「あつ森」2200万本の半分がダウンロード販売! FPが考えるダウンロード販売でのゲームの買い方
今年の任天堂は巣ごもり消費で絶好調、売り上げはなんと前年同期と比べて5倍にアップ!
今年、世界を一気に変えてしまったのは新型コロナウイルスです。感染リスクへの心配と対策、感染者の治療のための医療体制の確保、外出や旅行を控えるライフスタイルの見直しなど、大きな変化がありました。今年の夏祭りが全国でほとんど開催されないなんて年始に誰が予想したでしょうか。
航空産業、旅行業、飲食業など多くの業界が売上減少に苦しんでいる一方で、売り上げを伸ばしている業界もあります。外食が減少した分スーパーマーケットの売り上げが堅調であったり、マスク等の需要の高まりでドラッグストアが売り上げを高めていたりします。そして、ゲーム業界もそのひとつです。
先日、任天堂の2020年度第1四半期の決算数値が発表されましたが、その数字が驚きをもって受け止められています。連結営業利益1447億円という数字もさることながら、なんと前年同期と比べて5倍以上にもなっているのです。前年同期比110%でもすごいねえと言われるところ、500%ですから驚きです。業績予想と比べても2倍だったというのですからサプライズの大きさが分かります。
同様の数字はPlayStationを販売するソニーでも現れています。2020年第1四半期の決算で、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野に限れば、営業利益は、前年同期から502億円の増益で1,240億円となっています。任天堂ほどではないものの、大きな数字です。
いずれもソフトの売り上げはもちろんのこと、Switch本体、プレステ4本体の売り上げ好調も伝えられており、巣ごもり消費の影響がうかがわれます。
8/6 ロイター 任天堂、巣ごもり需要で営業利益5倍超 市場予想も大幅に上回る
8/5 マイナビニュース ソニーの第1四半期はゲーム好調、純利益53%増 - “巣ごもり需要”の影響大きく
プレステもSwitchもダウンロード販売が好調 新型コロナウイルスの影響で行動に変化
さて、今回FPの目線で、個人の「ゲームの買い方」について触れてみたいのは、ゲームのダウンロード購入についてです。
Switch今年最大のヒット作となっている「あつまれ どうぶつの森」ですが、その2240万本というセールスのうち半数がダウンロード購入であることも話題となっています。任天堂の発表によれば、日米欧での「あつ森」販売数の5割がダウンロード販売とされているのです。
スマホでいえばアプリがダウンロードするもの、というのは当たり前ですが、家庭用ゲーム機については長らく「パッケージを買うもの」というイメージがありました。プレステ3やWiiのあたりからダウンロード購入は標準的な機能となっていましたが、利用経験がなかった人も多いたと思います。
私もWiiでの旧作購入をオンラインでチャレンジ、プレステ4からダウンロード版の購入割合を高め始め、Switchでは「100%ダウンロード」を図っています。128GBのメモリーカードにすべてソフトを設定していますが、カードやディスクの入れ替えがなくなるのでとても便利です。
今回、多くの人がこうしたダウンロード移行のきっかけになるとしたら、これは新型コロナウイルスをきっかけにした「新しいお金の生活様式」というべき変化が起きているのかもしれません。
8/6 ファミ通 『あつ森』累計販売本数が2240万本に。シリーズ歴代最高のセールスを達成【あつまれ どうぶつの森】
ダウンロード販売の便利は「外出不要、発売日0時プレイ可、収納問題ゼロ」だがデメリットも
さて、家庭用ゲームもダウンロード販売へ、というライフスタイルの変化は不可避であろうと思います。そして便利であることは間違いありません。しかし、お金の使い方としてそれが得かどうかはファイナンシャルプランナーとしては考えてしまいます。
ダウンロード販売のメリットは一般的に以下のようなポイントだと思います。
