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全体1位のドラフト指名権。オリオールズが持つのは30年ぶり2度目だが、GMにとってはここ8年で4度目

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、A.ブレグマン、J.アルトゥーベ、C.コレイア Apr 3, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月3~5日のドラフトは、ボルティモア・オリオールズの指名から幕を開ける。オリオールズにとって、全体10位以内の指名権は7年ぶりだ。全体1位となると、30年前の1989年まで遡る。

 ただ、GMのマイク・イライアスにとって、全体1位の指名は、ここ8年で4度目のことだ。2012年1月から昨年11月まで、イライアスはヒューストン・アストロズにいた。2018年の球団メディア・ガイドは、イライアスの役職名を「アシスタントGM、選手の獲得」と記している。2012年8月~2016年8月はスカウト部長を務め、その前も「スペシャル・アシスタントGM、スカウティング」として、アストロズのドラフト指名に関わった。

 2012~14年に3年続けて全体1位の指名権を持っていたアストロズは、それぞれ、カルロス・コレイアマーク・アッペルブレイディ・エイケンを指名した。アッペルはメジャーデビューできないまま球界を離れ、エイケンはアストロズと契約しなかった(翌年、全体17位でクリーブランド・インディアンズに入団)。けれども、コレイアは2015年に新人王を受賞し、その2年後のワールドシリーズではMVPに選ばれた。

 また、コレイア、ジョージ・スプリンガーホゼ・アルトゥーベとともに「コア4」を形成するアレックス・ブレグマンは、2015年のドラフト全体2位だ。アストロズはこの指名権を、エイケンと契約できなかった補償として得た。

 アッペルとエイケンは投手、コレイアとブレグマンは野手だ。今年の全体1位に、オリオールズは野手を指名するだろう。オレゴン州立大にいるスイッチヒッターの捕手、アドリー・ラッチマンが有力だ。

 30年前、オリオールズが全体1位で指名したベン・マクドナルドは、ブレグマンと同じルイジアナ州立大の出身だが、野手ではなく投手だった。マクドナルドの通算成績は、9シーズンで78勝70敗、防御率3.91。最後の2シーズンを過ごしたミルウォーキー・ブルワーズを含め、ポストシーズンには一度も縁がなかった。

 オリオールズがこれまでに全体10位以内で指名した選手には、ラッチマンと同じ、スイッチヒッターの捕手がいる。マット・ウィーターズ(現セントルイス・カーディナルス)がそうだ。こちらも、2007年の全体5位指名に見合う活躍をしたかどうかには疑問符がつくが、2016年まで8シーズンにわたってオリオールズでプレーし、シーズン20本塁打以上が3度、ゴールドグラブは2度。オールスター・ゲームには4度選出され、2012年と2016年はポストシーズンの試合に出場した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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