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【泉南市】日本最古級の和時計が存在感を放つ!約900坪の楽園『山田家住宅』。明治時代の教科書も必見。

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

JR阪和線新家駅から徒歩4分のところに、圧倒的な貫禄で佇む旧庄屋屋敷『山田家住宅』

『山田家住宅』は、江戸時代の17世紀後半から明治の始めまで、代々庄屋を努めた山田新五郎氏の豪農屋敷で、屋敷地には主屋のほか、米蔵、土蔵、表門、長屋門、など重厚な建造物がいくつも立ち並び、当時の面影を現代に伝え続けています。

毎月第4日曜日の一般公開日は、『山田家住宅』に刻まれた歴史を一目見ようと多くの人で賑わいます。

取材で訪れた日は、「春の山野草展」が開催されていました。

公開日にあわせて、展示会やコンサートなどのイベントが開催される日もあるそうです。

イベント詳細は、「泉南市広報」に掲載されるので要チェックです。

今なお、歴史的景観に優れ、建築遺構の保存状態が良いことから、平成14年に国の登録有形文化財になりました。

長い石畳の道の先に見える長屋門。家を建てることが出来ない貧しい時代に“3家族に間貸し”していたそう。

ゆとりある空間が当時の身分を証明しています。

デイジーが咲く広い庭の先に鎮座する立派な主屋。

四方囲われている土地とは思えないほど眩しい光が差し込み、心地よい風が吹きぬけます。

主屋に入ると広い土間があります。

土間を撮るつもりが、太い梁に圧倒されて中途半端な写真になっているのがおわかりでしょうか?

この立派な太い梁に驚いていたんです! 

割れたり歪んだりしながら、お屋敷を守り続けてきたことを想うと感慨深いですね。

屋根裏部屋? と思いきや、盆踊りのやぐらを収納していた“納屋”とのこと。

当時の遊楽の様子が目に浮かび、江戸時代にタイムスリップしたような気分になりました。

もちろん、担いで上げるわけではなく、滑車で上げるそうですよ。

縁側の先に中庭があります。

この縁側で、夏に夕涼みでもしていたのでしょうか。

忙しない現代人に比べ、昔の人々は心の充足をみいだそうとする意識が高かったように感じます。

「無駄」や「不便」という言葉の概念すらなかったのではないかと。

いつか、縁側のある家に住みたい! 枝豆を食べながら、ビールで晩酌するぞ~。

“古民家”に憧れている人も『山田家住宅』は必見ですよ。

デザインの違う石灯籠が点在している中庭。

訪れるたびに随所に施された“こだわり”を探すのも楽しいかもしれませんね。

こんなところにも遊び心が! かわいいですね♪

なにやら熱心に話を聞いている人たちが・・・。

1660年代後半の日本最古の時期につくられたと考えられる和時計は、たくさんの人の注目を浴びていました。

公開日は、主や案内人の方が、当時の暮らしぶりを丁寧に説明してくださるので、興味のあることは質問をしてみましょう。

漆で描かれた十二支の文字盤はレトロというより、どこか近未来を思わせる洗練されたデザイン。

十二支は、*不定時法の頃の時刻の呼び方なのだそう。

陽が登れば生活が始まり、暮れれば終わる。江戸の時刻を刻む和時計は、太陽を生活の基盤としていた農耕社会の自然で理想的な時刻制度だったようです。

*不定時法とは

1日を昼と夜に分け、それぞれを6等分に分割する。季節によって昼と夜の長さが異なるので、それに従って単位時間の長さも変化する。昼と夜の区分は、日の出・日の入りにより、夜明け(星が見えなくなるとき)を「明け6ツ」、日暮れ(星が見え始めるとき)を「暮れ6ツ」として昼夜を分けている。十二支と9~4の数字が使われ、「子」の刻は深夜の12時、「午」の刻は正午、午前・午後の意味がここからきている。

(和時計-江戸のハイテク技術- 澤田 平 著より)

“星が見えるか、見えないか”ということを生活の基盤としていたなんて、なんだかロマンチックですよね。

庭にあった松の木を模して描かれた“泉佐野市出身”の画家「日根対山」の襖絵。

天に伸びる松の木が、ダイナミックで奥行きを感じます。残念ながら庭の松の木は枯れてしまったそうです。

巾着がデザインされた長押(なげし)の釘隠し。

なんて、可愛らしいのでしょう。

聞くところによると、各部屋デザインが違うそうですよ。

こちらは、です! 

