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王位戦リーグ紅組、激熱の終盤! 豊島将之九段(31)敗れ、伊藤匠五段(19)勝って3勝1敗で並ぶ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月22日。お~いお茶杯第63期王位戦・挑戦者決定リーグ紅組の2局がおこなわれました。

 大阪・関西将棋会館でおこなわれた▲豊島将之九段(31歳)-△佐々木大地六段(26歳)戦は角換わりとなりました。豊島九段は早繰り銀で先攻し、飛車を切って決めにいきます。その判断は正しかったようですが、その先にどこか誤算があったか。佐々木六段の受けが功を奏する展開となり、15時32分、70手で佐々木六段の勝ちとなりました。豊島九段、佐々木六段ともに時間を多く残しての早い終局で、豊島九段がこうした負け方をした例は、めったになさそうです。

 リーグ成績は豊島九段3勝1敗、佐々木六段2勝2敗に。豊島九段は今期リーグ初黒星を喫して、連勝が止まりました。

 東京・将棋会館でおこなわれた▲黒沢怜生六段(30歳)-△伊藤匠五段(19歳)戦。黒沢六段の中飛車に、伊藤五段は中段に二枚銀を繰り出し、盤上中央で華々しい戦いが始まりました。互いに玉の側面から攻め合い、形勢ほぼ互角の中終盤が長く続きました。最後は黒沢六段にどこかうっかりがあったようで、19時49分、120手で伊藤五段の勝ちとなりました。

 リーグ成績は伊藤五段3勝1敗、黒沢六段1勝3敗です。

 紅組は豊島九段、近藤誠也七段、伊藤五段が3勝1敗で並びました。挑戦者決定戦進出の可能性があるのはこの3者です。

 最終5回戦では豊島九段と伊藤五段が直接対決。勝った方がプレーオフ以上に進みます。

 白組は澤田真吾七段、池永天志五段、糸谷哲郎八段の3者に挑戦者決定戦進出の可能性があります。

 紅組、白組ともに、最終戦は5月2日におこなわれます。最終的に藤井聡太王位への挑戦権を獲得するのは、はたして誰でしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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