チャンピオンズリーグ（CL）がまもなく再開される。決勝トーナメント1回戦で最初に登場するイタリア勢はナポリ。王者レアル・マドリーとの厳しい対戦だが、ナポリも好調だけに期待は小さくない。OBたちも、ベスト8進出が決して夢物語ではないとエールを送った。

◆爆発的な得点力

ジネディーヌ・ジダン監督率いるマドリーは、クラブ・ワールドカップで鹿島アントラーズを下して優勝し、リーガエスパニョーラでも消化が2試合少ないながらバルセロナに勝ち点1差の首位に立っている。クリスティアーノ・ロナウドを筆頭とするタレント軍団が下馬評で有利なのは当然だ。

だが、ナポリもイタリア有数の魅力的なサッカーで高い評価を受けている。ゴンサロ・イグアインという絶対的エースをユヴェントスに引き抜かれ、代役のアルカディウシュ・ミリクが長期離脱したにもかかわらず、第23節終了時でのクラブレコードとなる55得点とゴールを量産しているのだ。

セリエAで55得点はユヴェントス（45得点）やローマ（41得点）といったライバルたちを引き離して断トツのトップ。欧州レベルでも、プレミアリーグの全チームを上回り、リーガエスパニョーラで最多得点のバルセロナとも肩を並べている（ただしナポリは消化が2試合多い）。

10月29日のユヴェントス戦を最後に公式戦で17試合無敗のナポリは、12月以降の公式戦12試合で10勝2分けと絶好調。10日のジェノア戦で躓かなければ、最高のムードでマドリーとのビッグマッチを迎えることができる。

◆絶好調のトリデンテ、マラドーナに迫る主将

好調のチームをけん引しているのが、ミリクの離脱でセンターフォワードを務めるようになったメルテンスだ。169センチの小兵ながら、イグアイン、マウロ・イカルディ、エディン・ジェコ、アンドレア・ベロッティといったリーグを代表するセンターフォワードたちを上回る16ゴールで得点ランク単独首位に立っている。

そのメルテンスと、ホセ・マリア・カジェホン（8得点8アシスト）、ロレンツォ・インシーニェ（7得点5アシスト）のトリデンテ（3トップ）は屈指の破壊力。また、キャプテンのマレク・ハムシクも忘れてはいけない。在籍10年目のスロバキア代表は、通算得点（111）であのディエゴ・マラドーナが持つクラブレコード（115）まであとゴールと迫っている。

◆OBたちもリベンジに期待

ナポリはマラドーナ時代に欧州の舞台でマドリーに屈した経験がある。1987-88シーズンの欧州チャンピオンズカップ1回戦だ。当時のチームに所属していたOBたちは、『コッリエレ・デッロ・スポルト』で後輩たちのリベンジに期待を寄せている。

日本でもプレーした経験を持つカレッカは、「突破の可能性はあると確信」。ブルーノ・ジョルダーノも、拮抗した展開を予想しつつ、「マドリーの個の力にナポリのエレガントさと組織力が応えるだろう。簡単ではないが、やれるはず。条件はそろっていると思う」と、チャンスはあると予想した。

アンドレア・カルネヴァーレは「今のマドリーは順風満帆ではないようだ」「彼らには歴史と経験、素晴らしい才能があるが、ナポリにはきらめくようなプレーがあり、魅力的なトリデンテがいる」と、付け入る隙はあると指摘している。

サルヴァトーレ・バーニは「イタリアにも欧州にも、ナポリほど美しく、のびのびしたサッカーを見せているチームはない。ナポリは完ぺきなマシンだ。相手の守備をくらくらさせる。私はマドリーとの2試合を恐れていない」と絶賛した。

また、1987-88シーズンのメンバーではないが、やはりナポリOBであるエラルド・ペッチも、「マドリーの方が強いことは疑いない」としつつ、ナポリの攻撃陣には「彼らのようなビッグチームをも苦しめられる解決策」があるとし、「ラウンドを突破するはず」と述べている。

◆初のベスト8進出なるか？

イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、ナポリが7-1と大勝した4日のボローニャ戦のマッチレポートで、「銀河系だ！」「レアルよ、ナポリを見たか？」と、CLに向けて王者を挑発した。ファンはもちろんのこと、OBやメディアも金星への期待を高めているのだ。初のベスト8進出を目指すナポリは、その期待に応えられるのか。ファーストレグは15日、サンチャゴ・ベルナベウで行われる。