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ジュニアテニス「Road to Wimbledon 2019」(日本予選)がスタート。夢舞台を目指す

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
(写真すべて神 仁司が撮影)

 佐賀からウィンブルドンへ――。

 4月22日に、グラスコート佐賀テニスクラブ(佐賀県)で、「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」というジュニア大会(14歳以下)がスタートした。

 昨年に引き続き、「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」の開催は2回目となったが、大会初日の記者会見には、イギリスから来日したオールイングランドローンテニス&クロッケークラブ(以下AELTC)のヘッドコーチであるダン・ブロックサム氏とマーク・ヒルトンコーチ、「夢はウィンブルドン実行委員会」スーパーバイザーの小浦武志氏、グラスコート佐賀テニスクラブジェネラルマネジャー・大会ディレクターの緒方貴之氏が参加した。

記者会見に出席した、右から、グラスコート佐賀テニスクラブジェネラルマネジャーの緒方貴之氏、AELTCのブロックサムコーチ、ヒルトンコーチ、「夢はウィンブルドン実行委員会」スーパーバイザーの小浦武志氏
記者会見に出席した、右から、グラスコート佐賀テニスクラブジェネラルマネジャーの緒方貴之氏、AELTCのブロックサムコーチ、ヒルトンコーチ、「夢はウィンブルドン実行委員会」スーパーバイザーの小浦武志氏

 現代テニスでは、ジュニア選手はもちろん、プロテニス選手でさえも、グラス(天然芝)コートでプレーする機会は非常に少ない。

 そこで、ウィンブルドンでは、2002年から世界におけるグラステニスの普及のため、イギリス、インド、日本、香港、中国で「Road to Wimbledon」を展開して、ジュニア選手と選手養成コーチの育成につなげようとしている。

「4大大会の中で、ウィンブルドンは最高峰だと思っています。伝統、歴史、そして未来も見据えて育成を大事にしています。グラスコート佐賀と同じ価値観を共有していると思っています。向上心も大事で、現状に満足することなく、ウィンブルドンがナンバーワンであるためにすべての努力を惜しみません。日本には、ウィンブルドンを愛してきた歴史がありますが、佐賀に来てそのことを改めて感じます。グラステニスの大切さを強調しつつ、日本テニス界の力になれることを誇りに思います」(ブロックサムコーチ)

グラスコート佐賀テニスクラブは、日本で唯一のグラスコートを保有するテニスクラブ。1975年に設立され、グラスコート14面(日本初で最大規模)、オムニ(砂入り人工芝)コート5面、インドアコート2面
グラスコート佐賀テニスクラブは、日本で唯一のグラスコートを保有するテニスクラブ。1975年に設立され、グラスコート14面(日本初で最大規模)、オムニ(砂入り人工芝)コート5面、インドアコート2面

 そして、ジュニア時代に、グラスコートでの経験を積むことは、選手のプレースタイルを広げ、世界の舞台で戦うための必要なスキルになり得ると、ブロックサムコーチは指摘する。

「グラスコートは、テニスのコートサーフェスの中で、唯一“生きている”サーフェスなのです。とてもユニークで面白いものです。最近のグラスはまた速いコートになりつつあり、ベースラインで守っているだけでは勝てません。日本のジュニアが、一つの武器を磨き、前方へステップインするテニスを実践していくのに、グラスはいちばんふさわしいコートです」

 さらにヒルトンコーチは、グラスコートでプレーを磨くことの大切さを、トッププレーヤーを例に挙げて説明してくれた。

「グラスコートで身に付いたショットは、クレー(土)コートやハードコートでも絶対役に立ちます。(ラファエル・)ナダルや(ノバク・)ジョコビッチは、もともとジュニア時代にクレーコートで育った選手でしたが、グラスシーズンでのプレーに注力することによって、彼らのゲームがどんどん攻撃的になっていった。今あるナダルやジョコビッチの大きな成功は、グラスコートでのプレーがあったからだと思います」

大会初日には、レセプションパーティーも行われ、ジュニア選手は、プロテニス選手と交流を深めた(左から2人目が尾崎里紗プロ)
大会初日には、レセプションパーティーも行われ、ジュニア選手は、プロテニス選手と交流を深めた(左から2人目が尾崎里紗プロ)
グラスコート佐賀テニスクラブの会員と談笑する尾崎プロ(写真左)と日比万葉プロ(写真中央)。(写真すべて神 仁司が撮影)
グラスコート佐賀テニスクラブの会員と談笑する尾崎プロ(写真左)と日比万葉プロ(写真中央)。(写真すべて神 仁司が撮影)

「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」は4月27日まで行われ、男女各16名のジュニア選手が参加して、その中のシングルス成績上位男女各2名が、8月11~17日に、ウィンブルドンの会場であるAELTCで開催される本大会「Road to Wimbledon 2019 FINALS」に招待される。つまり、毎年7月上旬に開催されるウィンブルドンの期間中とは別に、日本のジュニア選手がウィンブルドンの会場でプレーできるチャンスを与えられるのだ。

 選手の多くがあこがれ、近代テニスの発祥の地であるがゆえに“テニスの聖地”といわれるウィンブルドンでプレーできる経験は、きっと子供たちにとっては何にも代えがたい宝物になるはずだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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