2022年平均給与は457万6000円…給与や賞与の実情をさぐる(2023年公開版)
国税庁は2023年9月に「令和4年分民間給与実態統計調査結果」(※)を発表した。それによると2022年12月末日時点の給与所得(給料+手当+賞与)者数は5966.7万人となった。また同年の平均給与は457万6000円となり、前年比でプラス2.7%・金額で11万9000円の増加を示すことになった。今回は過去の取得可能なデータ分も合わせ、給与の実情を確認する。
まずは平均給与と伸び率。2022年の平均給与は457万6000円で、前年比プラス2.7%。2021年から続いて2年連続の前年比プラス。公開値として取得可能な1997年以降分としては最高額だった1997年の467万3000円と比較すると9万7000円低い値となる。なお合計値の平均算出の際には正規と非正規だけでなく、役員などの値も含まれていることに注意が必要。
金額の動向としては、やはりリーマンショック直後の2009年に大きく下げているが、それ以前から少しずつ、額面が落ちて行く状況が確認できる。一方、リーマンショックで急落した2009年以降は、ほぼ横ばい、そして2013年以降はようやく多少ながらも上昇していくようすがうかがえる。
直近の2022年は前年比で増加した。平均給与の中身を見ると、平均給料は386.0万円で前年比プラス2.4%、平均賞与は71.6万円で前年比プラス4.2%となっている。
これをもう少し細かく、具体的には毎月の支払となる「給料」と「手当」、そして年に1回から2回支払われる(場合が多い)「賞与」に区分したのが次のグラフ。よい機会でもあるので、会社待遇の比較の際によく使われる、「年間賞与が月あたりの給与の何か月分に相当するか」も算出し、併記しておく。
給料と手当、賞与を足した給与が減少傾向にあり、2013年でようやく前年比プラスに転じたのは前のグラフで示した通りだが、給料と手当、賞与ともに減少していく状況だったのが、2013年以降は双方ともおおよそ増加しているのが分かる。どちらか一方だけではない。
ちなみに減少率は賞与の方が大きく、そのため「年間賞与が月あたりの給与の何か月分に相当するか」の値も漸減していたのが見て取れる。例えば1997年は2.89か月分であったのが、2009年は1.93か月分にまで減っているのが確認できる。もっともこの値もリーマンショック後は少しずつ回復の動きの中にある。2020年に大きく落ちたのは、新型コロナウイルスの流行による景気後退が原因だろう。
最後に、所得税額における高所得者の比率について確認をしていく。給与所得者数・納税者数・給与総額・納税対象となる人の給与総額・税額の項目で、給与額が800万円以下と800万円超で二つに区分してグラフ化したのが次の図。要は「高所得者か否か」による区分(「高所得者」との言葉の定義には諸論あるが、今回は元データの区分をそのまま適用する)。
給与所得者数では9.7%に過ぎない高給与所得者が、所得税額の2/3近くを支払っていることになる。対象給与総額と大きく比率が異なるのは、累進課税によるものに他ならない。
今件はあくまでも、源泉徴収義務者(事業所)の支払額に着目し集計を行ったもの。個人の所得全体はまた別のものなので、注意を要する。また、給与総額に対する所得税額は全体で5.21%となっている(前年は4.97%)。
公租公課は所得税以外にも地方税、年金、保険料その他があるため、一概に5.21%が低いとは言い切れない。とはいえ適用される場合の所得税の最低税率が5%であることを考えると、地方税とのバランスも含め、もう少し上手い、公平感の高まる工夫はできないかな、と思うのは当方だけではあるまい。
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※民間給与実態統計調査
民間の事業所における年間の給与(給料・手当および賞与の合計額で、給与所得控除前の収入金額)の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別などに明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討および税務行政運営等の基本資料とすることを目的とした調査。調査対象は正社員・非正社員も含めた従業員、役員(公務員は含まれていない)。また、民間の給与所得者の給与について源泉徴収義務者(事業所)の支払額に着目し集計を行ったものであり、その個人の所得全体を示すものではないことに注意。例えば利子・配当などは考慮外となる。
なお2022年分から新たな復元推計手法が適用されており、それに伴い2014年分以降も同様の手法で再計算されている。よって2013年分までと2014年分以降との間には、厳密には連続性はない。
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