦議会議事堂・後方の円形ドームは見学可能(c)n.spitznagel
独連邦議会議事堂・後方の円形ドームは見学可能(c)n.spitznagel

緑も多く、歴史や文化にも多く触れるチャンスに恵まれたベルリン。

特に政治に関心ある学生にとってベルリンは、国内でも最も魅力ある街です。

連邦議会議事堂で議会を見学したり、各国大使館でのイベントに参加したりと、あらゆる可能性に溢れた街として満足度100%といいます。

一般的に首都ベルリンは、物価や生活費が高騰しているというイメージがあるかもしれません。ところが、地区によりばらつきもありますが、家賃は1平方メートル平均11、31ユーロ(1300円弱)で、生活費も思いのほか安価といいます。

ナイトライフやレジャータイムの満足度もドレスデンと同様、多岐にわたり退屈しません。ベルリンの壁やベルリンフィルハーモニー、ブランデンブルク門など歴史を知るハイライトにはじまり、見本市や国際映画祭、観光フェアなど一年中イベントも多いベルリンでは、勉学の合間を縫って楽しむ余暇タイムの選択肢の多さはダントツです。

さらに、建造物の修復や新築ラッシュで日に日に変わる景観を体感できるのもベルリンならでは醍醐味だそうです。 

3位ハンブルク

「ハンブルクの真珠」と呼ばれるアルスター湖周辺(c)n.spitznagel
「ハンブルクの真珠」と呼ばれるアルスター湖周辺(c)n.spitznagel

ハンブルクはドイツ内で第2規模の大都市です。ハンブルクの総合大学や専門大学数は36校。

若者やアーティストが多く住むシャンツェン地区(c)n.spitznagel
若者やアーティストが多く住むシャンツェン地区(c)n.spitznagel

国内北部に位置するハンブルクは港湾都市として、港町独特の雰囲気を持つ単独で州を構成する街です。

世界遺産指定の赤レンガ倉庫街は散策道としても人気です。また、ロッキーやライオンキングなどロングランミュージカルを特別会場で鑑賞できるのも、ハンブルクならではの特典といいます。

新入生は部屋探しに苦労することと、生活費が高くつく点をクリアーできれば、学生生活を謳歌できるに違いありません。家賃は1平方メートル平均12.35ユーロ(約1400円)。

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ちなみに1平方メートルの平均家賃が一番高いのは4位のミュンヘン(20,57ユーロ・約2300円)でした。

ミュンヘンは、バイエルン州の州都としてファッションやトレンドショッピング、バーやディスコなどナイトライフにも事欠かない、魅力的な街です。ミュンヘンで大学生活を送りたい若者は、他の大都市と同様、部屋探しと非常に高い家賃や生活費が大きな課題となるようです。

いずれにせよドイツの大学は、授業料のかかる私立大学もありますが、ほとんどが国の資金で運営されている国立大学です。 そのため、州や専攻にもよりますが、国立大学の授業料は無料(あっても日本とは比べ物にならないほど安い一学期500ユーロほど《約5万6000円》)です。

医学・歯学・薬学などの学部は、中央学籍配分機関を通じて出願することが義務付けられているため、志願者の成績査定を経て、入学大学が決定されます。希望大学は申請するものの、どこの大学に入れるかどうかの決定権は志願者の手中にありません。

そのほかの学部は希望大学(学部)へ直接応募書類を提出します。そのため志願者の進みたい学部に入学できる見通しは高いようです。

何はともあれ、ドイツの大学生は(親も含めて)、日本ほど学費を考慮する必要がないという非常に恵まれた環境で大学に進むことができるのです。

以上

参考記事

VerbraucherWelt 「現役大学生から新大学生へ」人気の街

フランクフルターアルゲマイネ紙8月17日他

在独ジャーナリスト

ビジネス、社会・医療・教育・書籍業界・文化や旅をテーマに欧州の情報を発信中。TV 番組制作や独市場調査のリサーチ・コーディネート、展覧会や都市計画視察の企画及び通訳を手がける。ドイツ文化事典共著(丸善出版)国際ジャーナリスト連盟会員

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