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iPhone 8は有機ELと無線充電を採用へ

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

アップルの新型スマートフォン「iPhone 7」が発売されてからまだ2カ月もたっていないが、米メディアの報道によると、アップルはすでに、来年発売する予定の次期iPhoneに搭載する有機EL(OLED)ディスプレーを部品メーカーに発注したという。

iPhoneにOLEDディスプレー採用か

これはJPモルガンのアナリストらが調査ノートで報告したもの。それによると、ディスプレーの生産発注の期間は約1年に及び、取引金額は少なくとも40億ドル(約4213億6000万円)に上るという。

最大の発注先は韓国サムスンディスプレイだが、アップルはジャパンディスプレイやシャープといったメーカーにも依頼しており、これらの企業は生産能力を増強するため、多額の投資を行っているという。

アップルはすでに、OLEDディスプレーを、腕時計型機器「Apple Watch」や、先頃発表した新型ノートパソコン「MacBook Pro」のキーボード部分にあるタッチディスプレー「Touch Bar」で採用しているが、iPhoneではまだ採用していない。

OLEDディスプレーは、低消費電力で高輝度、高コントラストを実現できる。その名のとおり有機物の発光体を利用するため、液晶ディスプレーのようにバックライトを配置する必要がない。

また基板には従来のガラス基板だけでなく、薄いプラスチックなど軟らかい素材を使うこともでき、薄型化が可能だ。

ただ、生産工程が複雑なOLEDディスプレーは歩留まりが悪い。こうしたコスト面、生産面の問題があるため、これまでiPhoneではOLEDディスプレーを採用しなかったが、来年はその状況が変わるようだと、米バリューウォークの記事は伝えている。

次期モデルは「iPhone 8」

なお、アップルが来年発売するiPhoneの次期モデルは、その名称が「iPhone 7s」ではなく「iPhone 8」になると見られている。これは来年がiPhoneの発売10周年に当たるためというのが、大方の見方だ。

そして、この次期iPhoneについては様々に報じられている。例えば米BGRの記事によると、iPhone 8ではデザインが大幅に変更され、ディスプレーが本体の端から端までを覆う設計になるという。

また、現在ある物理的なホームボタンは廃止され、Touch IDの指紋認証スキャナーはディスプレーの下に組み込まれる。ホームボタンに備わるそのほかの機能はディスプレーを強押しすることで別の操作が行える「3D Touch」で代用されるという。

このほかプロセッサは、現行の「A10 Fusionチップ」よりも高速な「A11 Fusion」となり、カメラ性能も向上すると言われている。

遠隔無線充電も実現か?

さらにこのBGRの記事は、アップルは今、約10年前に初代iPhoneを発売して以来の最大の変更に取り組んでいるとも伝えている。

それは無線給電技術。とはいっても現在商品化されている無線充電の技術とは異なるようだ。

アップルが実用化を目指しているのは、遠隔給電が可能なシステムという。アップルはこれについて、米エナゴウス(Energous)という企業と協力している。

これによりiPhoneは、給電用ベースステーションから15フィート(約4.6メートル)離れた場所にあっても充電できるようになると、BGRは伝えている。

JBpress:2016年11月11日号に掲載/原題「アップル、すでに次期「iPhone」の部品を発注か サムスンなどに約4200億円分のディスプレーを注文」)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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