北海道コンサドーレ札幌の2018年の戦績をデータで振り返る
北海道コンサドーレ札幌は明治安田生命J1リーグの2018年シーズンをクラブ史上最高順位となる4位でフィニッシュした。戦績は34試合15勝10分け9敗、勝ち点55得点48失点48という結果だった。
昨季は四方田監督の指揮のもと守備的な戦術で11位という結果だったが、ペトロヴィッチ監督に替わった今季はサッカーの内容がどのように変わったのか、得点パターンのデータから分析する。
流れの中からの得点が2.8倍に増加
リーグ戦における得点数は昨季が39得点だったが、今季は48得点と23%アップした。内訳を円グラフで可視化すると、興味深い変化が見て取れる。
昨季はセットプレー(PK、直接FKを含む)からの得点が全体の約半分を占めていたが、今季は23%と半減した。
それに対して、流れの中からの得点(パスの連携やドリブル突破など)が2017年は9ゴールだったのが、2018年は25ゴールと2.8倍増加し、総得点における割合でも半数を超える形となった。
この数字は、セットプレー頼みだった昨季の攻撃スタイルを脱却し、最終ラインから丁寧にパスを繋いで、相手の守備陣を崩してから決め切る「ミシャサッカー」がたった1年で浸透した成果と言えるだろう。
ただし、クロスからの得点が全体の約4分の1を占める状態は、昨季とは変わっていない。
ペトロヴィッチ氏が指揮した広島や浦和時代の攻撃スタイルを踏襲するならばこのパターンも減るように思うが、なぜクロスからの得点パターンの割合は昨季と変わっていないのだろうか?
都倉とジェイの「ツインタワー」を活用
その理由はチーム内得点ランキングを見ると、一目瞭然だ。
Jリーグでも屈指のフィジカルを誇る都倉賢(187cm)が12ゴール、ジェイ・ボスロイド(190cm)が9ゴールとチーム全体の得点の約4割を稼いだ。
ペトロヴィッチ監督は広島と浦和の指揮を執っていた時代は「空中戦」ではなく「地上戦」にこだわる傾向が強かったが、札幌に就任した1年目は、この「ツインタワー」をうまく活かした格好になった。
札幌の三上大勝GMはシーズン開幕前に「広島や浦和のスタイルを真似るつもりはない」と取材に答えていたが、ペトロヴィッチ監督はパスを丁寧に繋ぐ「地上戦」にこだわりつつも、クロスを上げてヘディングで勝負する「空中戦」も使い分けて、今季はこれら両方の攻撃パターンをうまく融合できたように思う。
来季に向けて補強は必須
コンサドーレが今季上位争いを演じたことで、来季は他のライバルチームも入念に分析して「札幌対策」を練ってくることだろう。
今オフに札幌のフロントは8選手との契約満了を発表した。更なる高みを目指すためにも、新たな戦力の補強は必須と言える。
札幌のフロントはどんな新戦力を発掘してきてくれるだろうか? このオフシーズンは三上GMの「目利き」にも要注目だ。