世界の気候変動を止めるためにできることは?「未来のための金曜日」(FridaysForFuture)
世界で発生する食品ロスと食料廃棄は、気候変動を引き起こす、大きな要因の一つだ。
FAO(国連食糧農業機関)のレポートによれば、世界の温室効果ガス(GHG)排出量のうち、世界の食品ロスと食料廃棄がもたらすものが、およそ8%も占めている。
FAOのレポートでは、
としている(Gtとは、ギガトンの略)。
国連気候行動サミットでスウェーデンの16歳、グレタ・トゥーンベリさんがスピーチ
2019年9月23日、米国・ニューヨークの国連本部で、国連気候行動サミット2019が開催された。
スウェーデンの16歳、Greta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)さんは、二酸化炭素排出量の多い飛行機を使わず、ヨットを使って2週間かけて訪米し、説得力のあるスピーチを行った。
グレタさんが世界で注目を浴びたのは、2018年12月にポーランドで開催された、COP24(通称:コップ24、国連気候変動枠組条約第24回締約国会議)でのスピーチだ。このときのスピーチと、今回のスピーチを比べると、わずか半年ちょっとしか経っていないが、心の底から溢れ出す感情(特に社会に対する怒りや悲しみ)は、今回の方が、より強く伝わってくる。
2018年12月 COP24
2019年9月 国連気候行動サミット
「未来のための金曜日」(FridaysForFuture)
グレタさんは、2018年8月、毎週金曜日に国会前での座り込みを始めた。地球温暖化対策に真摯に取り組むことを求めて。
グレタさんの行動は、世界中の若者を動かした。
「FridaysForFuture(未来のための金曜日)」と称され、公式サイトも完成した。
この世界の動きが、2018年12月のCOP24でのスピーチへとつながった。2019年1月には、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、於:スイス)にも招かれた。このときも、飛行機ではなく、鉄道を使って移動した。
今回、気候行動サミット2019に合わせて、世界150カ国以上で若者たちがイベントを開催した。
2019年3月にはイタリア・ベネツィアでも若者デモ開催
2019年3月15日の金曜日、イタリア・ベネツィアでは、若者たちが街じゅうをプラカード持参で歩き回るデモを行った。「未来のための金曜日」である。当時、筆者はデモを目の当たりにしていた。
ベネツィアの街は、場所によっては道路がとても狭い。その狭い道を、観光客が足止めを食うくらい、数百人以上の若者たちが、列を途切らせることなく歩いていた。
スウェーデンは世界のSDGsランキング上位の国
世界のSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)ランキングで最新の1位はデンマークだ。スウェーデンも、毎年、上位に入るほど、環境対策や持続可能性の追求は進んでいる。全体的には日本よりもずっと進んでいるわけだが、そのスウェーデンで暮らすグレタさんからしたら、自国だけでなく、地球全体で進めないと、もう間に合わない、という危機感の強い思いだろう。
参考情報
2019年7月、筆者がスウェーデンを取材した際、コーヒーかすやバナナの皮など、食べられない部分(不可食部)をリサイクルした再生可能エネルギーを使って、バスが走っていた。
日本では、食べられない部分だけでなく、食べられる部分(可食部)までリサイクルして「うち(の組織)は、ちゃんとリサイクルしています(から環境対策OK)」と謳うことが多いのではないだろうか。
気候変動を止めるためにできることは?
世界の若者たちの「FridaysForFuture」を受けて、私たちができることの一つは「食べられる食べ物を捨てないこと」。
冒頭に述べたように、世界で発生する食品ロスや食料廃棄は、中国・米国に次いで大きな温室効果ガスの排出源となっている。
小さな改善が、大きな改革につながるはずだ。