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「引退って言わんでよかった」元賞金女王・森田理香子から感じていた“ツアー復帰”の予兆#専門家のまとめ

金明昱スポーツライター
今季国内女子ツアー開幕戦から復帰するという森田理香子(筆者撮影)

 国内女子プロゴルフツアー2013年の賞金女王で、通算7勝の森田理香子が、今シーズン開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」から復帰するという。2018年6月を最後に第一線を退いてから、約5年ぶりの復帰となるが、長期休養を経て再びプロの厳しい世界に立つのは異例の出来事だ。それでも34歳・森田は復帰を決めた。ここ数年の発言からは復帰への決意と覚悟が見え隠れしていた。

▼2013年シーズン、23歳で初の賞金女王に。賞金ランキング2位の横峯さくらとデッドヒートを繰り広げ、約130万円差で振り切った。

▼2016年にシード落ち。賞金女王の翌年は1勝したが、15年は未勝利。16年は予選落ち18回とキャリアは下降線をたどっていた。13年末からアプローチイップスに。

▼2018年10月末に休養を宣言。「ファンの皆さま、スポンサー各社の皆さまには大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。今後は体調管理も含めて、再起に向けて取り組んでまいります」とコメント。

▼休養中でも自身がプロデュースするウェアの販売、企業コンペやツアー解説など、少しずつゴルフの仕事を開始。「試合に出ることはない」と否定しつつ「めっちゃ練習し始めた」と語る。

▼昨夏の単独インタビューで「もっとうまくなりたい。甘い世界ではないけれど、(ツアーに)挑戦する気力があるから練習している。引退って言わんでよかった」と復帰を匂わせていた。

 森田理香子の現役復帰は個人的にとてもうれしいニュースだった。賞金女王になった2013年の女子ツアー最終戦で横峯さくらとの一騎打ちを現場で取材していたが、怖いものなしの勢いと強さがあり、新たなヒロインの誕生にゴルフファンも沸いた。

 ただ、突然の休養宣言は残念で仕方なかった。というのも、第一線から離れれば復帰するのは難しいプロの世界でもあるからだ。それでも森田のゴルフへの情熱とは消え去っていなかった。武器であるドライバーショットも練習とトレーニングの成果からかなり飛んでいると聞く。

 一度立ち止まり、休む過程で自分の進むべき道を見つけ出したこの先のゴルフ人生が、復帰を機にさらに好転していくことを期待している。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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