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「アホちゃうか」。千原せいじが新型コロナ禍に叩きつける怒り

中西正男芸能記者
新型コロナ禍への思いを語る千原せいじ

 歯に衣着せぬ物言いで、オンリーワンの存在感を放つお笑いコンビ「千原兄弟」の千原せいじさん(51)。「それで食ってたようなもの」と話す講演会も新型コロナ禍で軒並みキャンセルになっていますが「そもそも、僕らがやってる仕事は要らん仕事やから」と噛みしめるように話します。一方「アホちゃうかと思うわ」と怒りをぶちまける領域も。せいじさんが許せない、世の中にあふれる「アホ」とは。

陰気臭い世の中で

 先月、僕がやってるYouTubeチャンネルをリニューアルしたんです。

 実は、これもね、コロナが関係してるんですよ。

 以前は自分のお金と友達の会社が協賛してくれた資金でYouTubeをやってたんですけど、コロナ禍でその会社も資金繰りがなかなか大変になって、一区切りつけようかとなったんです。

 そのままチャンネルは放置というか、開店休業状態になってたんですけど、せっかくチャンネルがあるんだから、使わないのはもったいないという声を、また別の知り合いからいただきまして。

 じゃ、何をやるのかというと、これも結局コロナからのことなんですけど、今の世の中、陰気臭いじゃないですか。

 だから、草野球とか草サッカーみたいに“草応援団”を作って、それで日本全国をまわって、勝手にいろいろなものを応援する企画をやろうかなと。

 たまたまね、知り合いが学生服を作ってるので、北九州の成人式みたいな気合の入った(笑)制服を作って、草応援団が勝手に応援しにいくという。ちょっとでも、気分が前向きというか元気が出るようなことができたらなと思ってるんです。

アホばっかり

 ホンマにね、もう、なんや知らんけど、陰気臭いことが増えてるでしょ?

 もちろん、コロナは大変やし、しっかり気をつけなアカンところ、力を入れなアカンところはたくさんあるんですよ。

 ただ、コロナから始まって「いや、それ、何やねん!」ということも山ほどありますやん。それがまたコロナの陰気臭さを助長してると思うんですよ。

 人によって感覚は違うし、そら、一概には言われへんけど、オレからしたら、ホンマにおかしいことがぎょうさんあるなと。

 例えばね、家からちょこっとゴミ出しとかに行く時に「あ、マスク忘れてきたわ…」ということもありますやん。

 なんとなく、申し訳なさそうにしてはる空気感とか、服装からも一瞬家から出てきただけやなとか分かりますやん。それでも「見つけた!」とばかりに、ガッチリ、わざわざ文句言うてくるヤツもおるからね。

 人が密集してるところで、一人ふんぞり返って、ツバ飛ばしまくってるオッサンがおるんやったら言うのも分かるけど、それとは全然違うがなと。

 あと、台風で住民の人たちが避難所に行かないといけなくなった時、コロナ感染予防のため避難所が受け入れなかったという話も聞きました。

 もちろん、いろいろな事情があったのかもしれませんけど、オレの感覚からしたらですけど、何を考えとんねんと思うけどね。

 死ぬか生きるかで命からがら来た人を、かかるかどうか分からんコロナのために締め出すの?と。もちろん、状況も、考え方もいろいろやけど、オレには分からん。

 それとね、マスクというか防護服レベルの防御をして、銀行で周りの人に「気をつけなきゃダメだ!」とヤイヤイ怒鳴ってたじいさんが、ATMで現金引き出して、手にツバつけて札を数えてるのを見た時も、心の底から「アホちゃうか」と思いましたしね。

 ほんでね、そもそもの話、なんでコロナになって謝らなアカンの?

 「それ、本気なん?」ということを平気で言ったり、できたりする人がこれでもかと増えてる気がするんですよね。

 これはね、良い面と悪い面がある話やと思いますけど“その人間がどういう人間なのか”。そこが判断できる材料が増えたなと感じています。

 「平気でこういう発言ができるヤツなんや」とか、逆に「こういう時でもしっかり物事を見てるんやなぁ」とか。

 そういう判断ができたのは悪いことじゃないかもしれませんけど、ま、一つ言えるのは、これだけ世の中進んでも、アホはアホなんやなと(笑)。

要らん仕事

 ただ、やっぱりね、コロナで仕事的にもすごく影響を受けてはいますよ。

 去年の2月あたりから風向きが変わってきたんですけど、実は、その時期というのは春に向けて講演会がたくさん入ってくる時期なんです。それが全部なくなりました。

 これまでは、ほとんど講演会でメシを食ってたようなもんですからね。月に5本ほどしてたので、年間で60~70本はしてたと思います。それが0です。

 ま、せやけどね、そもそもコロナがあろうがなかろうが思ってきましたけど、僕らの仕事なんかね、そんなもん、要らん仕事なんです。

 だから、それができていること、できてきたことが有り難かったんです。それが正味の話です。

 でも、事実として、こんな中でも、いろいろお仕事はいただいてますし、それは本当に感謝しかありません。ただ、これは特に僕個人が強く感じてることなんでしょうけど、独特のやりづらさもあります。

 自分で言うのもアレですけど、僕の場合、人を攻撃することが多い芸風でもありますけど、あれはね、ホンマにイヤな人に攻撃すると笑えないんですよ。

 これはね、多分に僕の中の感覚みたいな話になりますけど…、その人の奥に良いものがあったり、かわいげがあったりするから攻撃できるし、それを見た人が楽しめるんです。

 けど、今の世の中は人のイヤな部分が出すぎてて、何かを攻撃した時に、逆に“芯を食いすぎる”んですよ。

 人間のイヤなところばっかりが出てきて、今まで通りにこっちがやっても、なんか、言うてる途中で吐き気してくるみたいな感じになってくるんです。

 ボロクソに言うこともできないくらい、ホンマにイヤなヤツばっかりの世の中。こんなもん、何にもエエことないですよ。

 ホンマにね、いったん落ち着いた方がエエ。世の中にアホがあふれてる。

 これもね、今回のコロナを通じての完全なる“僕調べ”ですけど、そういう人はね、ボケとか、エンターテインメントに関する理解力が著しく低いんですよ。

 今回はYouTubeのリニューアルもあったんで、その告知もできたらと思ってインタビューをしてもらったんですけど、もうね、そういう人にはね、僕のYouTubeは見てもらわなくても結構です!

 告知のつもりが逆の方向みたいになりましたけど(笑)、でもね、コロナそのもの以外のところで陰気臭さが増えてしもてる。そこは、ホンマにどうにかせなアカンと思います。

(撮影・中西正男)

■千原せいじ(ちはら・せいじ)

1970年1月25日生まれ。京都府出身。本名・千原靖史。NSC大阪校8期生。弟の千原ジュニア(当時は本名の千原浩史)と89年、コンビ結成。数々のスターを輩出した「心斎橋筋2丁目劇場」でエース格として活動し、東京に進出。ABCテレビ「世界の村で発見!こんなところに日本人」などで世界各国をめぐり、物おじしない性格でワールドワイドに交流を深める。YouTubeチャンネル「せいじんトコ」を先月からリニューアルし、草応援団、町おこしなどの新企画を展開予定。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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