あー、可愛い。粋な設えにため息がでちゃいます。

こちらは、家紋がデザインされているそうです。

部屋のあちこちに散りばめられた“遊び心”。日々の暮らしを大切にしていたのでしょうね。

豪農・庄屋屋敷ゆえに出来たことかもしれませんが…。

こちらは、提灯の重化(じゅうけ)

提灯の火袋上下についている蓋のようなもので、「枠」とか「わっぱ」とも呼ばれるそうです。

これだけの数が、ずらっと並んでいたら貫禄がありますね。

当時の様子がうかがえる生活用具が各部屋に飾られています。

古さを感じさせない洗練されたデザインは、現代にもマッチするものばかり。インテリアに興味ある方は楽しいと思います。レトロというより、モダン? そんな風に感じるのはわたしだけかな?

小規模ながら、茶人の工夫が随所にみられる茶室。

武士と、それに近い身分の者しか持つことを許されなかった「式台玄関」

江戸時代、家のつくりは身分制度によって厳密に決められていて、庶民は玄関を作ることすら許されなかったそうです。玄関はその家の誇りだったんですね。

主屋の右側には棟続きの台所があります。

釜があり、薪でご飯を炊いていた時代の多くは、土間に台所があったんですね。広々とした土間で台所仕事をする女性の姿が目に浮かびます。

石臼や井戸もありますよ!

台所の一角に、食器や壺、洗濯板などが展示されていました。

台所で、暮らしの知恵を発見し、当時の暮らしを想像してみるのも良さそうです。

モザイクタイルが施された、レトロ可愛い釜戸

今までも“釜戸”を目にする機会はありましたが、こんなおしゃれな釜戸は見たことがありません。

懐かしい黒電話

幼い頃、ほぼ同じものが家にありました。受話器は重く、ダイヤルを回すのに時間はかかるけど、そんな手の感覚もほろ苦い思い出です。

「民族資料館」として新たな息吹を吹き込まれた米蔵。

生活用具明治時代の教科書農具などを間近で見ることができます。歴史好きの方も、そうでない方も、知的探求心を満たしてくれるので必見です。

近代国家建設のため、西洋的な知識を急速にとりいれようとさまざまな新しい教科書がつくられた明治時代。

明治初期は旧来の教科書と近代教科書がともに利用されていたそうです。

まさにこの時代の教科書は、時代の移り変わりを象徴する貴重なアイテムと言えますね。

長屋門で開催されていた「春の山野草展」の様子。

8月に主屋の土間で「ハワイアンコンサート」も開催する予定とのこと。今後のイベントも楽しみですね♪

(新型コロナの感染拡大状況により中止・変更の場合があります)

実は今回『山田家住宅』を訪れたのは、現在開催中の

『御財印めぐり』の“御財印”をいただくためだったのですが、あまりにも素敵だったので『山田家住宅』をぜひご紹介したいと思いました。

「山田家住宅」の御財印。ご朱印帳は「熊野街道信達宿のふじまつり」の取材の際に「夢あかり」で買い求めたものです。

山田家さんでは、「御財印」の頒布にかかる費用は、お気持ちでいただいているとのことです。

『御財印めぐり』とは

泉州地域で大切にされてきた文化財をめぐり、地域の人たちとふれあうことで「泉南らしさ」を楽しむローカルな旅のこと。

レトロな洋館や風格ある古民家などをめぐる大人の遠足です。(詳細は泉南市HP『泉南の文化遺産をめぐる!御財印めぐり』(外部リンク)をご確認ください)

『御財印めぐり』も、後日記事にしたいと思っておりますのでお楽しみに。

泉南地域の大庄屋屋敷として、わたしたちの街に凛々しく佇む『山田家住宅』。

江戸時代にタイムトラベルする気分で、みなさんもぜひ訪れてみてください。

山田家住宅は個人がお住いのお宅です。くれぐれも公開日以外に無断で見学などなさらないようお願いいたします。またお屋敷内は写真撮影OKとのことですが、展示品に触れることは禁止ですのでご留意ください。

【基本情報】

スポット名:「山田家住宅」
住所:〒590-0503泉南市新家3148
アクセス:JR阪和線「新家駅」徒歩4分
     国道26号線樫井交差点から南へ1,5km
駐車場:あり(駐車スペースまでの道幅が狭いのでご注意ください)
一般公開:毎月第4日曜日(12月を除く)10:00~16:00
お問い合わせ先:〒590-0503泉南市新家3148 山田家住宅保存活用協議会 072-483-2107

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ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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