南岸低気圧とともに東京レーダーに現れた不思議な「丸」の正体とは:予報士解説
5日は東京23区全域を含む関東甲信地方の広範囲に大雪警報が発表され、各地で積雪が増加して交通や物流に影響が出ました。
そんな中、気象庁が運用する「東京レーダー」には、不思議な丸いエコーが…。
明らかに周囲のエコーと異なる様相の「丸」の正体を気象予報士が解説します。
名前は「ブライトバンド」
実はこの「丸」には正式な名前がついています。
「ブライトバンド」と言って、レーダーの上空にみぞれが降っている時に出やすいものです。
通常、レーダーというのは上空に向かって電波を発し、その電波が雨や雪の粒に反射され戻ってくるまでの時間を測定して、どこにどのくらいの雨や雪が降っているかを観測しています。
このとき、電波が当たった粒が大きいほど強く反射されるのですが、粒の大きさは雨<雪<みぞれの順に大きくなります。
つまり、もしレーダーが電波を発射した先にみぞれがたくさん降っていた場合、そこだけ非常に強く反射されてしまうのです。
ブライトバンドが丸い理由
レーダーは1つの方向だけに固定されているとその方向の雨・雪しか観測できなくなってしまうので、ぐるりと360度回転しながら電波を発射し続けています。
そのため、もしレーダーが設置されている場所の真上にみぞれが降った場合、ぐるりと円を描くことで強い反射(エコー)を円形に観測してしまうのです。
(ちなみに実際には、みぞれが降るというより、雪が上空から落ちてくる途中で溶けかかった結果、雪と雨が混じったみぞれ状態になっていることが多いです。)
なお今回のブライトバンドは空洞のない円形でしたが、中央に穴が空いたドーナツ状のブライトバンドもよく出現します。
東京レーダーとは
気象庁は全国に20機のレーダーを運用していて、それぞれが半径数百キロを観測することで日本のほぼ全域を網羅しています。
このうち関東地方のレーダーは千葉県柏市にある気象大学校の敷地内にあり、気象庁関係者や気象予報士の間では「東京レーダー」と呼ばれています。
今後の雨・雪の見通しは
6日は関東の広い範囲で断続的に雪が降りそうですが、5日と比べ降る量が少なく、新たに影響が拡大する可能性は低そうです。
ただ、気温が低い状態が続くため、5日に降り積もった雪はなかなか解けず、7日にかけても影響が続くおそれがあります。
これまでにも大雪の後は降った翌日や翌々日に事故が増加した例があり、しばらく慎重に行動することが必要です。