ネット通販社会の支配者。ヤマトとアマゾンへの「対抗策」
●今朝の100円ニュース:ヤマト一斉値上げへ(日本経済新聞)
地方都市で暮らし始めて、ヤマト運輸とアマゾン・ジャパンへの依存度が急激に高まった。書籍だけでなく、食材や家具など「ほしいもの」が安く迅速に購入できて時間指定で届けてもらえる。都会のような商業集積があるわけではないので、ネット通販はもはやライフラインの一つと言ってもいい。
今朝の日経新聞によると、ヤマトは法人顧客に対して運賃の引き上げを要請したらしい。宅配便は大手3社(ヤマト、日本郵便、佐川急便)がシェア9割以上という寡占市場。最大手であるヤマトの意向を無視できる荷主は少ないだろう。もちろん、運賃コストの増大は最終的には消費者にのしかかってくる。
ネット通販が台頭する前は大型スーパーや家電量販店の全盛期だった。駅前の商店街はとっくにさびれてしまい、割高でも手に入らない商品もある。より便利により安く買い物をすることを求めた結果、僕たちの消費生活はヤマトとアマゾンに逆らえない状況になりつつある。
民間企業には顧客を選ぶ権利があり、価格もほぼ自由に決められる。ヤマトを利用したければヤマトの意向に従うしかないのだ。荷物を届けてもらう時間を指定したことを忘れて出かけてしまい不在連絡票が何枚もポストに入っていたりすると、「ブラックリストに入れられて宅配を拒否されたりしたらどうしよう……」と妄想してしまう。届け直してくれたお兄さんに「何度も来てもらってすみませんでした」と頭を下げている。
このままではマズい気がする。万が一にもネット通販を利用できなくなった場合でも、最低限度の文化的な生活を維持できるようにしたい。僕はささやかな対抗策を実行している。自宅から徒歩20分で行ける「良き店」をリストアップして手作り地図にし、コピーして友人知人に配りまくっているのだ。愛知県東三河地方の蒲郡駅の近くに住んでいるので、地図のタイトルは「徒歩20分圏内!蒲郡駅前おたのしみマップ」とした。
去年の夏に作成したマップでは、20店舗弱を取り上げた。内訳は次の通り。コーヒーショップ、居酒屋、洋服直し店、理容室、焼き鳥屋、洋食店、和食店、食品スーパー、洋菓子店、カーテン製造販売店、ラーメン屋、花屋、病院、焼き肉店、水族館、ホテル。今年の夏に改定版を作成し、うどん屋、蕎麦屋、寿司屋、書店を追加できる予定だ。
地図を作っている一番の目的は、自分に「こんなにいろんな店がまだ残っているのだから大丈夫。できるだけ利用しよう」と言い聞かせることだ。マップを眺めるたびにちょっと安心する。そして、地元で知り合った人にも配り、新規客や常連客を少しでも増やすようにしている。当然ながら、どの店も我が家のヘビーユースだけでは支えられないからだ。
さらに、東京にいる友だちや仕事仲間にも渡している。「さびれているように見える町だけれど、探せばいい店がこんなにあるんだよ。一度、遊びに来て。移住するなら不動産屋も紹介するよ」と誘っている。たいていの人は苦笑するけれど、中には家族連れで遊びに来てくれる人もいる。今後5年ぐらいマップを配り続けていれば、本当に引っ越して来る家族も1組ぐらいはいるかもしれない。
ヤマトとアマゾンに逆らうつもりはない。これからも利用させてもらうだろう。でも、「万が一」のことがあっても、楽しく自足できるようにしたい。