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おめでとう!! ドラフト1475位でレギュラー経験もないメジャーリーガーが、故郷の道に名前を冠された

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャロッド・ダイソン(カンザスシティ・ロイヤルズ)2015/11/03(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ジャロッド・ダイソン(カンザスシティ・ロイヤルズ)の名前が道に冠された。場所は彼が生まれ育ったミシシッピ州マコーム。市長の発案だという。1月14日、ダイソンはそのことを伝える地元紙をインスタグラムにアップし、「ウォーレン・ストリートがダイソン・ドライブに変更されることが決まった…天からの祝福、これが夢を追いかける多くの若い子たちを鼓舞し、夢は実現できるんだって信念を与えることを願う!!!!」と書き込んだ。

メジャーリーガーの名前が道につけられるのは、これが初めてではない。2013年にはモントリオールの通りが「ゲリー・カーター・ストリート」と改名され、2014年にはヤンキー・スタジアムのすぐ外を走る道が、マリアーノ・リベラを称えて「リベラ・アベニュー」に変わった。サンディエゴのインターステイト・ハイウェイI-15は、昨秋から「トニー・グウィン・メモリアル・フリーウェイ」と名づけられた。他にも、メジャーリーガーの名前を冠した通りはいくつもある。今はもう違うが、ミズーリ州は約10年間、I-70を「マーク・マグワイア・ハイウェイ」と銘打っていた。

ただ、ダイソンはこれまでのメジャーリーガーとは異なり、スーパースターでないばかりか、レギュラーを務めたシーズンすらない。2010~15年に146盗塁を決めているものの、規定打席(チーム162試合の場合は502打席)に達したシーズンは一度もなく、最も多い2012年でさえ170打席以上も不足していた。ダイソンはドラフト順位も2006年の50巡目・全体1475位と低く、この年の最後尾から数えて28番目だった。マイク・ピアッツァは1988年に62巡目・全体1390位でロサンゼルス・ドジャースへ入団し「史上最もドラフト順位の低い殿堂選手」となったが、ダイソンも「道に名前が冠されているなかでは史上最もドラフト順位の低い選手」ではないだろうか。

ダイソンは今シーズンの開幕を31歳で迎える。将来、ピアッツァのように殿堂入りすることはないだろう。けれども、レギュラー獲得のチャンスはある。ロイヤルズのレフトにはアレックス・ゴードン、センターにはロレンゾ・ケインがいるが、ライトのレギュラーは確定しておらず、現時点ではダイソンが筆頭候補だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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