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主な新興国経済ニュース(5月14日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

EBRD、欧州新興国の成長率を1%下方修正―ロシアは1.7%下方修正

欧州復興開発銀行(EBRD)は先週末に発表した最新の景気見通しで、欧州新興国と北アフリカの全体の経済成長率の見通しを前回1月予想時の3.1%増から2.2%増と、0.9%ポイント下方修正した。これは昨年の成長率3.1%増も大幅に下回る。モスクワ・タイムズ(電子版)が13日に伝えた。

下方修正はロシアやポーランド、トルコの景気見通しが一段と悪化したためとしている。ロシアの今年の経済成長率見通しは、前回予想時の3.5%増からわずか1.8%増と、ほぼ半分の低い伸びに下方修正された。これは昨年の3.4%増を大幅に下回り、景気後退が進むと見られている。ただ、来年には成長率は上向くとしているが、急激な回復は困難としている。他方、ポーランドの成長率見通しも前回予想時の1.5%増から1.2%増に下方修正された。ただ、来年には2%増に持ち直すと予想している。

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LOTポーランド航空、政府保有株の全株売却が可能に

ポーランド議会は先週末、国営航空会社LOTポーランド航空の民営化にあたり政府保有株の売却は49%までとする規制を撤廃する法案を賛成235票、反対212票の僅差で可決した。今後、同航空会社は政府の持ち株を全株売却することが可能になる。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が13日に伝えた。

これまで同航空会社の民営化にあたっては、政府の持ち株比率は51%以上に維持しなければならないという規制を受けていたが、財務省はこうした高い政府持ち株比率が同航空会社に対する投資家の出資意欲を削ぐ形となっているとしている。

LOTポーランド航空は3月に財務省に提出した経営再建策で、今年は1億5000万ズロチ(約50億円)の内部留保を確保し、来年から黒字に転換するとしている。

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マツダ、インドネシアに新型ミニバン「VX-1」を投入

マツダ<7261.T>のインドネシア法人であるマツダ・モーター・インドネシア(MMI)の奥江敬三社長は、同社が先週11日から国内販売を開始したミニバン「VX-1」の販売見通しについて、今年の販売台数は少なくとも3600台になるとの楽観的な見通しを明らかにした。ジャカルタ・ポスト(電子版)が13日に伝えた。

同車種には2タイプがあり、「V‐Grade」タイプの価格は1億7880万ルピア(約180万円)、もう一つの「R‐Grade」は1億9100万ルピア(約190万円)となっている。同社では、今回の新型ミニバンはインドネシアでの今年の販売目標である1万6000台の達成に寄与すると見ている。

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インドネシア中銀、20日からルピア/ドル銀行間直物相場を発表へ

インドネシア中央銀行のペリー・ワルジョ副総裁は先週末の会見で、20日から中銀のウェブサイトに、自国通貨ルピアとドルの銀行間相場(直物相場)であるジャカルタ・インターバンク・スポットドル・レート(JISDOR)を発表することを明らかにした。アンタラ通信(電子版)が伝えた。

JISDORは銀行間のルピアとドルのスポット取引レートの加重平均で、通常、午前8時から9時45分までの相場で計算したあと、同10時に発表する。同副総裁は、JISDORはルピアとドルのペッグ(固定相場)を意味するものではなく、あくまでもルピア相場に関するマーケット情報を提供するだけとしている。

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ベトナムのダイアー銀行とHDバンクの合併協議、29日から再開へ

ベトナム南部ドンナイ省に本拠を構えるダイアー銀行の広報担当者は先週末、ホーチミン市住宅開発商業銀行(HDバンク)との合併協議について、今月29日から両行の合併協議を再開するとの見通しを明らかにした。ベトナム通信(電子版)が11日に伝えた。

先週末、ダイアー銀行の株主総会がビエンホアで開かれたが、全体の株主の52%しか出席せず、しかも大口株主が欠席する中で、総会では両行の合併について言及されなかったため、合併協議の行方が懸念されていた。

両行の合併については、HDバンクのレ・ティ・バン・タム会長が先月25日に、すでに中銀の了承を得ており、今後は合併に向けた法手続きを完了させる段階にあることを明らかにしている。ダイアー銀行は1993年に創設され、資本金は3兆1000億ドン(約155億円)。一方、HDバンクは1990年にホーチミン市が創設した銀行で、資本金は5兆ドン(約250億円)となっている。両行の合併は弱小銀行が合併によって経営体質を強化するという中銀の指導に基づくものだ。

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ブラジル中銀週報:今年と来年のインフレ見通し、5.8%上昇に悪化

ブラジル中央銀行が13日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2013年は前週予想の前年比5.71%上昇から5.8%上昇に下方修正(悪化)された。1カ月前の予想は5.68%上昇だった。また、2014年の見通しも前週予想の5.76%上昇から5.8%上昇に下方修正された。1カ月前の予想は5.7%上昇だった。

金利見通しについては、次回5月28-29日の金融政策決定会合時の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の7.75%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想は7.75%だった。

また、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の8.25%のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は8.5%だった。2014年末時点の政策金利も前週予想の8.25%のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の予想は8.5%だった。

2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しについては、従来(前週)予想の前年比3%増のまま据え置かれた。据え置きは5週連続。1カ月前の見通し予想は3%増だった。2014年のGDP伸び率見通しも従来予想の前年比3.5%増のまま据え置かれた。据え置きはこれで9週連続。1カ月前の見通し予想は3.5%増だった。

一方、為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、従来予想の1ドル=2.00レアルから2.01レアルに引き上げられた。2014年末時点の見通しは従来予想の2.05レアルに据え置かれた。据え置きは8週連続。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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