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現場で見た!バレーボール西田有志「右鼓膜損傷」の一部始終…強烈な衝撃に“ヒヤッ”告白に“どよめき”

金明昱スポーツライター
試合中の相手のスパイクが直撃し右耳の鼓膜が破れた西田有志(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 一瞬、ヒヤっとした。4日に行われたバレーボール男子のSVリーグの大阪ブルテオン対ジェイテクトSTINGS愛知の第2セット目。STINGS愛知のトリー・デファルコの会心の一撃とも言える強烈なスパイクが、大阪ブルテオンの西田有志の頭部に直撃した。

 筆者はこの日のチケットを購入し、いち観客として試合を観戦していた。そのため、西田の頭にボールが直撃したシーンをこの目で見ていたのだ。

 ボールはとにかくものすごいスピードだった。頭部への衝撃でふらついているようにも見えたし、脳震とうを起こしたかと思うほど現場は一瞬、ヒヤリとしていた。周囲にいた選手や観客のほとんどが直感的に「これは危ない」と思ったはずだ。

 西田は何度も右耳を気にするように触っていたが、この時点で右耳が聞こえにくい状態だったのかもしれない。それでもコートの外でチェックを繰り返すと、笑顔でコートの中に戻った。

試合後に「たぶん鼓膜が破れた」と告白して会場がどよめく

 スパイクを西田の頭に“当ててしまった”トリー・デファルコとも「大丈夫」と軽くハグするシーンも見られ、その後は何事もなかったかのようにプレーを再開した。

 それに試合は大阪ブルテオンが1セット目を先取し、2セット目もチームに流れが来ている状況で、西田には途中から抜けられないとの思いもあったに違いない。ファンにも余計な心配をかけさせまいとの振る舞いにも見えた。

リーグ首位を争う同士の新年1発目の試合ということもあり、チケットは完売だった(筆者撮影)
リーグ首位を争う同士の新年1発目の試合ということもあり、チケットは完売だった(筆者撮影)

 西田は強力なスパイクとサーブ、ブロックで20得点を挙げ、セットカウント3-1の勝利に貢献。試合後は観客が見守るなか、インタビューに応えたがそこでさらりとその事実を明かしたのだった。

「たぶん鼓膜が破れたと思います。右耳は何も聞こえないんで」。その告白に会場はどよめいた。それでも「今年最初の試合に勝つことができてよかったです。自分自身、まだまだ向上していきたい。まだまだ試合は続くのでぜひバレーボールを見て楽しみいただけたらなと思います。ぜひ集まってください」と語り、最後まで気丈にふるまった。

チームは西田の全治期間については触れず

 しかし、その後のメディアに向けた会見はドクターストップで欠席したというが、その不安は的中した。チームは公式Xで「本日の試合で右耳にボールを受けて受傷した西田有志選手について、検査の結果『右鼓膜損傷』と診断されました」と発表。

 ちなみに鼓膜の小さな穴であれば2~4週間で自然に治ると言われているが、チームは今後の治療や全治期間などの詳細について、一切触れていない。今季はリーグ1位(16勝3敗)を走るチームのエースアタッカーでもあるだけに早い回復を祈るばかりだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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