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関東沖にも熱帯低気圧が発生!暖湿気の流入と雷雨が止まらない列島…元・台風9号の行方は:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
21日9時の予想天気図(気象庁HPを元に作成)。日本付近に3つの熱帯低気圧が同居

台風と熱帯低気圧がまるで"渋滞"している状態が続く日本付近では、20日夜に台風9号が朝鮮半島付近で熱帯低気圧に変わり、さらに21日未明には新たに関東沖にも熱帯低気圧が発生し、暖かく湿った空気の流入がまだまだ続きそうです。

暖湿気の流れ込みによって大気の不安定な状態も続いて、21日も突然の雷雨に注意が必要な地域が多くなるでしょう。

台風9号から変わった低気圧の行方も含めて解説します。

21日も雷雨に注意/北海道は「秋」の空気

21日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
21日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

このところ各地で雷雨が発生しすぎている日本列島ですが、21日も九州~東北にかけて、あちらこちらで急な雨や雷がありそうです。
九州~東北のほぼ全域で発雷確率はやや高めですが、特に午後には静岡・長野・山梨の県境付近で高くなり、雨だけでなく落雷や突風にも注意が必要です。

一方、関東沖の熱帯低気圧はゆっくりと南下して伊豆諸島付近を通過し、伊豆諸島では昼前にかけて非常に激しい雨のおそれ。

また、晴れる沖縄も南東から近づく熱帯低気圧の影響で大気の状態が不安定になる可能性があります。

北海道は晴れて、ひと足先に秋のような涼しい空気に包まれるところが多いでしょう。

北海道は警報級の大雨に/週末以降は秋雨前線の位置に注意を

朝鮮半島付近で熱帯低気圧に変わった台風9号は、このさき上空の気圧の谷と一体化しながら東へ進み、日本海そして北海道に近づく見通し。

少し細かい話ですが、熱帯低気圧は暖かい空気だけの塊で、上空の気圧の谷は北に寒気・南に寒気があるので、一体化するときに熱帯低気圧にも冷たい空気が混ざって温帯低気圧になります(温帯低気圧は、冷たい空気と暖かい空気を両方持っているタイプの低気圧のことです)。

温帯低気圧になったあとは前線を伴いながらさらに発達し、北海道では22日(木)午後から雨になりそうです。特に23日(金)には北海道の日本海側を中心に警報級の大雨が予想されています。

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

元・台風9号の低気圧が去ったあとは列島に秋雨前線が南下してくる予想ですが、まだこの前線がどこまで南下するかには予報に幅があります。

前線がかかる地域にはもちろん大雨のおそれがありますが、前線の南側でも暖湿気が流れ込むと大気の状態が不安定になります。

また、前線の北側には冷たい空気、南側には暖かい空気が入りますので、前線の位置によってどこまで暑さがおさまるかも変わってきます。

週末以降の天気・気温はこの秋雨前線の位置にかなり左右されそうです。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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