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食べる仕事から見た【外食】に何が起きているのか【6月】現代の路面店の要件と今月の42店(画像66枚)

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト

調布パルコ、売り上げがコロナ前超え 足元商圏の変化に対応

2024.06.28 繊研新聞 (全1,054字) 

https://senken.co.jp/posts/chofu-parco-240628


いつもお読みくださっているみなさま、月初にUP予定の記事をすっかり寝かせていたことに気づいてしまいました。誠に申し訳ありません。お詫び方々、今回は有料部分に掲載している店舗数、文字量、画像の点数、すべて盛り盛りVer.でお送りいたします。続く記事も今回は早めに上げてまいりますので、引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、冒頭の記事リンク、書き出しのみ公開となっているので、ざっくり内容を以下にまとめておきます。

・調布パルコは、近隣商圏の客層とニーズの変化に対応した施策を強化した成果で、売り上げ増を達成している。

・テナント売上高は22年3月から今年5月まで毎月、前年超え。その理由としてテナントの強化が挙げられる。

・1Fコスメの「コスメキッチン」、生活雑貨の「スリーコインズ・プラス」、レディス「ルクールブラン」など。3階に生活雑貨の大型店「スリーコインズ・プラス」、シューズ「オリエンタルトラフィック」など、各階にニーズに合わせたテナントを配置。アイウェア「ゾフ」は店舗面積を拡大し、検眼スペースと待合スペースを充実させた。

飲食もそれ以外の業態も、リアル店舗に客足が本格的に戻ってきました。特に6月の週末の夜には、新宿、渋谷、池袋などの繁華街の飲食店は軒並み盛況で、終電すぎのタクシー乗り場には長蛇の列ができていました。

冒頭の調布パルコの売上も、23年度(24年2月期)は188億5000万円(前期比8.3%増)と、コロナ前の19年度比でも1.4%増となっていて、今年の第1四半期も前年同期比3.1%増。テナントの売上高は22年3月から今年5月まで毎月、前年超えとなっています。

23年のコロナ明けから1年が経ち、飲食店の新規出店も増えましたが、好調な店舗とやや苦しい店とが明確に分かれている印象です。コロナ禍を経て消費動向は変化しました。コロナ禍から日常を取り戻す過程で、当初は「消費が戻っていない」とみなされていましたが、いま多くの客は目当ての一軒を訪れて、まっすぐ帰宅します。深い時間まで町に残って2軒、3軒と訪れる客はいまやごく少数派となりました。

つまり路面店にとっては、新しい客と出会う機会が減ったのです。当然、店は客に選んでもらえるよう、工夫を凝らさなければなりません。パルコのような人が集まる商業施設は、居心地訴求のような施策も有効かもしれませんが、レッドオーシャン待ったなしの飲食店、特に個人店はさらに知恵を絞る必要があります。

つまり、代えのきかない店舗です。もともと店と客の関係性が構築されていたり、強い物語がある店などがそれにあたりますが、新しい店はそうも言っていられません。

「予約が取れない」「会員制」など飢餓感を煽るように、さまざまな仕掛けで顧客を囲い込んで次回の来店予約を積極的に取りに行く。いわゆるマーケティング手法に長けた店が増えました。

ただし手法は手法でしかありません。大切なのは序盤の瞬間最大風速ではなく、ずっと走り続けられる帆走力であり、もっと言えば前に進むための抵抗を減らすための揚力(いい常連や固定客)だったりします。

調布のようにこの数年で、劇的に価値が上がった町があります。ただ、その価値は商業施設だけではなく、小さな店も含めた様々な店舗が集まることで上がったり下がったりするものです。代替わりでより活力の生まれた立石や高円寺の焼肉店もありますし、長く地域に根ざしてずっと愛され続ける飲食店も数え切れないほどあります。

一方で新しい店の従業員不足は相当に深刻です。飲食店であれば、調理からサービスまで1人で切り盛りするワンオペ店や、家族でまかなう店も増えました。資本力のある店では従業員教育に力を入れる店舗もあるもののレアケースです。何より単純に人手が足りないので、Timee(タイミー)のようなスポットでの雇用などどこかで割り切りも必要です。

飲食店の場合、本質的に重要な売上を支えるのは、料理とサービスという2本柱。どんなにマーケティングに長けていても、これなしで飲食店は成立しません、ワンオペでもそうでなくても、毎日の現場で客に届く形で運用されてこそ、客は店に好感を持ち、場合によっては忠誠(ロイヤルティ)を抱くようになったりもします。

日本の飲食店のレベルは、海外勢の追随を許さないほどの高みにあります。それゆえ、メニューやサービス、価格含めて、どんな店舗を目指すのか、一定の強度で客の心に届くような特徴を打ち出す必要があります。

そんなストロングポイントがある飲食店を、先月訪れたなかから抜粋します。遅くなりまして申し訳ありません! その分、いつもより質量2倍にてお送りいたしますので何卒ご容赦くださいませ。


【以下に訪れたなかから抜粋した42軒について8684文字の記述と66点の画像を公開しています】

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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