ホークス、ドラ2→育成・小澤怜史1230日ぶりの先発白星。期限は今月末、必死のアピール
野村が2号弾含む3安打
9月16日、福岡ソフトバンクホークス二軍は、タマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・リーグ公式戦で広島東洋カープ二軍と対戦した。
【9月16日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 744人】
広島 100000020 3
ソフトバンク 02021000× 5
<バッテリー>
【C】●ジョンソン(1勝2敗)、畝、藤井黎、藤井皓、今村、田中法――石原貴
【H】◯小澤(1勝0敗)、松田遼、川原、高橋純、S岩嵜(2セーブ)――谷川原、堀内
<本塁打>
【H】野村2号
<スタメン>
【C】8宇草 4安部 D小窪 3林 7高橋大 6小園 2石原貴 9木下 5中神
【H】7水谷 4三森 3内川 7バレンティン D長谷川 5野村 6古澤 2谷川原 8佐藤
<戦評>
ソフトバンクが連勝を4に伸ばした(引き分け挟む)。1点ビハインドの二回、1死から野村が2号ソロを放って追いつき、なお2死二塁から佐藤の右中間適時三塁打で逆転に成功した。
四回は水谷の適時三塁打と三森のタイムリーで追加点。五回は佐藤の犠飛でダメ押しした。野村は3安打、佐藤は2打点の活躍だった。
先発した小澤は立ち上がりに失点も、その後は粘って5回1失点。今季ウエスタン初登板で勝利投手になった。川原、高橋純、岩嵜は前日に続き連投した。(了)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
小澤怜史5回1失点「まとまっていた」
先発マウンドに上がったのは、背番号123右腕の小澤怜史だった。
今季ウエスタン・リーグ初登板。「2軍での先発は久しぶりでした」と本人が語るように、2017年シーズン以来3年ぶりだった。
立ち上がりは緊張感もあり失点したが、二回以降はゼロを並べて先発責任回数の5回をしっかり投げきった。「三回まで先頭打者を毎回出してしまったのが反省です。あと、たくさん投げて(78球)少し疲れました(笑)」。5回5安打1失点。味方打線の援護もあって勝利投手になった。
二軍だが、公式戦で白星がついたのは2018年4月1日以来。先発に限れば、2017年5月5日の広島戦以来で、じつに1230日ぶりだった。
そして小川一夫二軍監督も評価したのは与四球が1つだった点だ。小澤も「まとまっていたと思います」と納得顔だった。
2015年ドラフト2位
小澤は今季5年目。2015年ドラフト会議で高橋純平に次ぐ2位指名で日大三島高校から入団した。高校3年夏の静岡大会では自己最速の152キロを計測するなどしてプロ入り当初から大きく期待されていた。
入団1年目は三軍戦のみの登板だったが、2年目の2017年に“飛び級”で一軍オープン戦に登板して話題になった。その年の8月24日の西武戦(ヤフオクドーム)では一軍公式戦デビューを飾っており、一軍で2試合の登板実績がある。しかし、2018年に故障すると同年オフに支配下登録を解除。育成選手として再出発していた。
今季、育成選手から支配下登録される期限は、9月30日となっている。「もちろん頭の中にはあります」。意識しない育成選手などいるはずがない。
この日の小澤はコントロールも良く、さらに直球は140キロ台後半を常時マークするなど安定感が抜群だった。「3年前に一軍で投げた時の自分より、今の方が上だと思います」。確かな自信を取り戻し、普段はクールな男がそっと笑みを浮かべた。
一日一日を大切に前進することで恩返しを
ところで、16日、信じられない報せが飛び込んできた。川村隆志コンディショニング担当が同日朝に三軍遠征先の神戸市内のホテルで急逝した。55歳の若さだった。29年間にもわたりホークスを支え、さらに明るいキャラクターでムードメーカーでもあった川村さん。今年は三軍を担当しており、這い上がろうとする若鷹たちに熱心に寄り添っていた。
小澤はこの事実を知らずに投げていた。また、試合後の取材の時点でもまだ訃報を耳にしていなかった。その後、どれほどのショックを受けたのか想像に難くない。ただ、とにかく、今までの恩に報いるためにも、また今日からの一日一日を大切にして前進していってほしい。それは小澤だけではなく全員に言えることだ。
最後になりましたが、故人を偲び、謹んでお悔やみ申し上げます。ずっと頑張った来られた分、ゆっくりとお休みになってください。