「外出不要」である:「密」を避けて小売店に出かけなくても、自宅でソフトが入手できる
「収納問題」がなくなる:ゲームコレクターの悩みはケースがかさばることだがそれがなくなる
「発売日0時プレイ」が可能:待ち焦がれているゲームを発売日に店頭に買いに行ったり、通販の配送をじりじり待つ必要がなく、日付が変わればすぐ遊べる(事前に自動ダウンロードもされる)
しかしこれ、経済的なメリットではあまりないことに注目です。もちろんデメリットもあります。
「割引率は高くない」こと:ソフトにもよりますが、一般的には家電量販店やネット通販で買えば20%くらいダウンした価格で入手できポイントも貯まりました。オフィシャルストアでダウンロード販売を購入したとき、これほどの価格差は通常ありません(後述のセールス価格を除く)
「譲渡、中古販売できない」こと:ダウンロード販売は自分のアカウントにひもついているため、友人に譲渡したり、中古ショップで売却することはできません。その点では資産価値がありません。
話題の「あつまれ どうぶつの森」もパッケージ版ならAmazonで5602円で販売されています(976円引。以下も含め執筆時点の金額)。ニンテンドーストアのダウンロード販売だと6578円の割引なしですから。この差は大きいです。
(なお、有力ソフトの場合、Amazon等でダウンロード販売されることもあります。「あつまれ どうぶつの森」については718円引き、5860円のダウンロード販売をAmazonが提供しています。これならお得な選択肢といえます)
忙しくて積みゲーになりそうなら、ちょっと待つのもあり 価格変動は激しい
そうなると、ダウンロード販売については中古売却は基本的に想定しない買い方が必要です。もちろん、100時間もプレイすればどんなゲームの定価も元が取れることは間違いありませんので、きちんと遊ぶ人にはあまり問題にはなりません。
むしろ注意したいのは、買ってもすぐ遊ばない「積みゲー」をしてしまうタイプの人です。
というのは、ダウンロード販売は割高になる可能性がある一方で、割安販売の可能性もあります。キャンペーンが実施され、大幅値下げされることがしばしばあるからです。
廉価版パッケージが出るとダウンロード販売の標準価格も値下がりすることもあります。しかもDLC(追加販売されるダウンロードコンテンツ)もセットになっている超お得版パッケージが設定されることもあります。
わが家では「あつ森」と同時期に子どもが50時間以上は遊んでいるゲームに「妖怪ウォッチ1(Switch版)」がありますが、1000円の大幅値下げキャンペーン時に購入しました。
逆に、プレステ4の「FINAL FANTASY7 REMAKE」については定価で買ってしまいながら遊ぶヒマなく放置してしまいました。こちらは先日、サマーキャンペーンで30%オフになってしまい、痛恨の極みです。
ダウンロード販売は基本的に売り切れがありません。欲しいゲームがあってもすぐ遊ぶ自信がなければ「ほしいものリスト」(ニンテンドーストアの場合。PS Storeは「おきにいり」)に登録して、セールを待つというのもありでしょう。
パッケージ版のみの時代には、家電量販店のワゴンセールやECサイトの在庫処分価格をうまく捕まえて安くゲームを手に入れることがありました。キャンペーンや価格改定による値下げが生じる、ダウンロード販売もちょっと似ているような感じがします。
ウィズコロナ時代、私たちは自宅でゲームをするという時間を増やしていくことになるでしょう。だとすれば、自宅から購入できるダウンロード販売も利用は増していくことになるはずです。
ダウンロード販売をお得に買って、賢く遊べるように活用したいものです。
(こういう記事を書くと「定価で買わないとはゲーム産業を壊す気か」というようなクレームをいただくことがあります。しかし、買ってすぐ100時間遊ぶゲーム、発売日を何カ月も前から楽しみに待っているゲームは、定価だろうとまったく損はありません。そんなゲームは定価以上の満足度をあなたにプレゼントしてくれるからです!)