北朝鮮の軍事パレードで新型短距離弾道ミサイル登場、消えた16輪移動発射機の謎
韓国・平昌オリンピック開幕を9日に控えた8日、北朝鮮は朝鮮人民軍創建を記念する軍事パレードを実行しました。今回注目すべき点は二つあります。
イスカンデルに酷似した新型短距離弾道ミサイル
初登場の新兵器として、ロシアのイスカンデル短距離弾道ミサイルに酷似した外見のミサイルを2発搭載する車両が登場しました。イスカンデルは固体燃料を用いた射程数百kmの短距離弾道ミサイルです。射程から日本攻撃用ではなく韓国攻撃用であり、発射に準備時間が掛からない固体燃料式の短距離弾道ミサイルは韓国にとって大きな脅威に発展する恐れがあります。
消えた16輪移動発射機
今回のパレードで登場した弾道ミサイルは以下の通りです。
- 火星15長距離弾道ミサイル・・・4両(18輪移動発射機)
- 火星14長距離弾道ミサイル・・・3両(発射能力の無いトレーラーに積載)
- 火星12中距離弾道ミサイル・・・6両(12輪移動発射機)
- 北極星2準中距離弾道ミサイル・・・6両(戦車改造移動発射機)
- 新型短距離弾道ミサイル・・・6両(8輪移動発射機、イスカンデル酷似)
火星14が以前搭載されていた16輪移動発射機に搭載されておらず、発射能力の無いトレーラーに積載されていた点が奇妙な点です。今回、16輪移動発射機が登場していません。これはもしかしたら、北朝鮮が完全国産に成功したと主張していた18輪移動発射機は実は16輪移動発射機の改造品であり、火星14は仕方なく間に合わせでトレーラーに搭載して来たのではないか、という推定をすることが出来ます。しかし駆動する車軸を増やすような改造を行って強度は大丈夫なのかという疑問も残ります。もし改造である場合、北朝鮮は長距離弾道ミサイル用の大型移動発射機を中国から不正輸入したWS51200野外機動トラックを元にしたこの4両しか持っていないことになり、精密な分析が待たれます。(2/9追記訂正:中国から不正輸入したWS51200は合計6両と推定されており、残る2両は改造中かあるいは解体して量産に備えた研究中の可能性。)
また火星14を積んできた発射能力の無いトレーラーは、昨年4月のパレードで登場したキャニスター付きのトレーラー型長距離弾道ミサイルと酷似しており、今回はミサイルを起立させる油圧シリンダーなどの装備を外して単なるトレーラーとして出て来ています。これは将来的に装備を再装着し調整した上で、火星14を発射できる能力を付与する予定なのかもしれません。