iPhone内蔵型燃料電池とアップルの特許について
Gizmodoに「まさに最強。iPhoneを1週間持たせる水素バッテリーが開発される」という記事が載ってます(元記事は英Telegraphの記事)。「水素バッテリー」なんて書いてますが、要は燃料電池のことです。
英国のIntelligent Energyという燃料電池テクノロジーの専門企業がアップルと共同で開発を進めているそうです。ポイントは既にいくつか出ているような外付けチャージャーではなく、スマホ本体に内蔵可能なバッテリーであるという点でしょう。Intelligent Energyは薄型燃料電池の技術を持っているのでそれによりスマホへの内蔵が技術的に可能になるようです。「発電の過程で水分が発生するので、バッテリーの背面には蒸散用の小さな穴を搭載。また、水素は改良したヘッドホンジャックから充填可能」と書いてありますが、安全性や信頼性面で大丈夫なのか気になります。
2年後の実用化を目指しているそうですが、急速に技術進化するモバイルデバイスの世界でもバッテリーだけは進化のペースが著しく遅いのでブレークスルーを期待したいところです。
ところで、このニュースを見てアップルがだいぶ前にモバイルデバイス用燃料電池の関連特許を出願していたことを思い出してステータスを確認してみたら、何と今年の3月に米国で登録されていました。"Fuel cell system to power a portable computing device"(米国特許番号8980491号)です。
この特許の基本的アイデアは燃料電池部とモバイルデバイス本体の間で双方向のコミュニケーションを行なわせることにあり、かなり範囲が広そうです。ただし、おそらくは、モバイルデバイスに外付けの燃料電池ユニットを組み合わせる構成を前提にクレームを作っているように思えるので、今回のテクノロジーはカバーできないかもしれません。
さらについでに思い出した余談ですが、Kickstarterに出品されたKraftwerkという名称の燃料電池チャージャーがテクノユニットKraftwerkのラルフ・ヒュッターに商標権侵害で訴えられていた件(参照過去記事)ですが、米国の裁判情報データベースPACERで検索したところ、まだ裁判は進行中のようです。Kickstarterでの出品取りやめや名称変更という事態にはなっていません。